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2016/01/07 (木) カテゴリー: PS2

ドンキーコングに攫われるピーチ姫のように、かってゲームにおけるヒロインの役割は、浅丘ルリ子的な立場がほとんどであった。
ヴァリスやアテナの例もありはするが、しかしビキニアーマーに身を包んだ闘姫とやらは、女性の自立とはもっとも遠いところにある概念から生まれてきたことは、改めて言うまでもあるまい。
その通年を打ち破った最大の功労者は、現在も最前線で活躍するララ・クロフト姐さんであろう。
そしてララさんに続けとばかりに、21世紀に入って2人のケイトが立て続けに登場した。
1人は『Syberia』のケイト・ウォーカー、そしてもう1人は本作の主人公ケイト・アーチャーだ。

いいところのお嬢さんであるララや、学歴と教養を備えたケイト・ウォーカーと違って、こちらのケイトは叩き上げ中の叩き上げ。
幼いうちに両親が死別してからは、ずっとスリ家業で身を立ててきた。その技量と度胸を買われてスカウトされた先は、大英帝国の諜報機関UNITY。
しかし時はまだ60年代。ジェンダーフリーなんて言葉が生まれるはるか前。
スパイ活劇に登場する女性の役回りと言っても、マット・ヘルムと一緒に泡風呂に浸かっているか、敵方の刺客として電撃フリントを誘惑するか、或いは靴に刃物を仕込んでボンドを急襲したりする程度に留まっていた時代。
ボンドガールと言えば聞こえはいいが、結局は男性主人公の添え物であることには変わりはない。

そんな女性蔑視の空気が色濃く残る時代だから、ドナルド・プレザンス似の上司もケイトの能力には懐疑的だ。
だがそうも言ってられない事態が勃発した。各地でUNITYのエリートエージェントたちが次々と暗殺される事件が発生。
アッという間に人材不足に陥ったUNITYは、事態の収拾にケイト・アーチャーを渋々送り出すのであった。
数少ない理解者である研究開発員(007ではQにあたる存在)が提供してくれる、口紅型爆弾や香水型催眠ガス、おしゃれサングラス型カメラに足音を消すウサギさん型ファンシースリッパといった女性向けスパイガジェットを手に、ケイト・アーチャーは東西冷戦の真っ只中、その行動で高らかにウーマンリブを唱えるのであった。

そのケイトと対峙する東側秘密組織H.A.R.M.は、デブで音痴なオペラ歌手兼殺し屋や、キルトスカートを履いたハイランダーなど、尋常じゃない人材を擁する一筋縄ではいかない奴ら。
後に『F.E.A.R.』シリーズや『コンデムド サイコクライム』など、一癖あるFPSを上梓するMonolith Productions制作。
この『The Operative: No One Lives Forever』も、銃撃戦よりもステルスアクション的なアプローチが主軸となる、スパイ活劇らしさを前面に押し出したデザインになっている。

異国情緒溢れる様々な国々から果てには宇宙にまで、スカイダイブやマリンダイブ、バイクチェイスなどの変化球を巧みに混ぜ込んで、急展開から急展開に次ぐストーリーに、これでもかと散りばめられたユーモアの数々。
タイトルバックからケイトのファッションまで至る60年代テイストのデザイン。そして何よりもケイト・アーチャー本人のキャラクターの魅力。
それらがバランスよくからみ合って得た高い評価は、この『No One Lives Forever』を、『Tomb Raider』に続けとばかりのシリーズ化に押し出したのであった。
<海外版>
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