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2022/09/14 (水) カテゴリー: XBOX Series X|S

火星への入植。
アシモフやブラッドベリの昔からのサイエンスフィクション定番であり、人類が宇宙に進出する仮定の話だと今のところ一番現実性が高い候補でもある。
最近の火星探査機から送られてきた鮮明な写真なんかだと、パッと見アリゾナあたりの荒野の景色にそっくりで、「これなら頑張れば入植できなくもないんじゃない?」なんて思えてもくるが、アリゾナの荒野ですら人が住めないのに、そこからさらに過酷な環境の火星ではって考えると、そんな甘い観測もしおしおと萎んでしまう。

とにもかくにも火星への植民は大変だ。まず未知の地で一から開拓を始めなければならない。
時は2067年。オレはその栄えある火星開拓団の先遣隊。
しかしいきなり着陸失敗の洗礼。命からがら這い出た先に広がるのは赤く不毛の大地。そして降り注ぐ隕石群。
どっかんどっかん落ちる隕石の中を逃げ惑いながら、オレは早々っと「無理っす! こんなとこ絶対人なんか住めないっす!」と音を上げるのだった。

だけど帰りの便があったら苦労はしない。
地球人が過去に挑んだ様々な開拓地よりも遥かに悪条件なこの地で、オレは後続のために必要な設備を整えなければならないのだ。
しかもたった一人で。地球から遠く離れた惑星でぼっち。心細いどころじゃない、任務とか以前にそのシチュエーションだけで泣きが入ってくるよ。

この『JCB Pioneer: Mars』は資源を確保しながら装備や機器を少しずつアップグレードさせ、行動範囲を広げつつ発電機や酸素ジェネレータなどを設置し前哨基地を発展させるサバイバル開拓ゲーム。
そして世界的建設機器メーカーであるJCBの名が冠に入っているように、各種建設車両を操作する建機シミュレータの要素も大きなウエイトを占めている作品だ。
しかしインターフェースや操作系がまったく洗練されていないのが仇となって、サバイバル系としても建機シムとしても凡庸な出来に留まってしまっているのが正直なところである。

そして生活描写や息抜き要素がまったく無い、ほぼ100%業務的な労働だけでゲームが構成されているので、一人っきりで延々と残業をやらされてる感がハンパない。
みんな帰っちゃって誰もいない社内。申し訳程度に部屋の半分だけ灯された蛍光灯。ひっそりとしている分耳障りな空調の音。そして終わりがまったく見えない仕事。
あのやるせない気分をゲームの中でたっぷりと味わうとは思いもしなかった。

そりゃ火星を開拓するというヒロイックな使命があるとは承知しているんだけど、唯一の体外的な温もりである通信指令が、慇懃無礼な口調でタスクだけを一方的に告げてくるとあって、下請けの作業感がこれまたハンパない。
オレ絶対志願してここに来たわけじゃねえよ。会社命令で嫌々来るハメになったんだよ、きっと!

永遠の残業ムードの中で憂さを晴らせる場所があるわけじゃなし。火星の景色はどこに行っても代わり映えしないから秒で飽きるし。
そして取り巻く環境といえば落雷に電磁嵐に放射能。
「こういうとこに無理に住もうとするの止めません!?」と切に訴えかけたくなる火星労働絵巻。
ああ、帰れるもんならさっさと地球に帰りてえ!
<未日本語化>
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2022/09/14 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |火星が舞台のSFは名作揃い!
やるせないブラック労働にディックの「火星のタイム・スリップ」を思い出します。権力者アーニーの豪華な朝食が印象に残っています。
奈良の亀母 |
2022/09/15 (木) 18:10 No.1577
そういえば火星を扱ったフィクションってパラダイスものはほとんど無いような。
ゲームのレッドファクションといい火星に過酷な労働ものが多いのは、みんなやっぱりあの荒野みたいな景色に不毛を感じるからでしょうかね?
管理人 |
2022/09/20 (火) 01:13 No.1578
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