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2020/11/15 (日) カテゴリー: PS1

新世代機が揃って登場した2020年。もはやPSサターン世代なんかは間違いなくゲーマー老人会入りしているようなもんである。
それだけ年月を重ねていると、経験した常識や価値観の変遷もかなりの数に上っていたりするわけで、特にこの10年は移り変わりのスピードがどんどん上昇していってる傾向がある。そのアップデートに追いつけずこぼれ落ちていくゲーム老人も、そりゃぼろぼろ出てくるというものだ。

洋ゲーという言葉もかつての響きから大きくその意味を変えた。と言うよりはもはや死語の部類に入ってきてるのかもしれない。
この言葉が使われ始めた経緯については諸説あるが、やはりソニー・コンピュータエンターテイメントが初代プレイステーションの初期に行った"洋ゲーやろうぜ"キャンペーンが、広まる大きなきっかけになったことは間違いないだろう。
当時のSCEはゲームが持つ旧来のイメージを変えるような試みを色々と行っていたが、"洋ゲーやろうぜ"のスローガンのもとに海外産のゲームをSCEが窓口となって送り出したのもその一環だ。

その第一弾となったのが本作『デストラクション・ダービー』。
後に『Driver』シリーズを送り出すReflections Interactiveの手による、車をぶつけ合うデモリッションダービーやバンガーレースをテーマにしたゲームだ。
そんなニッチなジャンルを扱ったゲームがテレビスポットCMまで打たれて大々的に売り出されたのだから、SCEの洋ゲー定着にかけた意気込みが伺えるだろう。

映画の「バニシング in TURBO」や「ラスト・アメリカン・ヒーロー」などで、そういう乱暴な競技が実際にあることだけは知っていたが、それがついにインタラクティブなものとして手元にやって来たのである。
オーバルレース、フィギュア8、そしてデモリッションダービー。今となってはマッチ箱のような見てくれの車たちだが、ポリゴン黎明期の当時としてはとても生々しい存在だった。
それらがレーススタートと同時にあちこちで破片を飛び散らせ、ひしゃげ、煙を上げて頓挫する。
そのあっけらかんとした破壊行為の一部始終は、思わず笑いが漏れてくるくらい痛快だった。
そして毎日肉を食ってる奴らは、こんなアホなことをしょっちゅうやっているのかと、ちょっぴり羨望を覚えたものであった。

国産ゲームとはあきらかにベクトルが異なるその頃の洋ゲーには、インタラクティブの異文化体験という側面が確かにあった。
SCEもそんな側面を踏まえて、洋楽や洋画に並ぶものとして洋ゲーという造語を編み出したのであろう。
だがSCEの思惑とは裏腹に、保守的な傾向の強いゲームオタクの間にあっては、その言葉は逆にやや侮蔑的なニュアンスを含んだものとして定着してしまった。
その頃の海外産ゲームのほとんどが、大味な造りでバランスや繊細さを欠いていたのが大きな理由の一つであるが、このイメージは洋ゲーがそういった欠点をすっかり補っていった2000年代に至っても、なかなか払拭することはできなかった。

そういった国内ゲーム事情と海外産ゲームの差異がすっかりなくなってきたのは、いつ頃くらいからであろうか。
今ではストアを眺めてみても、そのほとんどがかつて洋ゲーと呼ばれたものたちで占められ、それが当たり前の光景となっている。
その先鞭となった形の"洋ゲーやろうぜ"プロモーションだが、この『デストラクション・ダービー』以降はどうなったかというと、これがあっさりなし崩しになってしまい、『ワイプアウト』と『ESPNストリートゲームス』が一応それに続くような形であった覚えもあるが、いずれにせよなんとなく尻すぼみになってしまったことだけは確かである。
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