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2015/05/06 (水) カテゴリー: 3DO

池袋の超高層ビル、サンシャイン60の最上階展望台が、リニューアルのために今日の営業を最後にしばらく休館してしまうそうだ。
子供の頃のオレにとって、サンシャイン60は高さの象徴であった。東京タワーのように上に突き出た鉄塔で水増ししていない、正味240メートルの眺望。
新宿の高層ビル街と違って周囲に高い建築物がないロケーションも、サンシャイン60の高さをより一層際立たせていた。
そのサンシャイン60も、やがて都庁に高さで抜かれ、そして日本一高い建築物の座も、その都庁からヨコハマランドマーク、あべのハルカスへと変遷し、海外では800メートル超級の想像を絶するビルまでもが登場するに至った。
その世界最高建築物ブルジュ・ハリファの記録も、来年クウェートで完成予定の1000メートルビル、ブルジュ・ムバーラク・アル=カビールの前に早くも風前の灯となっている。
バベルの塔の昔から、上へ上へと常に高みを目指すのは、もう人間の本能。
どこかで景気のいい国がある限り、この超高層建築の世界記録レースには、歯止めがかかることは無いのだろう。

90年代国産PCゲームのマスターピース、『ザ・タワー』も上へ上へとさらなる高みを目指すゲーム。
いわゆるサンドボックス系の経営シムなのだが、この『ザ・タワー』の場合は、『シムシティ』や『A列車で行こう』シリーズなどと違って、プレイヤーごとの個性が表れた独創的なビル造りというのは、そうそうできやしない。誰が作っても、基本的には似たり寄ったりなビルになるはずだ。
2階、3階辺りには飲食店やショップを配置して、その上にはオフィスをだだーっと設置。ビルの中段くらいからホテルの客室が加わり始め、15階ごとに設置できるスカイロビーの上下階には、再びショップや飲食店。そしてそろそろ建設できるはずの映画館など。
プレイの経過によって設置できる施設が少しずつ々に追加されていく仕組みだから、何度再プレイしたところで、基本的には同じ設置パターンを踏襲していくことになるだろう。
それでも再プレイに飽きが来ないのは、やはり上へ上へとひたすら階を継ぎ足していく行為そのものが、純粋に楽しいと言うこと。
そしてもう一つは、このゲームの独特のテンポだ。

『ザ・タワー』は、コントローラーを四六時中握り締めて、画面をひたすら凝視しているタイプのゲームではない。
むしろ、コントローラーを放ったらかして、画面から目を離して別のことをやっている時間の方が多かったりするだろう。
基本的にこのビルの開発は、カネが入ったらそれを全部注ぎ込んで階を継ぎ足していく、宵越しの銭は持たない経営理念によって進められていく。
ビルの主な収入源となるオフィスの家賃は、ゲーム内時間の休日明けに入金される。カネが入れば即座にそれを使い切ってしまうので、次の入金があるまではひたすら暇となる。
自然とその時間は、テレビを観たり、雑誌を読んだり、どっかに遊びに行ったりなんてことに使われる。
そして「そろそろ金が入ったかな」なんて頃合いを見計らって、コントローラーを拾い上げ、ビルを数階上に継ぎ足す。
この"ながら"作業が前提のルーズなゲーム性こそが、高さへの欲求と並ぶ『ザ・タワー』独特の魅力だ。

考えてみれば、ビル建設の過程を24時間絶え間なく注視している人なんてのは、そうはいやしない。
たまに見上げては「あ、もうあの辺までできているんだ」なんておぼろげに確認する。建設関係者ではない、単なる通りすがりな我々の建設中のビルに対する関わり合いなんてのは、本来その程度のものだろう。
本作のプレイヤーのポジションは、ビルの当事者なのにも関わらず、このゲームのビルに向き合う時間のテンポは、たまに建設現場の下を通りがかっては何気なく建設の様子を眺めていく見物人のそれなのだ。
この適度な無責任性こそが、このゲームが他の経営シムものと一線を画している大きなポイントではないだろうか。
だから『ザ・タワー』の本質的なテンポは、没入性の高い携帯機とは明らかに相性が悪い。
DSやGBAに移植された『ザ・タワー』は、このゲームにたっぷりと付いてまわってくる手持ち無沙汰な時間を、どうしても持て余してしまうのだ。

オレがもっとも遊びこんだ『ザ・タワー』は、この3DO版。
サターン版とほぼ同時期にリリースされたバージョンで、内容は外壁のビジョンにパナソニックの広告を流せる以外はまったく一緒。
まあ要するにサターン版に便乗してお情けで出してもらったようなものだが、末期の3DOは、発売予定のソフトがそのままなしのつぶてになったり、或いは『DOOM』のように流通に乗らずに通信販売のみの扱いになるなど、ネガティブな事態ばかりが続いていただけに、この『ザ・タワー』の発売は本当にありがたかったです。
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