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2017/02/05 (日) カテゴリー: XBOX 360

時は今からちょうど10年前。
後に隆盛を極めるXbox Liveアーケードも、まだこの頃はタマが揃いきっておらず、オンラインマルチを賑わすタイトルもアナログゲーム出自の『UNO』や『カタン』程度のささやかさだった。
そこに舞い降りたのはちょっぴりもっさいデザインのトイカー。
動力はバネエンジン。バネで動くと言われてもいまいち理解しづらいが、しかしその仕組みをゲーム自身に問うても、2007年基準翻訳エンジンのフリーダムな直訳によって、さらに要領を得なくなるだろう。

バネで動くトイカーと混乱をきたす直訳。『Mad Tracks』のファーストインプレッションは、とりあえずこの二つを押さえておけばOKだ。
だけど「周」や「ゴゴゴー」に代表されるマッドトラックス語を面白がるだけで終わってしまってはもったいない。
次に訪れるべきはバラエティ豊かなゲームが並ぶメニュー画面。
トイカーが主役のマリオカート風レースゲームは、XBLAだけでも同趣向のソフトが山ほど出た雨後の筍ジャンルだが、『Mad Tracks』はそれらに似ているようで実はその趣はかなり違う。
メニューにズラッと並んだ種目の数、実に15個。
同一種目のステージ違いも一部あるが、それでも多彩さはなかなかのものだ。

その競技中、オーソドックスなレースやタイムアタックが占めるのは、ほんの3分の1程度。
残りはと言うと、トイカーを使ってのテーブルサッカーやホッケーに、助走をつけてのボウリングやダーツ、お椀状のフィールドで転がるボールを避けたり、刻一刻と上昇する水位から逃れるサバイバルゲームや食卓上での早い者勝ちアイテム争奪戦などなど。
各々のプレイ時間も5分程度の長丁場から、わずか一瞬で終わってしまうものなど様々だ。

坂を駆け下りてピンをなぎ倒すボウリングの後は、2チームに分かれてのテーブルサッカー。それが終われば今度はジャンプ一閃ダーツの的に飛び込んで、お次はトイカーでボールをプッシュするビリヤード。その合間にはもちろんオーソドックスなマリオカート風レースも。
まるで週末の夜のラウンドワン三昧のような、郊外ロードサイドスタイルの享楽パッケージ。
気心の知れたフレンドたちと時間をつぶすには、実に気の利いた肩肘の張らないバラエティゲーム集。
それがありがちなマリオカートクローンの皮をかぶった『Mad Tracks』の真の姿だ。

そしてぼっちで訪れれば疎外感に満たされて帰ってくるだけのラウンドワンと違って、『Mad Tracks』にはXbox Liveがあった。
大雑把かつおおらかであるが故に、時として(いや、大半は)ぐずぐず、或いはぐだぐだのまま終了するバラエティマッチ。
その結果に参加した多国籍の野良メンバーみんなで思わず苦笑いを共有してしまう、そんないい具合に気の抜けた一瞬が『Mad Tracks』オンラインマルチ最大の魅力だった。

時は今からちょうど10年前。
後に選り取りみどりの状況になるXbox Liveオンラインマルチも、まだ遊ぶゲームの選択肢が限られていた。
そこに舞い降りたのはちょっぴりもっさいデザインのトイカー。
銃弾飛び交う戦場や、深謀遠慮のカタンで殺伐とするLiveを束の間癒やした愛すべき小品。
そのアティチュードは、おそらく開発者たちは知りもしないであろう、ラウンドワン風ロードサイドスタイルだ。
<Xbox One互換対応タイトル>
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