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【Dordogne】ドルドーニュ

   ↑  2023/10/22 (日)  カテゴリー: XBOX
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小さかった頃、夏休みに父方の実家に行くのが本当に嫌だった。
そこは澄んだ川が流れる渓谷にほど近くて、今でもテレビの旅番組なんかのロケ地にも選ばれたりする自然の美しいところなのだが、街暮らしのガキンチョがそんなものをありがたがるわけがない。
古い田舎家の饐えた匂いも嫌いなら、外に出ればすぐ小さな虫がまとわりついてくるのも我慢できない。
人は空気が美味しいとか言うけれど、空気に美味いも不味いもあるわけねえだろ!
駄菓子屋もなければ本屋もない。一刻も早くこんなとこ離れてコンクリートとアスファルトに囲まれた環境に帰りたいと、実家にいる間はひたすらそう念じていた。
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本作の舞台となるドルドーニュはフランスの南西部にある実在の町。
豊かな自然に恵まれ美しい渓谷を擁するその風景は、どことなく父方の実家があった地方によく似ている。
そしてこの『Dordogne』をプレイしているうちに、あんなに嫌で堪らなかった実家の記憶が「いいところだったのかもしれないなあ」などと改ざんされてゆくのだから、つくづく良いゲームというのは性悪なもんである。
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祖父の死後にずっとひとりで実家を守ってきた祖母が天に召された。
その整理のために10年以上ぶりにドルドーニュを訪れた孫娘のミミ。とは言っても幼い頃のこの地での記憶はあんまりない。
ミミと祖母ノーラには大きな共通項が一つある。それは父親(ノーラにとっては息子)との関係がうまく行ってないこと。
父親から逃れるようにして主のいない祖父母の家にやって来たミミは、ドルドーニュで過ごした祖母との日々を少しずつ思い出すのだった。
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"子どもの頃のひと夏の思い出"ものって、意外とゲームではよくあるフォーマットだ。
過去と現在を交互しながら記憶を少しずつ回想してゆく流れも、まあありがちと言えばありがちなものかもしれない。
しかし『Dordogne』はそのフォーマットを構成するビジュアル、音楽、ストーリー、何もかもが飛び抜けて素晴らしすぎる。
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特に水彩画をベースにしたそのアートワークは圧巻だ。
ゲーム中でフィルムカメラを入手して風景写真を収める要素も、この途方もなく美しいビジュアルの存在によって一段と重みを増す。
そしてシチュエーションによって色の濃淡が変わる演出は、このビジュアルの素晴らしさをさらに引き立てている。
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肉親にまつわる思い出はそれが良いことであれ嫌なことであれ時が経てばせつなくも暖かい記憶になる。
プレイヤーがミミと一緒に追憶するのも、まさにそんな束の間の夏の出来事だ。
「良かったこと、悪かったこと、ためらわずに共有するの」
ゲーム中で深く印象に残る一言だが、まさにそんな想いで作られたかのような、ささやかながらも珠玉のアドベンチャーゲームだ。

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