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ゾンビ
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2015/06/04 (木) カテゴリー: XBOX 360

ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」。それはショッピングモール賛歌の映画だ。
この映画のおそらく唯一のオフィシャルゲームに、SPI社製のボードシミュレーションゲームがある。
少人数ながらも行動力と武装に秀でたSWAT側と、動きはのろいがとにかく数で圧倒するゾンビ側。
その性質と攻守の役割が明確に分かれた二陣営が特徴的な、異色のボードSLGであったが、それ以上にわくわくさせられたのは、例のショッピングモールがを平面化した、まるで店内案内図のようなマップだ。
ブティックに宝石屋にレストラン、史実を舞台にした一般的なボードSLGとは一線を画した生活感溢れるマップはとても印象的で、その馴染みのある風景を非日常的な行いで蹂躙しまくるのは、このゲームのもっともエキサイティングなポイントだったと思う。

そしてボードSLG版ゾンビから幾数十年、イノベーションを重ねたビデオゲームにおいて、ショッピングモールゲームの決定版とでも言うべき作品が登場した。
ウィラメッテショッピングモール。そこはイオンモールに負けないくらいの夢の国だ。
スポーツショップにおもちゃ屋にホームセンター、ありとあらゆる業種の店が軒を並べ、そしてそこをすべて我がものとして振る舞うことができる。
そう、オレにとって『デッドライジング』は、ゾンビパラダイスではなくショッピングモールパラダイスのゲームなのである。

駐車場の奥にそびえるショッピングモールに、ゾンビたちがふらふらと吸い寄せられるように集まる、このゲームの静かな静かなメニュー画面は、しばらく眺めていても飽きないほど素晴らしい。
その生ける屍たちの行動原理は、生前となんら変わりない。せいぜい身体が腐ってるかいないか、足取りがおぼつかないか軽やかか程度の違いだろう。
そんなゾンビたちのモール愛は、人ごとではなく痛いように分かる。
プロローグのモールメインエントランス前で、まるで休日とお客様感謝デーが重なった日のイオンモールみたいに、「早く入れろー」とひしめきあっているゾンビたち。
普段はオレもあの群れの中に混じっているのであろう。しかし"史上最低のパパラッチ"フランク・ウエストの身体を借りた今のオレは違う。
オレはこのモールで王様のように傍若無人に振る舞うことを許されたVIPなのだ。
入れてやっても構わないが、その代わりオレにバットやギターで頭を叩き割られても文句を言うなよ。

そんなショッピングモールの王様にとっての最大の天敵は、よりによって繰り返しプレイを前提としたバランスと、タイトなイベントスケジュールへの屈服を余儀なくされる、このゲームの根本的なシステムだったりする。
ショッピングモールは夢の国、時間を忘れて浸りたい天国であるはずなのに、これだけの作りこまれたモール空間を提供してくれながら、ゲームの側からそれを許してくれないもどかしさは相当なものだ。
バランスやプレイアビリティなどは、続編の2や3で少しずつ改善されてゆくのだが、しかし2や3はショッピングモールが舞台でないという致命的な問題がある。
カジノリゾートなんてまったく実感の沸かない場所だし、ましてや3の街という漠然とした空間など、焦点ボケもいいところだ。

やはりそこから外に踏み出す必要がまったくない、ショッピングモールという完全を究めた空間に勝るものはない。
食い物にも事欠かなければ、着替えも電池もたくさんある。暇をつぶしたければ本やCDは山ほどあるし、映画館や遊園地だってある。
ひしめくゾンビは、時としてやたらと邪魔っけな存在だが、それでも人っ子ひとりいないピエリ守山みたいな光景よりははるかにましだ。
このゾンビの群れに没して、自分も生ける屍の一人となろうとも、オレはこのやりたい放題のモールから出て行くつもりはさらさらないぜ。
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