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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

【FAR: Loan Sails】鈍色の世界

   ↑  2022/06/04 (土)  カテゴリー: XBOX
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一面どんよりとした曇り空を表すのに鈍色の空という言葉がある。
『FAR Loan Sails』の世界を覆うのはまさにこの鈍色の空。
どこまで行ってもどこまで進んでも、この気の乗らないどんよりとした空の色は途切れることはない。
空だけではない。
この生命の気配がまったく消え去った不毛の荒野を包む色はすべてが灰。
かつては青い空と尽きるはずもなかった水をたたえ、無限の生命を育んでいた広大な海の成れの果てだ。
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その一面鈍色の世界で唯一の生命を感じさせる色は赤。
不毛の大地にただ一人残された主人公を覆う服と帽子の色だ。
そしてもう一つは主人公が動かすこととなる陸上蒸気帆船。
巨大な船体内部のところどころを染める鮮烈な赤は、無機質な人造物を生命のあるものにたらしめんとする血液を思わせる。
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この巨獣のような陸上蒸気船を駆って主人公はひたすら目指す。荒涼とした大地が終わる世界の果てを。
突っ走るのはその昔は海だった場所。
港、ドック、造船工場、運河、風力発電機、座礁したタンカー。かつて海運を司っていた何もかもが今ではすっかり荒れ果てて見る影もない。
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だけどすべてが朽ちているわけではない。スイッチを入れる者さえいれば、そこにある機械はつかの間の生命を取り戻す。
クレーン、ウインチ、タラップ、それらを動かして蒸気船の進路を確保するのが、『FAR Loan Sails』のほのかなパズル的要素である。
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それを除けば蒸気船の道中はイベントさえもオミットされた極めて静寂な旅路。
その物語的な盛り上がりの欠如(もちろんそれは意図されたものだろう)は、『FAR Loan Sails』の評価を分ける大きなポイントになるだろうが、少なくともオレは船の駆動音や風の音、程よく挿入されるBGMなど数少ない五感への刺激に装飾された寂寥感ある旅に、最初から最後まで心地よく没入できた。
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表面的な刺激の少ないゲームながらも散漫にならないのは、蒸気船をただ右に向かって走らせる操作に適度な忙しさがあるから。
燃料の補給、蒸気弁の定期的な開放、帆の折りたたみ、修理、火災の消火。
それらの作業は少々煩雑ではありながらも、手持ち無沙汰を防ぎつつ移ろう風景を眺められる適度な余裕がある。
そしてその寂しいけれどエモーショナルな鈍色の風景のそこかしこから何を感じ取るかはプレイする各人次第だ。

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2022/06/04 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

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