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【マカロニほうれん荘インタラクティブ】名作の陵辱

   ↑  2016/03/04 (金)  カテゴリー: 3DO
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変革はその時代のテンポを明らかに超越した、オーパーツ的なスピード感を持つ作品やメディアによってもたらされる。
プロレスにおいては80年代のタイガーマスクがそうだ。
その一種狂気的な躍動感とスピードに包まれたタイガーの試合は、それまでのプロレスのトラディショナルを感じさせない、まるで異次元からの来訪者のようであった。
しかしあまりにも時代を超えたスピードは、当人にもそれをはらむ運動体にも歪を生じさせる。
タイガーマスクは鮮烈な輝きと変革を残すだけ残して、アッという間に本人ともどもプロレス界からフェードアウトしてしまった。
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1977年、ロック界ではトラディショナルを打ち破る変革の嵐、パンクロックの旋風が吹き荒れていた頃に、「マカロニほうれん荘」は登場した。
それはやはりオーパーツという言葉でなければ説明がつかないくらい、時代をあまりにも先駆しすぎた狂気の疾走感で構成されたギャグ漫画であった。
だがそのハイテンションな輝きは作者をまたたく間に消耗させる。
誰もがタダ事で無さを感じた末期の変貌ぶりを経てなし崩し的に連載が終了すると、その後の作品は低調をきわめ、やがて作者の鴨川つばめは"消えたマンガ家"の代表例になってしまった。
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そしてこの3DOソフト『マカロニほうれん荘インタラクティブ』は、鴨川つばめが文字通り身を削って残したギャグマンガの金字塔とは、なんの関係もない。
スリーブにある「制作は高城剛率いるフューチャー・パイレーツ」「声の出演にあの吉本興業による豪華キャスト」「音楽は'93年グラミー賞のアレステッド・ディベロップメント」(マカロニに関わりのある音楽と言ったら、普通は70年代ハードロックだろう)の文字が、両作品の関わりのなさをハッキリと物語っている。
一応きんどーさんやトシちゃんなど、マカロニの登場人物に酷似したCGキャラが出ずっぱりではある。
しかしその声のキャストは、きんどーさん役は今くるよ、トシちゃん役はチャーリー浜。………極めて大雑把な見た目だけで声のキャスティングをするのは、止めていただけないだろうか。
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その他のキャストはというと、そうじ=清水圭(はぁ?)、かおりさん=ハイヒールりんご(……)、八千草先生=未知やすえ(あの可憐な八千草先生と「お前の頭スコーンと割ってストローで脳みそちゅうちゅう吸うたろけ!」のどこがリンクするのだろうか?)、ルミたん=小高紀子(これはまぁ悪くないような)、後藤熊夫=おかゆうた(だから大雑把な見た目だけでキャスティングするなと何度言わせる!)、ティディーボーイ団=ぜんじろう&ナインティナイン(この頃のナイナイっていいように使われてるなぁ)。
関西弁を隠そうともしないキャストたち、若々しさのかけらもない清水圭のそうじ、そして「いずこへ?」「……じゃ、あーりませんか」と、通常営業を臆面もなくかますチャーリー浜のトシちゃん。
原作レイプという言葉ではとても追いつかない目を背けたくなるような光景が、そこには広がっているだろう。
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CGキャラを申し訳程度にぎこちなく動かして、それをインタラクティブムービーだとうそぶくのはフューチャー・パイレーツの毎度の手口。
その手法がもたらすもたもたギクシャクとしたCG寸劇で、原作のあのリズミカルに畳み掛けるようなギャグの洪水を再現できるわけもなし。
フューチャー・パイレーツによるすっとこCG寸劇、素を隠そうともしない吉本芸人、間が悪く挿入されるアレステッド・ディベロップメントの三重奏を前に、原作を知る者も知らない者も、ただ言葉を失うばかりであろう。
原作者が隠棲しちゃっているのをいいことに、フューチャー・パイレーツは『チキチキマシン猛レース』や『モンタナ・ジョーンズ』を超える、やりたい放題の陵辱を働いたのであった。

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