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映画【エア☆ドラム! 世界イチせつないロックンローラー】

   ↑  2011/06/05 (日)  カテゴリー: 映画・DVD
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「我々が最初に聴くのは母親のビート。だけど世界中のノイズに包まれているうちに、誰もがそのビートを忘れてしまう。……だが、そのビートを失わない奴も居る」
そんな大仰なイントロダクションと共に紹介される、名前もパワーとこれまた大仰な男。
しかしその見てくれは、どっからどう見ても「ナポレオン・ダイナマイト」のパチモノ。
大袈裟な名前の童貞オタク野郎が主人公。さぞやこの映画も「ナポレオン・ダイナマイト」の志の低いクローンかと思いきや、序盤のいかにもなオフビートっぷりから一変、物語は怒濤のスポ根王道へと突き進むのであった。
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主人公パワーの特技はエアドラム。本物のドラムは一度も叩いたことがない。
「本物叩けやぁ!」と誰もが画面目がけて入れたくなるツッコミは、もちろん周囲の人間から嫌と言うほど浴びせられている。
そんな履歴書に書くのも憚られるような特技。しかしパワーはこれにこだわり続ける。それは何故か? だってパワーは、マジでこれしか取り柄がないのだから。
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周囲から馬鹿にされっぱなしで、勤めていた銅工場もクビになったパワーは一念発起。賞金わずか2000ドルのエアドラム大会への出場を決める。
そこで出逢ったのが、両腕をなくした元ドラマーの熱血コーチ。
「本物のドラムなんか誰でも叩ける。だけどエアドラムは、そうはいかねえ。見えない何かに向かって魂こめて叩かなきゃいけねえからだ」
そしてパワーは耳の聞こえない少女と出会う。階下でエアドラムの練習に没頭するパワーの元に、溜まらず「うるさい。静かにして!」と怒鳴り込んでくる少女。
「聞こえないのに……、うるさかったの?」「……音を感じたの」
エアドラムという、エアギター以上にあり得ないジャンル(ドラムがないなら、それこそ鍋でも茶碗でも、あるいは自分の太ももでも、叩く代用品はいくらでもある)に対する、そんな馬鹿馬鹿しいまでの意味づけの数々。
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そしてこの大会はチーム戦。優勝候補であるセレブなリアルドラマーとその取り巻きたちに挑むのは、パワーが加わったマイノリティ&ホワイトトラッシュの混成チーム。
「スラップショット」や「がんばれ!ベアーズ」を思わせる、負け犬の逆襲スポ根ものの色を強める一方で、物語は二つの父と子の物語をも絶妙に絡め取っていく。
パワーの父親は銅工場のストライキを戦う労働組合長。そして大会でパワーの前に立ちはだかるセレブなリアルドラマーの父親は、そのストライキ潰しを画策する、銅工場の悪辣オーナーなのだ。
そしてライバルのドラ息子も嫌な奴一辺倒じゃない。本物のドラムをいくらでも叩ける彼が、賞金僅か2000ドルのエアドラム大会に固執するのには、彼にしか分からない理由があったし、そしてそこにはパワー親子とはまた別の、親子の深い確執があるのだ。
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父親役のマイケル・マッキーン、「glee/グリー 踊る♪合唱部!?」のジェーン・リンチ、ドラ息子役のエイドリアン・グレアニー以外は、聞いたこともないキャストばかりのインディペンデント映画。
だけどインディペンデント系と言っても、ひねこびた映画じゃない。エアドラムという馬鹿馬鹿しい素材を、あまりにもベタベタなスポ根ドラマに仕立て上げた、その開き直りっぷりが心地よく痛快だ。
ラストには意外な(あんまり意外でもないか)スペシャルゲストが登場。あ、それと、Bow Wow Wowの"C30,C60,C90 Go!"をレパートリーに大会に参戦するニューウェーブ女子チームが可愛らしくて、ちょっとポイント高かった。

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2011/06/05 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

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