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2022/02/15 (火) カテゴリー: XBOX ONE

外伝ものの主人公ってのは基本的にぞんざいに扱われがちだけど、こと『Far Cry 3 Blood Dragon』のレックス・コルト軍曹に限っては、作品ごとに使い捨てな本編シリーズの主人公たちより多少は恵まれているのかもしれない。
一発ネタに思われた『Far Cry 3 Blood Dragon』にまさかの後継作が登場。
その主人公はレックスとヒロインの間にできた二人の子供。
そして今回『Far Cry』に代わってバリバリエフェクト芸の素材にされるUBIゲームは、熱心なファンも多いバイクトライアルゲーム『Trial』シリーズだ。

とは言え本作『Trials of the Blood Dragon』は、なんだかんだでファークライの枠を外さなかった親からさらに針を振り切っている。
『Trials』はざっくり説明するならば、モトクロスバイクでただひたすらゴールまで突っ走るだけのゲーム。
そのちょっと変わった見た目版のつもりでこれに手を出してみたプレイヤーは、バイクのみならず、RCカーや火星地上車、さらには『Shadow Complex』ばりのプラットフォームシューティングが継ぎ接ぎされたキメラのような風体に戸惑うことだろう。

ダシにされた『Trials』は気の毒だし、そのファンがこのゲームをまったく評価しないのもよく分かるが、しかし顰蹙もある意味『Trials of the Blood Dragon』の真骨頂。
1990年代の初頭にPop Will Eat Itself(PWEI)というニューウェーヴバンドが一斉を風靡したが、彼らのサウンドは既存曲の断片をあらゆる方面から引っ張ってきて再構築する、良く言えばサンプリング、悪く言えば剽窃の極みみたいなものであった。

そしてオレは『Trials of the Blood Dragon』からも、PWEIのような痛快な山賊作法をびんびんに感じたりするのだ。
様々なゲームの要素が雑然と継ぎ接ぎされているのだけれど、そこに『Trials Fusion』や『Shadow Complex』の本来の醍醐味はまったくない。
だけど雑多なコンテンツが渾然一体となり、それらを『Far Cry 3 Blood Dragon』でもお馴染みの過剰なネオンエフェクトであんかけみたいに絡めた様は、一種のデジタルサイケデリック作品として完成されていると言ったら持ち上げすぎだろうか。

継ぎ接ぎされているのはゲーム的な諸要素だけではない。
幕間と呼ぶにはボリュームがあるカートゥーン風アニメを始めとして、『Trials of the Blood Dragon』にコラージュされているのは、『Far Cry 3 Blood Dragon』からちょっと時代の進んだ90年代初頭の様々なカルチャー。
シニカルを気取るのがキッズの最良のアティチュードとされていた時代の諸々が、コラージュにコラージュを重ねたムービーからインターフェイス画面にまで、毒々しいカラフルさをたっぷりと加えてまぶされている。

『Far Cry』シリーズの各本編もデジタルドラッグトリップ的な描写にトライしていたが、イマイチ消化不良に終わっていた本編のそれに対して、あらゆる要素がぐっちゃぐちゃにかき混ぜられた『Trials of the Blood Dragon』は、かなり成功している。
そしてその徹底した雑食サンプリングに何か意味やテーマを見出そうとしても、「ハハ、そんなもんあるわけないっしょ!」と無責任に放り投げているところにも、オレはまたPWEI的なやりたい放題のアナーキーさを垣間見たりするのだ。
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(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3081.html
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