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2020/03/15 (日) カテゴリー: Switch

脱出ゲーム(Escape The Room)というジャンルが生まれ定着していったのは2000年代の初め頃だが、この古株のゲーマーにとっては懐かしくプリミティブなアドベンチャーゲームにしか見えないゲーム群の新たなジャンル定義化に、オレは当時かなり奇異な印象を抱いていた。
申し訳程度のバックグラウンドやストーリーの下に、パズル的なタスクのクリアを積み重ねて閉鎖された環境からの脱出を目指す。

システム同様にビジュアルも極めて簡素で情報量を抑制しており、それはハードの表現力が急成長するのと足並みを合わせてどんどん肥大化していったアドベンチャーゲームのメイン潮流に対する、先祖返り化によるアンチテーゼの一種だったのかもしれない。
まるでプログレッシブロックの全盛に反発したパンクムーブメントのような……、って一瞬思ったけど、この例えはなんか違うような気もする。忘れてくれい。

ともあれそのシンプルな表現が勃興しつつあったモバイル通信機と絶妙な親和性をみせたことから、たちまちのうちにジャンルとして定着した脱出ゲーム。
スマホゲーム時代の現在にさらなる隆盛を極めてはいるが、しかしスマホの性能の向上と共にストーリーやビジュアル、情報量、そしてシステムなどがやたらと肥大化、あるいは複雑化したものも増えてきて、それがシンプルを旨とした同ジャンルの基本からどんどん乖離していっているようで、まさに歴史は繰り返すを見る思いだ。

Nintendo Switchなど各ハードで発売されている『Agent A - 偽装のパズル』も、この脱出ゲームの一種。
プレイヤーの立場は腕利きのスパイ、エージェントA。
同僚を次々と手にかけてゆく敵方の凄腕エージェント、ルビー・ラ・ルージュを追い詰めるのが今回のミッション。
007シリーズを彷彿とさせる設定だが、脱出ゲームの常としてピアース・ブロスナンやダニエル・クレイグのようなアクションを要求される恐れは一切ない。
開始早々仕掛けだらけなルビーのアジトに拘束状態となり、あとは目の前のシチュエーションから次に移るためにパズルパズルパズル謎解きの連続。

付随するストーリーがだんだんと凝ってきて、脱出ゲームの本分との噛み合わせがぎくしゃくとしがちな作品が多い中にあって、『Agent A』はその辺りのバランスが優れている一作だ。
ビジュアルは嫌味がなく、後半に行くにつれて歯ごたえを増すパズルもやり応えがある。
なにより謎解き部分とストーリーの繋がりの見せ方が非常にスムーズでテンポがよい。

チャプター区切りの程よいボリューム配分も相まって、パズルに長々と足止めを喰らわない限りは、オープニングからラストまでリズミカルにゲームを進めてゆくことができるだろう。
ルビーとの丁々発止のやり取りは全5章仕立て。
オリジナルのスマートフォン版は、この5章が間隔をおいて順次配信され、チャプターごとに購入するシステムだったらしいが、据え置きゲーム機、及びPC版は5章すべてをパッケージングして販売されている。
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