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【トロと休日】漁港の白日夢

   ↑  2018/01/28 (日)  カテゴリー: PS2
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トロと過ごす漁港の休日。それはまるで白日夢のような日々の繰り返し。
プレイステーションを代表する顔となったトロの、プレイステーション2初お目見えとなった作品は、神奈川県の三浦半島にある三崎を舞台にした、奇妙な奇妙なゲーム。
ウォーキングシミュレーターというジャンルが根付いて久しいが、期せずしてそれの始祖鳥的存在となった作品だ。
一応、『どこでもいっしょ』のシステムを受け継いではいるが、それはあくまでも形骸的なもので、『どこでもいっしょ』のような言葉のやり取りを主眼に置いたゲームではない。
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『トロと休日』は夢の中の景色を彷徨うゲームだ。
実写とトロの融合。トロがぴたぴたぴたと足音をたてて歩くのは、確かにロケーションされた現実の三浦市三崎の町並みだ。
しかし、ひとけが途絶え静寂に包まれた『トロと休日』の中の三崎は、奇妙なまでに生々しさを感じさせない風景になっている。
高台、桟橋、神社、何の変哲もない住宅街、ささやかな歓楽街。それは確かに実在の三崎の風景なのだろうが、しかし、トロと一緒にこうして歩く三崎の町は、まるで白昼夢の背景のような現実感の無さに包まれているのだ。
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旅館の女将、さくらやのエプロンお姉さん(本作のアイドル的存在)、くろば亭の大将、郵便屋さん、スナックのママ。
ひとけのない、まるでゴーストタウンのような『トロと休日』の三崎で、時折出くわす実写の人間たち。
普段は実際の三崎で現実の生活を営んでいる人たちも、このゲームの中では、やはり夢の中の登場人物が如き、現実感のないあやふやさで佇んでいる。
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唯一イレギュラーを挙げるとしたら、ほうきやちりとりを売っている店とは、およそアンバランスなおめかしをして店先に立つ雑貨屋のおばさんだろう。
この人の図抜けた現実感だけは、ゲームコンセプトを明らかに凌駕している。
「普段どおりのかっこうでいいんですよ」
そう懇願するスタッフには構わず、「いやいや、そういうわけにはいかないわ!」と、無理やり勝負服に厚化粧で撮影をうながす、そんな生々しい裏舞台が見え隠れしているようではないか。
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そんな茫洋とした風景の中を、トロとだらだら散歩する毎日。
漁港という一点をのぞいては、ありふれた田舎の町並みだ。路地裏、駅前、公園、商店街、刺激のあるような目新しい景色など、どこにもない。
行く先々でかわすトロとの会話も、夢の中らしく身のある内容なんか一つもありゃしない。
ぼーっとそこらを歩き回って、トロの発言を適当に聞き流して、夜が来れば旅館に帰る。
そしてセーブをしてPS2の電源を切ったところで、まるで夢からはっと覚めたように、現実に引き戻される。
なんの刺激もドラマもない。でもそれでいい。『トロと休日』は、ぼんやりとして掴み所のない白日夢をトロといっしょに体験する唯一無二のゲームなのだから。

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