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2016/06/29 (水) カテゴリー: XBOX 360

『Fallout 3』は父親、『Fallout 4』は息子、実の肉親に導かれる旅。
しかし『Fallout: New Vegas』の主人公、通称"運び屋"には、そんな気の利いた家族などいない。
ついでに記憶もない。Valut育ちというステイタスすらない。ないないづくしのまま不毛の荒野にポツンと捨て置かれた、なんとも不憫なやつだ。
そんな運び屋を導くのは運命だ。
道は運命に誘われるまま続いている。そしてすべての道はカジノに通じている。
運命と言ってもそんなご大層なものじゃない。チップ一枚に委ねられる程度の人生の岐路。
ついでにニューベガスとカタカナで書いてしまうと、まるで地方都市の流行っていないパチンコ屋みたいな安い響きになってしまうのも、この不憫な男の分に合っていると言えなくないかもしれない。

『New Vegas』は道を遡る物語だ。
その道は運命の行き着くところでもあり、ただの街道でもあり、その気になればファストトラベルでかっ飛ばせちゃう通路でもある。
道が繋がる先はモハビ。最終戦争前も、そして最終戦争の後もカジノのネオンで栄える街。
ビフォアー核爆弾とアフター核爆弾で、ここまでその姿と本質が変わらない場所も他にはない。
核の閃光も、そして放射能も、賭博とそれに樹液に群がる蟻のようにとりつく人間どもをねじ伏せることはできなかった。人の射幸心はかくも強靭だ。

B.O.S.にアウトキャスト、エンクレイブ、インスティチュートにレールロード、ミニッツメン、そして主人公とその肉親たち。
『Fallout 3』や『Fallout 4』は、それぞれにより良い世界の理想を実現するために、決意とエゴをぶつけあう物語。
しかし『Fallout: New Vegas』の各勢力には、そんな気の利いた理想などない。
おのれが既得権益を保持することに汲々とする硬直化した統治機構NCRと、現世のISを彷彿とさせる刹那的なカルト武装集団シーザーリージョン、そしてカジノに巣食う闇社会の連中。
これら救いのない連中がフーバーダムという巨大利権に目の色変えて群がり、欲望と野心を限りなくぶつけあう物語だ。

巻き込まれる主人公"運び屋"とて同じ穴のムジナだ。
だがそれも仕方がない。ここはかつて世界の中枢であったワシントンD.C.とも、アメリカ精神の発祥の地となったマサチューセッツとも違う。
砂漠のど真ん中に、この世のあらゆる欲望が流れ込むダムを造ったような街、ネバダ州ラスベガスなのだから。
その土地に息づく空気と意志は、核爆弾の猛威にも時の流れにも風化せずそこに留まり続ける。
モハビウェイストランドと名前を改めても、この砂漠の土地は変わらず欲望の吹き溜まる場所であったのだ。

そんな神も見捨てそうな刹那的な風土、荒れ果てた砂漠に集落や街が散在する最終戦争前と変わらないような殺風景。
ガレキだらけで場所への愛着など持ちようもなかったキャピタルウェイストランドはもちろん、現在進行形で彷徨っているコモンウェルスをも差し置いて、オレが一番愛着を持つウェイストランドは、ここモハビかもしれない。
砂漠の真ん中を街道が貫く。レイダーやラッドスコルピオンを追い払いながら、そこをとぼとぼと歩く旅。
もっとも孤独を感じさせ、もっとも人恋しくなるフォールアウト。
でもこの道は(安っぽい)運命に繋がっている。街道はあらゆる欲望と野心が遡る水脈。その先にはあのきらびやかなネオン輝くラッキー38カジノが待っている。
その道をダイスを転がすように歩き続ける。ロールミー、アンドコールミー、ザ・タンブリングダイス。
なんのステイタスも理想もビジョンもない等身大の男には、実にふさわしい旅路だぜ。
<Xbox One互換対応タイトル>
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