fc2ブログ
 

ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

この記事に含まれるtag :
野球  

コミック【おれとカネやん】

   ↑  2010/02/09 (火)  カテゴリー: 書籍・コミック
10020902.jpg
川崎球場時代のロッテは、12球団中屈指の不人気球団でした。
どれくらい人気が無かったかというと、ホームゲームなのにビジターの西武や近鉄のファンの方が数が多いくらい。
同じ関東圏の西武ならまだしも、関西球団の近鉄相手でもこの有様です。もっとも、この頃の近鉄の人気球団ぶりは、今の姿からはちょっと想像できないかもしれませんが。
だけど、そこから10年くらい時を遡ると、実は我らがロッテ・オリオンズがパ・リーグ一の人気球団だった時代があったのです。
何せこの頃のロッテは、あの巨人を差し置いて日本プロ野球の代表としてアストロ球団と死闘を演じたほど。
当時のロッテは、東京球場を失いジプシー球団として日本中を放浪していました。フランチャイズを持たないのにこの人気。
もっとも、この時代のロッテ人気は、ある一人の破天荒な人物の人気におんぶされたものであったようです。
その人物とは、泣く子も黙る400勝投手にして、金田式健康棒の生みの親、カネやんこと金田正一。
10020903.jpg
梶原一騎原作、古城武司が作画を担当し、少年キングに連載されたこの"おれとカネやん"は、一言で言ってしまうと、ずばりロッテ版巨人の星。
ボロ長屋に住むガテンな職業の親子。無二の親友として主人公とバッテリーを組み、やがてプロになってからはライバルとして立ちはだかるキャッチャー。そして高校野球時代からの宿敵で、プロ転向後も死闘を繰り広げる色男の強打者。この人物設定からして、まんま巨人の星。
ただし主人公の父親は、星一徹のような元野球人ではありません。カネやんのお父さんが自分と同じガテンな職業であることから、カネやんにシンパシーを抱き、自分の息子にカネやんの背番号34をあやかって三四郎と名付けてしまうほどのカネやん狂。
その息子、勝三四郎は野球の道に進み、中学、高校、そしてロッテ入団と、その度にさまざまな壁にぶち当たり、それを克服していくという、スポ根ものの王道。
10020908.jpg
だけど、主人公の勝三四郎が、星飛雄馬と番場蛮を足して10で割ったような、今ひとつ薄味なキャラクター。
ライバルの織田信虎に至っては、花形満と眉月光を足して100で割ったくらいの、居るんだか居ないんだか分からないような奴と来てます。
梶原先生、正直な話、あんまりやる気がなかったんじゃないでしょうか。
このおれとカネやんの連載が始まったのは、侍ジャイアンツの終了と入れ替わるくらいの時期。
「もう野球はやりたくねえんだよ」とか「おれってあんまり野球のこと知らねえし!」なんて梶原先生のうんざりする顔が浮かんでくるようです。
10020904.jpg
まあ主人公の印象の薄さは、何も勝三四郎だけのせいではありません。
なにせ主人公の傍らには、カネやんというこってり濃いキャラクターが常に控えている。
あらゆるエピソードに於いて、主人公がカネやんに食われまくってしまう展開も、致し方ないことなのかもしれません。
全編中で一番印象深いエピソードは、本来なら勝三四郎には全く関係のない、カネやんと実弟金田留広のラーメン屋台兄弟喧嘩のお話。
この場面は「ペナントレース中、実際に起こった実話である。読者諸君はこれからのべる美しくも激しく凄まじい男のドラマを、よーく噛みしめてもらいたい!」というキャプションが被さるなど、梶原節が炸裂するノリノリな展開。
生身のまま、梶原ワールドに全く違和感なく収まってしまう金田正一の強烈さ。プロレス、空手界ならまだしも、野球界でそんな人物はカネやんただ一人です。
10020905.jpg
当時のロッテと太平洋クラブライオンズのプロレスチックな遺恨を、巧みに本筋に取り込んでしまう流れは、空手バカ一代を思わせる梶原ドキュメンタリーの真骨頂。
平和台球場に機動隊が出動する騒ぎとなった、カネやんとビュフォードの大乱闘も劇中に登場。
もっとも漫画中ではカネやんに「殴ったらあかん!これはケンカやない。わしは抗議していただけや!」などと、本人が口にするとはとても思えないセリフを言わせたりしてますが、普通、抗議で宮寺(太平洋捕手)にいきなり蹴りをぶち込んだりしねえだろ!
その後、勝三四郎に「ライオンズの宿舎に行って、宮寺とビュフォードの野郎をぶちのめしてやる!」などと、いかにもカネやんが実際に吐いてそうなセリフを言わせてバランスをとっています。
10020907.jpg
カネやんや、プロレスチックな当時の荒くれパ・リーグという本作ならではのセールスポイントと、巨人の星の三番煎じというマイナスポイントが、ぴったりと相殺してしまっているのが、このおれとカネやんの最大の特徴。
古城武司の作画は、画風も漫画技法も極めて正統派。だけどこの作品の場合は、けれんたっぷりの巨人の星とどうしても比較されてしまう運命なので、その正統派の作画はどうしても分がわるくなってしまいます。
梶原一騎の作品群の中でも、このおれとカネやんの評価はそれほど高いものではありません。
10020906.jpg
されど、お話の中心にロッテ・オリオンズが据えられ、弘田、村上、成田、八木沢、木樽、山崎、得津、アルトマン、有藤、ラフィーバー、飯塚といったロッテナインたちが当たり前のように脇役を務め(特にお人好しで闘志溢れるチビの先輩なポジションの弘田は、美味しい役どころだ)、さらに野村克也、門田、稲尾、福本、張本、加藤英司、森本などの、いかにもパ・リーグ系なガテン顔が並ぶ本作は、ロッテファン、及びパ・リーグ党にとっては、巨人の星以上に尊い作品。
主人公のキャラの立ってなさ、印象の薄さなどは、ちっとも問題ではないのです!
でも最後に空手に救いを求めるって展開は、いかにも梶原先生らしいよなあ……。
現在マンガショップより、全8巻の完全復刻版が刊行されています。

関連記事

この記事に含まれるtag : 野球 

(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-509.html

2010/02/09 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment

コメント:を投稿する 記事: コミック【おれとカネやん】

お気軽にコメント:をぞうぞ。
非公開 (管理人のみ閲覧可能なコメント:) にしたい場合には、ロック にチェックを入れてください。

  任意 : 後から修正や削除ができます。
  非公開コメント:として投稿する。(管理人にのみ公開)

Trackback