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2017/03/07 (火) カテゴリー: SFC&N64

任天堂ハードの歴史。それは時代時代のデファクトスタンダードなゲーム機のあり方からの脱却の繰り返し。
その歴代ハードの中でもっとも象徴的な存在なのは、自身が絶対的なデファクトスタンダードであったファミコン、スーパーファミコンの流れから大きく舵を切ったニンテンドウ64だ。
あまりにも独創的なコンセプトやソフト戦略は、圧倒的な市場の支配者であった立場をも自ら反故にする、あまりにも大胆かつあり得ないものであった。

しかし自ら理想郷を追い求める任天堂に対して、そうはいかないのは64をビジネス的な意味も含めて"さらにスーパーなスーパーファミコン"と単純に捉えてしまったサードパーティーたちだ。
そしてニンテンドウ64の一番の不幸は、スーファミ商売の延長を目論む守旧的なメーカーばっかりが自陣営に留まってしまったことだ。
64の少数精鋭を標榜するソフト戦略は、スーファミ時代は枯れ木も山の賑わいであったそれらのメーカーたちのソフトを、必要以上にクローズアップする結果をもたらしてしまう。

夢の新ハード、ニンテンドウ64の船出。
オレがその日に目に焼き付いたのは、渾身の『スーパーマリオ64』でも、安定の『パイロットウイングス64』でもない。
量販店に山のように積み上げられ、発売早々ディスカウントの値札が貼られた、羽生善治が写る地味なパッケージ箱だ。
ひいてはそれがニンテンドウ64のファーストインプレッション、さらには後々まで残る64のイメージとなってしまった。

もちろんゲーム内でファンシーな実写画像で登場しまくる羽生名人に罪はないし、ソフト自体も当時の将棋ゲームの中でも抜きん出た実力を持つ、最強の称号に相応しいものだ。
しかしわずか三本しかないロンチタイトル、そのうちの一つがいつまで経っても店頭に山積みになって、日を追うごとにワイルドな値下げがされていく状況は、ハードのイメージ的にも決して芳しいものではない。

64の発売から三ヶ月後、ようやくロンチ第二弾の『ウェーブレース64』が着弾。
ユーザーにとっては砂漠のオアシスのような一本だったが、そこから二ヶ月また音沙汰なし。
結局ロンチの年に発売されたタイトルはわずか十本。その状況にあって『最強羽生将棋』は、一向に減る様子がないまま、値段ばかりを下げつついつまでも店頭に残り続けた。
それはせっかくのハードコンセプトの先鋭化に対して、下支えする流通戦略が旧態依然のままであったことの証明でもあった。

激安価格で我が家にやって来た『最強羽生将棋』も、64の特徴的なコントローラと将棋の微妙な違和感くらいしか印象に残ってない。
そんな『最強羽生将棋』64哀歌のダメ押しを感じたのは、今から約十年くらい昔のこと。
秋葉原の某レトロゲームショップの入り口で、これの箱入り美品が入り口脇の段ボール箱に無造作に詰め込まれ、その横に「ご自由にお持ちください」と貼り紙された光景。
その様子にはさすがにオレもいたたまれず、足早に横を通り過ぎるしかなかったのだった。
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