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2023/03/21 (火) カテゴリー: XBOX Series X|S

1962年の「007/ドクター・ノオ」に始まり最新作の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで25作を数えるジェームズ・ボンド映画。
その間に6人の俳優がジェームズ・ボンド役を務め、代替わりのたびにボンドのイメージは刷新されてきたのだが、4代目のティモシー・ダルトンから5代目ピアース・ブロスナンへのバトンタッチは、単なるキャラクターチェンジに留まらない大きな変革があった。

なにせダルトン版の最終作「007/消されたライセンス」からブロスナンボンドの登場となる「007/ゴールデンアイ」の間には7年近いスパンがあった。
その長い空白期間は様々な複合的理由があるのだが、とにかく殺伐とした80年代アクション映画の影響が良くも悪くも強かったティモシー・ダルトン時代からクールダウン期間を得たことで、新たに幕を切ったブロスナン時代は大げさに言えば再創業的な仕切り直しとなったのだ。

猛々しいダルトンから一転、ソフィスティケートされたピアース・ブロスナンのボンド。
「007/ゴールデンアイ」はそのキャラクターのみに留まらず、様々な面がモダンに再構築された一作となった。
一介のプログラマーにしか過ぎないヒロインにあんまり頼りにされてないボンド像は、新鮮を通り越してかなり驚かされるものがあったが、この先代の影を一切合切振り払った大胆な再出発は、見事に新時代における007映画の復権に繋がった。

そしてビデオゲーム世界のジェームズ・ボンドも、やはり同じ時期に空白期間と変革の過程を辿ったのであった。
同映画のゲーム化作品『ゴールデンアイ 007』は1997年の発売。ボンドゲームの前作となる『007 死闘』からは4年のスパンがある。
メガドライブ版『007 死闘』は、横スクロールのプラットフーマー。
それ以前となる『007: Licence to Kill』(ZX Spectrumなど)は『戦場の狼』みたいなSTGと、ティモシー・ダルトン時代はアーキテクチャの限界から、そのゲーム化作品はどうしても映画の登場人物をフィーチャーしたキャラクターゲームの域を出なかった。

そのキャラクターも当然本人に似せるどころではない。タキシード姿で辛うじてボンドと理解できる程度の記号化されたキャラである。
映画の007を変えたのが時代性や観客の嗜好の変化なら、ビデオゲームの007を変えたのは90年代半ばの表現力やハード性能の凄まじいばかりの進化だ。
『ゴールデンアイ 007』はそれを背景に、007ゲームをキャラゲーから映画のストーリーを追体験させるシネマゲームへと向上させた。

ブロスナンにショーン・ビーン、その俳優がモデリングされたことがしっかり認識できるキャラクターたち。
戦車チェイス、レーニン彫像公園でのトレヴェルヤンとの再会、ゼニア・オナトップとの決着戦など物語に準拠したステージ。
そして何よりもQお手製のガジェットを自らの手で使い分けボンドそのものになりきる手応えは、過去のボンドっぽい何かを操作するゲームとは天と地ほどの違いがあった。

さらにファーストパーソンシューターとしての完成度の高さは、ニンテンドウ64にFPSマシンとしてのもうひとつの顔を付け加えた。
現在は当たり前のジャンルとなっているFPSだが、それがこの国で広く波及するその下地を作ってくれた功績も大きいだろう。
いずれにせよゲーム史に残る傑作の評価は揺るぎないであろう一作。
この『Rare Replay』所収版は、マルチプレイがローカルのみに対応したニンテンドウ64版ほぼ準拠の仕様(未日本語化)。
今後発売が予定されているSwitch版はオンラインプレイを実装しているとの情報もある。
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