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2021/05/24 (月) カテゴリー: XBOX Series X|S

ネビュラ宙域は入りこんだ船を遭難させる宇宙のサルガッソーのようなエリアだ。
そこに迷い込んでしまった宇宙船がまた一隻。しかし誰も気にしなかったのは、その船の荷物がフリーズドライされた犯罪者ばかりだったからだ。
しかし船のAIにとっては「はい、そうですか」と言ってはいられない話だ。
生憎と唯一のスタッフはゲーム開始早々あっさりと犬死した。
ならばとAIはフリーズドライ犯罪者を順次宇宙船の墓場に送り出し、宙域からの脱出に必要なモノを捜索させるのであった。

『Void Bastards』を一言で説明するならローグライクなFPS。
並びがランダムに変わる網状の宙域マップを辿りながら難破した宇宙船内を探索し、燃料や食料、ジャンクパーツなどを集めながら重要アイテムの回収を目指す。
キャラクターが途中で死ねば、それまで集めたアイテムや開発した装備のステータスのみが引き継がれ、新たに水で戻された別のフリーズドライ犯罪者へとバトンタッチされる。
キャラクターそのものにレベルアップ要素は皆無だし、元々が人権なんかない宇宙犯罪者だから、まあ早い話が使い捨てだ。

クリティカルヒット率が高かったり、アイテムを獲るたびに奇声を発してステルスを台無しにしたりと、キャラクターにはそれぞれプラスやマイナス特性が付与されているから、むしろ死んでくれると、こちらも気分が一新できて良かったりする。
いずれにしろ不憫な話だは、まぁ犯罪者だから自業自得とも言える。もっとも明らかに罪の内容に見合わないやつや冤罪っぽいやつもちらほら目についたりはするが……。

FPSモードで探索する宇宙船内のマップは自動生成ではなく船の種別ごとに固定。
アイテムや敵、漏電や放射能漏れ、火災などの危険エリアなどがランダムで配置される。
戦闘艦、病院船、カジノ完備の豪華客船など難破船の種類は様々で、船種ごとに特徴的な設備がある。
病院船だったら体力回復のチャンスがあるし、客船の場合は食料がたくさん落ちているかもしれない。
船によっては電気が落ちているので、まず電源室を目指す必要がある場合もあったりする。
どの船をスルーしてどの船を探索するか。このチョイスも程よくライトな戦略性になっている。

戦略性と言えば、物資のリソース管理要素もその一翼だ。
留まっているだけで食料は減るし、宙域マップを移動するには燃料を一つ消費しなくちゃならない。
そして宙域マップを漂う海賊や宇宙クジラなどのトラブルとのエンカウント。
これらリソースのやり繰りと、それを狂わせるランダムイベントのバランスがさり気なくよく出来ていたりする。

ビジュアルも『Void Bastards』の大きな魅力の一つだ。
コミック調のコマ割りで進行する、ブラックユーモアたっぷりの幕間イベント。
そしてやはりコミック風なアクティブパートの絵柄。敵の足音などが擬音で画面上に表示される演出などは、いにしえのFPS名作『XIII サーティーン ~大統領を殺した男~』をちょっぴり彷彿させる。

よく出来たローグライクゲームの中毒性を担保に、これまたタイトにまとまったシューティングパートやアイテム作成による成長要素、ビジュアルに設定、ストーリーなどが絶妙にバランス良く仕上げられた、やりごたえ満点の一作。
慇懃無礼なAIのデジタル官僚的な無茶振りに為すがまま、使い捨ての立場なプレイヤーは無事この宇宙船の墓場から抜け出すことができるか?
たとえ抜け出せたとしても、一段階上の難度での再プレイは、この手のゲームのお約束。
大丈夫。『Void Bastards』はその苦行にあえて乗り出すだけの価値が充分すぎるくらいあるゲームだ。
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3015.html
2021/05/24 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |コメント:を投稿する 記事: 【Void Bastards】ボイドバスターズ
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