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2017/08/07 (月) カテゴリー: XBOX 360

「オレたちの時代は、汗水たらしてハンマー振り回しながら、一つ一つ手作業で建物をぶっ壊してたのに。最近の若い奴ときたら、ワケの分かんねえ道具に頼って横着することばっか覚えて、ホントになってねえ!」
「爺さんたちの、道具がそれしかなかった時代の苦労を、オレたちに語られたっていい迷惑なんだよ! 今はマグネットガンって便利な道具があんだよ。ハンマーでいちいちぶっ叩いて壊すより、よっぽど効率がいいし応用が利くんだって!」
「それを横着っつうんだろうがあ!」
「じゃあ爺さんは、ハンマーすらなかった時代の連中に、ハンマー使うのは横着だって言われたら、どう答えんだよ? それにオレたちは、過剰に壊しちゃったとこは、ナノフォージってこれまた文明の利器で、きちんと丁寧に修復してんの。爺さんたちは、それこそ壊せば壊しっぱなしだったじゃねえか! 無責任もいいとこだろ、それって!」
「何をぬかしやがる、このひょうろく玉があ! もうかんべんならねえ!」
「ちょっと、お爺ちゃん、やめて! 危ないからハンマーおろして! ダリウスも、ちょっと言い過ぎたって、お爺ちゃんに謝って!」

もしレッドファクションが家族経営の工務店で、前作『レッドファクション: ゲリラ』の主人公だったアレック・メイソンが健在だったら、事務所兼住居の中で、サマンヤ(前作のヒロイン)や、本作の主人公で孫でもあるダリウス・メイソンを相手に、きっとこんな寺内貫太郎一家まがいの一悶着を起こしていたことだろう。
主人公がハンマーを投げ捨てるパッケージアートが象徴的な、レッドファクションシリーズの今のところの最新作、『レッドファクション: アルマゲドン』。
前作で建物解体から敵の殲滅(戦車対ハンマー、ハンマーの圧勝!)まで、オールマイティに猛威を振るった土木作業用ハンマーは、今や"伝統芸能"と題された実績絡みでしか出番がなくなり、それに代わって登場する汎用土木作業機械が、この『アルマゲドン」の真の主役であるマグネットガンだ。

まずは第一目標にアンカーを発射。続いて第二目標にもう一方を射出。すると第一目標に貼り付いたアンカーは強力な磁力によって、第一目標ごと強烈な勢いで第二目標に引き寄せられる。
建物&地面、建物&壁、あるいは建物&建物の組み合わせでマグネットガンを放てば、例え離れたところにある物件だって、安全に解体が可能。
もちろん前作のハンマー同様、戦闘にだって応用が利く。敵にアンカーを貼り付けて、もう一方を壁に放てば、敵はあっという間に壁に叩き付けられてミンチになってしまうだろう。
敵&敵、あるいは建物&敵なんて組み合わせだってある。銃器がなかなか効かない硬い敵だって、建物を二、三個ぶち当てれば、さすがに大ダメージを与えられるし、もしくは遥か向こうに引き飛ばして、いったん距離をとるってのもありだろう。とにかくプレイヤーのイマジネーション次第で、無限の応用が利く汎用道具なのだ。

火星のオープンワールドを舞台に、肉体労働者たちが土木作業具を手に正規軍相手に武装蜂起。
そんなブルーカラーたちのガテンテイストに溢れたぶっ壊しテロル劇が魅力だった傑作『レッドファクション: ゲリラ』から一転、奇怪なクリーチャーどもを相手にするTPSの体裁をとったことから、凡庸なシューターに堕落してしまうんじゃないかと危惧された本作を救ったのは、このプレイヤーの頓知心をくすぐる土木作業具。
しかもマグネットガンは、ハンマーと違って遠距離でも戦える武器だから、前作に続いて登場するレールドライバーやナノライフル、爆薬ランチャーといったレッドファクション伝統の面白武器たちは、前作以上に影が薄くなっちゃってる。

まあマグネットガンを使っての戦闘が、あまりにも面白すぎるので、これら伝統武器の不遇っぷりは、それほど気にはならないのだが、唯一気になったのは、設定に起因するガテンテイストの減退っぷりだ。
お爺ちゃんのアレック・メイソンや、初代『Red Faction』のパーカーなど、このシリーズは一介の労働者が主人公となるのが、お約束だったけど、前作で武力革命が成就してしまったがために、労働者による革命テロ集団だったレッドファクションも、今や立派な火星の正規軍、言い換えれば体制側となってしまっているのだ。

そして主人公ダリウス・メイソンも、元はレッドファクション正規の技術兵。
敵も人間タイプは少なめで、そのほとんどが、うじゃうじゃと大量に湧いてくる火星の原生生物なので、マグネットガンとナノフォージによるデストラクション&コンストラクションな要素を除けば、過去のシリーズを貫いていた独特の左翼ゲリラ臭が減退した、割と特徴のないサードパーソンシューターに落ち着いちゃっている。
やはり労働者の武器は体制側の走狗に向けられてなんぼのもの。このマグネットガンも、あんなワケの分からないクリーチャー連中でなく、生身の兵士とか軍を戦車に向けて使い、思う存分蹂躙して回りたかったんだけどなあ。
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