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今から150年前と言ったら、そりゃこっちにとってはもう教科書の中のようなお話だ。
偉大なる権現様が徳川幕府を開いてから、もう教科書数十ページ分の長い長い歳月が経ってしまった。
それだけ月日が流れてしまえば、当初はそれなりに上手く行ってた米本位の石高制経済にもひずみが生まれてくる。
それをどうにか立て直そうと、今の上様のお祖父ちゃん(暴れん坊だった人だ)は色々頑張ったけど、結局ダメだった。

もう貨幣経済への比重移動は避けられなくなっている。
そんなゆるやかな変革の時代に望まれた歴史ヒーロー、それは司馬遼太郎や池宮彰一郎の小説に出てくるような分かりやすい英雄じゃない。
後世からも評価に困るような清濁併せ呑んでシェーカーでかき混ぜた玉虫色の男。
誰が呼んだか"ワイロの田沼"。十代将軍徳川家治の下で老中を務めた悪名高き田沼意次。

目指すはそれまでの江戸幕府経済を転換させる重商主義。そして公共事業とプチ規制緩和による江戸の街の、日本経済の、ひいては自分の財布の活性化。
そのための頼りになる相棒は平賀源内。今ではウナギ絶滅の原因を作った男として知られた人物。
糸の切れた風船みたいな胡散臭い奴だが、こういう輩もしっかり有効利用するのが田沼様の懐の広さってもんだ。

90年代初頭の国産PCゲーム界隈。そこはアートディンクを筆頭にチャレンジングな題材を扱ったシミュレーションゲームの機運が高まっていた。
ホクショーはそんなSLGムーブメントを支えたメーカーの一つ。代表作は信長が海外侵略にまで繰り出しちゃう戦国SLGの『GE・TEN』シリーズ。
続いてホクショーが素材に選んだのは、江戸中期の田沼意次による経済改革であった。
そんなおよそ一般受けしないようなテーマが、まかり間違ってセガサターンにまでやって来た。

幕府の御金蔵に600万両貯めるため、上様から全権を任された老中田沼意次。
為すべきことは基本的にグラフのコントロールだ。貿易や鉱山運営、物価の調整に各階層の安定した成長。人口や治安の推移だって重要だ。
それぞれの兼ね合いを考慮しながら税率や予算配分、投資などの数値をバランスよく調整。
それによってうにうにと成長してゆくのは江戸の街。経済が活性化すれば、最初は質素だった町並みも次第に発展するだろう。

街の成長には文化的側面だって欠かせない。
食材や書物、珍獣に毎度おなじみエレキテルなど、国外から輸入したり源内に発明させたりした物品をタイミングよく流通させれば、江戸の街も沸き立ち、それは経済の発展や私財の充実に繋がるだろう。
オリジナルのPC-98版は『シムシティ』スタイルで淡々と進行する典型的なサンドボックス系SLGだったが、ホクショーの手を離れたこのセガサターン版は、当時はPCゲーム界隈でしか通用しなかったこの様式を、なんとか家庭用ゲーム機向けに噛み砕こうとかなり手を加えている。

そのもっとも大きな例がターン制の導入。
元々がサンドボックスのシステムに立脚していたゲームだけに、かなり賛否の別れる改変だが、PCゲームと家庭用機ゲームが乖離していた時代性、あまりにも地味でとっつきの悪いテーマを考えると、やむを得ない事情もあったのかもしれない。
もっともその改変も結局は中途半端なものに留まってしまっているが。
荒川通船事業や印旛沼干拓などの大型公共事業は巨額の予算を必要とするが、やはり田沼となったからにはチャレンジしたいポイントだ。
なぁに、ゲームの中では失脚はないから、安心して重商主義の大鉈を振るいまくれ!
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2017/04/26 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |大昔、NHKで放映していた早坂暁先生の天下御免という作品を思い出します。田沼意次が悪人ではなく、日本の発展のために奮闘しますが「動かず動かさず」を信条とする旧勢力に敗れるほろ苦い結末でした。
このゲームでも寛政の改革の松平定信が守旧勢力代表として、主にイヤミを垂れる係で登場します。
源内と田沼の密接的な関係といい、もしかしたらこれの企画のルーツとなったのも天下御免かもしれませんね。
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