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ミステリ アドベンチャーゲーム

『江戸川乱歩の怪人二十面相DS』や『超名作アドベンチャーDS レイモンド・チャンドラー原作 さらば愛しき女よ』、海外では『Agatha Christie: The ABC Murders』など、ニンテンドーDSには名作ミステリのゲーム化作品がやたらと多いが、そのほとんどが原作をダイジェストで電子ノベル化したレベルに留まっているものばかり。
そんな中で唯一気を吐いたのが、フロム・ソフトウェアがリリースした横溝正史原作金田一耕助シリーズ『犬神家の一族』と『八つ墓村』だ。

他の古典ミステリのDSゲームが、とってつけたようなキャラクターデザインに一枚絵の安っぽい紙芝居だったのに対して、フロムの金田一耕助シリーズは、墨絵風の独特なモノクログラフィックにより、市川崑の映画化作品とはまた違った形で横溝ワールドのビジュアル化に挑んでいる。
そのダークトーンビジュアルの作り込みはなかなかのもので、グラフィックのパターンもかなり多彩だったり、凄惨なシーンでは黒と赤の二色が使われたり、一部アニメーションがあったりと見応えは充分。

ゲーム内で金田一が何度も読むことになる事件以外の記事も充実した(当時の時事ネタなども記載されている)新聞や、タッチペンで金田一(歴代の金田一の中では、鹿賀丈志に似ている)の頭をガリガリと掻きむしるヒントモードなど、ビジュアル以外からも雰囲気を生み出そうと、あの手この手のアイデアが詰め込まれているのも好印象。
ただしプレイヤーが詰まるようなところは、そう見当たらないので、神宮寺三郎シリーズのタバコすうコマンドに該当するヒントモードの出番がほとんど無いのは勿体ないところだ。

ただし古典ミステリゲーム化の宿命だろうか。この『犬神家の一族』も他の類似作品と同様、原作に忠実なストーリー進行を余儀なくされるので、ゲームは自然とミステリADVというより、手の込んだ電子ノベルの体裁に落ち着いてしまうのだった。
ちなみにストーリーは、映画版ではなく横溝正史の原作に準拠。
「犬神家の一族」は、今や原作よりも映画の方がより人々に多く知られているので、原作未読の人には映画版との差異の部分が、ちょっぴり目新しいかもしれない。
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2017/09/13 | Comment (3) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |原作は淡々としていて、凄惨なシーンも其ほど怖くない。現実にあれだけ一族から死人が出たら、町全体が大ダメージだと思いますが、一種のファンタジーのような美談として終わっております。映画のビジュアルが強烈でドリフのコントになってましたものね。
再レスすみません。原作準拠だから、ちゃんとパジャマのズボンを履いているのですね。
一連の映画や杉本一文の表紙など、外堀の方が中身を差し置いて横溝作品の世間的なイメージを印象付けちゃってるところがありますよねえ。
このゲームも基本は原作準拠ですけど、見せ場見せ場はやはり映画版のイメージを押し出しちゃってますし。
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