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2020/06/09 (火) カテゴリー: XBOX ONE

手のひらサイズの小さな小さなロボット。
丸っこい可愛らしい頭とボディ。しかも喋る。作った人間はきっと愛おしくて愛おしくて堪らなかったことだろう。
しかしロボットにだってネグレクト問題はある。
どんな理由があったかは知らないが、ロボットたちを作った科学者の家はいつしか家主不在となり、この小さなロボットたちもバッテリー切れを起こして長い眠りについていた。

長い月日の後、家を直撃した落雷によってタイラーという名のロボットの電源が偶然オンになる。
久方ぶりの目覚めだ。しかし長く空き家状態だった家には人の気配がまったくなく、浦島太郎どころの話ではない。
欠落していた時間を取り戻すため! …………なんてオーバーなものではないが、とにかく状況を把握するためには家の中を色々と調べなくっちゃならない。
だがタイラーは手のひらサイズ。椅子すら見上げるような彼にとって、その探索は家探しなんてレベルを遥かに超えた冒険となるのだった。

タイラーの動力源は光。しかし長らく誰も住んでいなかった家だ。灯りという灯りはみんな消えている。
ちなみに今かすかに満たされているバッテリーがなくなればゲームオーバー。再び雷が落ちるなんて偶然は期待するだけムダだろう。
自然とタイラーの当面の目標は、手近にあるランプを点けて回ることになる。
だけどランプってのは、たいていはテーブルとか棚の上とかに置かれているのが常だ。小さなタイラーにとっては、まずそこまで辿り着くのが一苦労。

試行錯誤しながらランプをひとつ、またひとつと点けるごとに広がってゆくタイラーの行動範囲。
頼りない小さなランプの光と言えど、タイラーにとってはまるで太陽のように頼もしい明かりだ。
薄暗い家の中が少しずつランプの暖かい光でほのかに満たされていくビジュアルには、なんとも言えない美しさがあって、このゲームの最大のチャームポイントとなっている。

だが家の中に生き物の気配がまったく無いわけではない。
クモ、ハチ、アリ、ゴキブリ。いずれもフレンドリーな連中ではないし、手のひらサイズのタイラーには、なかなか面倒くさい相手でもある。
そんな連中を蹴散らしてステータスアップを重ね、地下室からリビング、屋根裏に中庭と広がる冒険の舞台。

一方で純粋な3Dプラットフォーマーとしては、あまり洗練されてるとは言い難い。
補正の利かないジャンプアクションを始めとして、操作性のもどかしさはちょっと目に余るものがあり、人によってはこれで大幅に評価が下がるかもしれないが、しかし暖かみを帯びたライティングに代表されるビジュアルの美しさとタイラーのいじらしさ、そしてゲーム全体に漂う慎まやかな終末感には、それを補うだけのものがあった。
この無人の家に一体何があったのか。なぜ自分たちは放棄されたのか。それを探るタイラーの小さくもディープな冒険は、やがて時間を超える展開へと至るのであった。それもタイラーとこのゲームらしいささやかな規模で。
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