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【Forza Horizon 4】クリスティーン

   ↑  2020/06/01 (月)  カテゴリー: XBOX ONE
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小説や映画などの創作物によって車に特定のイメージが植え付けられる例がままある。
オレの場合、ダッジ・チャレンジャーR/Tを見ると、もうバリケードに突っ込む未来しか想像できなくなるし、トヨタ2000GTはブロークンな日本語をしゃべる男が悪質なブロックを駆使してトップを堅持する車だ。
その最たる例がスプリンター・トレノ。もうあれを見てなんとかとうふ店をイメージしない人のほうが稀であろう。
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それでも良いイメージならまだいい。よりによって禍々しい印象を残されてしまったらどうなるか。
大胆なテールフィンが特徴的なプリムス(プリマス)・フューリーは、アメリカ自動車産業のもっともハッピーな時代を体現したようなモデル。
そのままであれば、自動車産業ゴールデンエイジを象徴する一台として同時代を生きた人々の記憶にぼんやりと残り、一部のマニアたちだけに長く愛でられる車で終わっていただろう。
そう、スティーブン・キングという名の男がそれを主人公に小説を書き上げて、ジョン・カーペンターが映画化するまでは。
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キングがなんと言おうが、オレはキング原作小説の映画化作品は「地獄のデビル・トラック」以外どれもほぼほぼ大好きだ。
中でも「クリスティーン」はキング原作映画としても、ジョン・カーペンターのフィルモグラフィーにおいても飛び切りの存在だ。
そりゃあキング自身やそのファンが、この映画版に対してもどかしさを抱くこともよく分かる。
だけどあの長大かつ執拗な小説を2時間弱の尺に収めるのはハナっから無理があるわけで、映画は原作の長きに渡っての怨念が封じ込まれた邪悪な車を、性悪でサイコパスな人格を持った車に置き換えて、気弱な青年と優等生の友人、そしてハイスクールきっての高嶺の花との四角関係を描く青春ストーリーへと生まれ変わらせた。

ジョージ・サラグッド&ザ・デストロイヤーズの"Bad to the Bone"と共に生産ラインに上がってきた58年型プリムス・フューリー、通称クリスティーンは生まれながらにして我がままで執念深くタチの悪い女だ。
ほんの気まぐれで工場員の手を潰し、車内に葉巻の灰を落とした男をさっそく死に至らしめた。
その性悪は紆余曲折を経て、年上のヤバい女としてハイスクールのいじめられっ子アーニーの前に現れる。
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クリスティーンが喜怒哀楽を表現する手段はカーラジオ。もっともそのラジオの時間は彼女にとっての黄金の時間、50年代で止まっている。
流れる曲は映画の時代設定である70年代末ですら、すでにオールディーズと呼ばれていた古いロックンロールばかりだ。
車の中での恋人との時間の背後で鳴り響いていたカーラジオの思い出は尊い。「クリスティーン」はそんなカーラジオの映画でもある。
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『Forza Horizon』シリーズにはゲーム内ラジオ局がいくつかあり、それぞれの専任DJが曲と共にゲームに絡めたトークも交えてくれるのだが、さすがに収録曲の少なさがネックになり、オレはもっぱらSpotifyをバックグラウンドで流してカーラジオ代わりにしている。
ジョン・カーペンターは自ら映画のスコアを書くことでも知られ、Spotifyにはカーペンターの手による「クリスティーン」のサウンドトラックもあるのだが、ここで流したいのはやはりクリスティーンのカーラジオから流れていた劇中歌の方だ。
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『Forza Horizon 4』でプリムス・フューリーを乗り回すときに常にセットになるのは、これら劇中歌を収めたプレイリスト。
ドライブインシアターでクリスティーンがヒロインの殺害を目論んだときにラジオから勝手に流れたロバート&ジョニーの"We Belong Together"「♪あなた(あの人)は永遠に私だけのもの」
クリスティーンを傷つけた不良の一人に復讐する際に、戯れのように鳴っていたサーストン・ハリスの"Little Bitty Pretty One"。
アーニーの死にレクエイムのように響かせていたジョニー・エースの"Pledging My Love"「♪すべてを捧げて永遠にあなたを愛す」
クリスティーンの激情の発露だったリトル・リチャードの"Keep a Knockin'"にラリー・ウィリアムスの"Bony Moronie"。

まるでクリスティーンの断末魔のように聴こえたダニー&ザ・ジュニアーズの"Rock And Roll Here To Stay"。
そしてなにより彼女のテーマ曲であるかのようだったバディ・ホリー&ザ・クリケッツの"Not Fade Away"「♪あたしの愛はキャデラックよりも大きいわ」
カーラジオから流れていた曲ではないけれど、もちろんジョージ・サラグッドの"Bad the the Bone"も。
これらの曲をぶち込んだSpotifyプレイリストと共にプリムス・フューリー(マイナンバーはもちろんCQB241)を走らせていると、気弱なアーニーを劇変させたクリスティーンの無音の囁きが聞こえてこないかと妙な期待をしてしまう。
少なくともこの組み合わせで走っている間は、ポルシェもフェラーリも無粋な脇役。世界はオレとクリスティーンの二人だけのものだ。
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不良たちにめちゃくちゃに壊されたクリスティーンが、めきめきと金属を軋ませながら自己修復するシーンは、あの映画のハイライトの一つ。
『Forza Horizon』でフォトモードに入ると、現状の車についた傷を修復させるかどうかの選択が出てくるが、オレはあれを見るたびにいつも「クリスティーン」の例のシーンを思い出す。
どうやら自己修復は『Horizon』に出てくるあらゆる車に備わった超常的な能力。
だが数多の車の中でも、ボロボロの車体が一瞬でぴかぴかの新車同様になる姿が似合うのは、なんと言ったってプリムス・フューリーをおいて他にはないのだ。

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2020/06/01 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


No title

クリスティーン様は本当にカッコいい!アーニーは彼女と逢えて幸せだったのでは。彼女とガチで闘えるのは蜘蛛女のレナ・オリン様とかターミネーター2のリンダ・ハミルトン様とか?キングの原作と全く別物。

悪女の深情け |  2020/06/02 (火) 12:00 No.1490


V8エンジンを普段は必要以上に荒らげない寡黙さも、クリスティーンの妖しく危険な地雷女っぷりを際立たせてしましたね。
彼女の存在がなかったら、取り柄のないB級ホラーに留まっていただろうなぁ。

管理人 |  2020/06/04 (木) 18:06 No.1491

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