この記事に含まれるtag :
マルチメディア
↑
2017/09/02 (土) カテゴリー: 3DO

その手の一連のソフトにどんな正式名称がついていたのか定かではないが、とりあえずそれらはマルチメディアCD-ROMなんて呼ばれていた。
今から約20年前。まだWindows95が出るか出ないかの頃、新時代のメディアなんて一瞬だけ持て囃されたソフトジャンルのことだ。
早い話がゲームでも実用ソフトでもない、様々なジャンルの情報をCD-ROMに収めたデータベースソフト。
今の感覚だと「そんなCD-ROMをいちいち閲覧するより、ネットにアクセスした方が手っ取り早いじゃないですか」となるのだろうが、当時の一般的なネット環境では、動画はおろか画像すらもやり取りさせるのは一苦労だったのだ。
動画や画像など、様々な情報を詰め込めるマルチメディアCD-ROMは、そんなインターネット普及前夜の情報伝達の担い手になる……、筈だった。
しかしWin95以降のインターネットの爆発的な発展を前に、こんな悠長なメディアの旬は瞬く間に過ぎ去ってしまった。

CD-ROMドライブ搭載が標準となった次世代ゲーム機にも、自然とこのマルチメディアCD-ROMの波は押し寄せてきたのだが、中でもその波をもろに受け止めてしまったのは、案の定3DOだった。
これはゲーム機ではなくマルチメディア端末を自称する手前、その手のソフトを正面切って受け入れなければならない立場的な問題もあったのだろう。
さらにサターンやプレイステーションは3DOより後発であるため、マルチメディアCD-ROMが馬脚を現すのを見極められて、その分深みにはまらず済んだのかもしれない。
とにもかくにも、この手のノンゲームソフトが群れを成した3DO。この傾向は日本よりもむしろ北米の3DO市場の方が強く、カタログのタイトルだけを頼りに北米版3DOソフトを数本取り寄せたら、その半数以上がノンゲームのマルチメディアCD-ROMだったので愕然とした思い出がある。

その3DOマルチメディアタイトルの一つ『マリンツアー』は、"ダイビング・スポット・ガイド"のサブタイトルが示すように、ダイバーの為のデータベースソフト。
同内容のソフトは、やはり3DOで『オーシャンズ・ビロウ』という作品がリリースされている。
決して多くはない3DOの全ソフト数の中で、ダイビングガイドなんてやたらとニッチなジャンルが二つも被ってしまったが、いかにも3DOらしい不器用さと言えるだろう。

水中動画をふんだんに盛り込んだ『オーシャンズ・ビロウ』に対して、この『マリンツアー』のウリはCGで作成された立体地形図の数々。
バリ、紅海、グレートバリアリーフ、伊豆など、世界各国の様々なダイビングスポットの海底地形を沈船の位置までしっかりおさえて再現。
さらには魚の分布図や一年通しての気温の変動。現地までの所要時間や通貨レート。そして各地のダイビング業者の案内など。
実用性の面では『オーシャンズ・ビロウ』を遥かに凌駕する内容だ。

もっともただでさえ限られた3DOユーザーの母数から、さらに海外までダイビングをバリバリやりに行く者を対象にするなど、そりゃもうニッチにも程があるわけで、市場に放たれた『マリンツアー』の中で本来の目的にキチンと有効利用されたものが、果たして何本あったことだろうか。
一番たまらなかったのは、こういうソフトも義理で入荷しなければならなかったパナソニックのお店の人たちだ。

このソフトの一番の見所は、実はパッケージの裏側。
この裏ジャケット部分は、本来ならスクリーンショットなどと共に、内容の簡単な解説などが書かれているのが普通だが、この『マリンツアー』のそれは、例の不気味な海底地形図の画像が、なんの説明もなしに整然と並べられているだけの、あまりにもシュールなシロモノ。
何の予備知識もなしに店頭でこれを手に取った人は、どんなソフトなのかさっぱり理解できなかったことだろう。
- 関連記事
-
- 【平田昭吾インタラクティブ絵本 シンデレラ】
- 【三國志Ⅳ】第一次過渡期三國志
- 【マリンツアー】マルチメディア海底地図
- 【ピーター・フランクル パズルの塔】数学と大道芸
- 【クラッシュ・アン・バーン】Crash'n Burn
この記事に含まれるtag : マルチメディア
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-2681.html
2017/09/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |コメント:を投稿する 記事: 【マリンツアー】マルチメディア海底地図
お気軽にコメント:をぞうぞ。非公開 (管理人のみ閲覧可能なコメント:) にしたい場合には、ロック にチェックを入れてください。
Comment