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PCエンジンのCDロムロムは、まだCD-ROMというメディアが海のものとも山のものともつかなかった1988年の時点で、CD-ROMシステムを標準搭載した非常に画期的なハードでした。
ただ当時のCD-ROM媒体のゲームは、絵がアニメーションするだとか、生ボイスを収録できるとか、ローディングが鬼のようにクソ長いとかの部分のみがその特徴として語られ、またスーパーCDロムロム以降のゲームは、実際にそれらをメリットとした作品ばかりになってしまいました。

この新しい媒体を使って、今までにない新しいことにチャレンジしようという試みは、CDロムロムが立ち上げ間もない頃の方が、むしろよっぽど盛んでした。
そもそもCDロムロムの斬り込み隊長にして、CD-ROMゲームソフトの草分け的存在である『No・Ri・Ko』にしてからが、ゲームとアイドルの本格的コラボレーションという斬新なものでしたし、やはり"世界初のCD-ROMマガジン"という触れ込みだった『ウルトラボックス』シリーズ(全5号)や、家庭用ゲーム機でできる本格的カラオケの元祖とも言える『ROMROMカラオケ』シリーズ、ゲームとアイドルオーディションの合体『みつばち学園』など、ゲームの枠に囚われないCD-ROMの使われ方が、CDロムロム初期には活発に模索されていたのです。

このCD-ROMでできることに対する様々なチャレンジは、90年代前半に狂い咲いたマルチメディアCD-ROMムーブメントへと自然に繋がって行くのですが、このPCエンジンCDロムロムソフト、『マジカルサウルスツアー 最新恐竜図解大辞典』は、そんなマルチメディアCD-ROMの元祖とも言える存在の一つです。
銀河万丈の重々しいナレーションから幕を開けるこのソフトは、100種類以上もの恐竜のデータや解説を収録した、言わば"動く恐竜大図鑑"。
後年のマルチメディアCD-ROMには、相当いい加減な体裁のものも多く見られましたが、先駆者であるこの『マジカルサウルスツアー』は、奇をてらわず丁寧に作られた、データベースソフトとしては完成度の高い作品となっています。

収録された画像や動画も、PCエンジンとしては非常に頑張ったレベルのものになっており、家庭用ゲーム機で本格的なデータベースソフトを実現させようという、作り手の意気込みが伺えます。
とは言っても、お堅い学習ソフトには偏らず、進行役にマスコットの恐竜(声は皆口裕子)を配したり、バラエティの項は、ちょっぴりくだけたトリビア集になっているなど、あくまでも楽しく読める恐竜図鑑という心配りだけは忘れていません。

エンディングは恐竜絶滅に関する様々な説に対する考察。
そして「種としての恐竜は確かに絶滅したが、しかし恐竜は我々の心の中で、今でも生き続けている」なんて、思わず「いねえよ!」なんてツッコミたくなるような一言で幕を閉じますが、しかしこんなベタなセリフでも、銀河万丈のナレーションで語られると、それなりに重々しさが出てくるから、実に不思議なものです。
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2020/04/03 | Comment (1) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |現在の最新CGで描かれる恐竜は羽毛でモフモフしてモロに鳥っぽいのが馴染めません。恐竜は鳥類に進化して今も私達と共生しているという美談。昔の恐竜図鑑はロマンがありました。ティラノサウルスだってゴジラみたく直立して格好良い!銀河万丈様は「100分で名著アーサー・C・クラーク」で朗読を担当して下さり、「楽園の泉」の朗読を聴けて生きてて良かった。
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