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2015/04/12 (日) カテゴリー: XBOX 360

日が暮れかかった神社の境内、ゴムボールに棒きれやプラスチックバット、ダンボール紙のベースに樹の枝で地面に直接描かれたライン。
ビデオゲームやLSIゲームがそれほど身近ではなかったオレにとって、郷愁を呼び覚ます子供の頃の遊びは草野球もどきの風景だ。
三角ベース、あるいはワンバン野球、呼び名も様々ならルールだって場所や人数に寄って流動的だ。
縦長の場所、片側が崖、人数が偶数か奇数か、極端に学年の違う子が入ってないか。その場その場の条件次第でもっともベストと思われるルールを即興で決め、オレたちはプレイグラウンドに散って、掛布や村田兆治、思い思いの選手の真似をしながらゴムボールを投げたりぶっ叩いたりしていた。

野球が共通言語となる国ならば、その風景は海を越えても変わらないらしい。
はるかアメリカで行われていたのは、ゴムボール、棒きれ、そして土地ごとに細部が異なる無数のご当地ルールと、参加者たちのその日の気分によって設定されるアバウトルールの折衷によるキッズスポーツ、その名もスティックボール。
名前は違えど、それは我々がやっていたゴムボール野球と寸分違わぬ姿だ。
あの頃の日米のガキどもが邂逅していたら、たとえ言葉は通じなくともローカルルールの合意だけはあっという間に成され、ただちに試合が始まっていたことだろう。

Xbox Liveアーケードで配信されていた『MLB Stickball』は、そんな野球絶対主義の子供時代を過ごした人間たちにとって、共通のノスタルジーをテーマにしたゲーム。
この『MLB Stickball』のローカルルールは、一チーム四人構成、投手はイニングごとをチームのメンバーがローテーションで務める。
投手か内野手が直接ゴロを補球するか、ライナーやフライをキャッチすればアウト。直接キャッチできずフィールド内にボールが転がった場合は、原則的に全てシングルヒット。
そしてこれに、各ステージごとに設定されたさらなるローカルルールが加わる。
例えばブルックリンでは、打球が駐車してある車を直撃すれば二塁打。近くの建物のガラスを破壊すれば問答無用でアウトとなる。
セントルイスの農場であったら、納屋を直撃すればホームラン。ただし牛を直撃してしまうとアウトだ。

選手として名を連ねるのは、MLBの各球団からセレクトされた中心人物4名ずつ(イチローがまだマリナーズに所属している)。
デフォルト以外の選手は試合で得たポイントで購入できるカードパックから揃えなければならない。これがまたダブりの連続でコンプリートには相当の根気が必要なのだが、まあ考えてみれば野球カードもゴムボール野球と並んでガキの頃の数少ない娯楽。ゴムボールをひっぱたいて遊んだ後は、たいていその場で地べたに腰を下ろしてプロ野球カードの交換会となったものだった。
バブルヘッドのMLBスターたちが子供の遊びに興じるというコンセプトだけに頼ったゲームなので、何かと作りこみが甘く不満点はそこかしこに溢れる。

だけど夕日に染まった住宅街のステージでプレイしていると、カラスの鳴き声や夕刊を配る新聞配達のバイクの音、どこからか漂ってくる夕げの支度の香りなど、懐かしい音や香りが甦ってくるように時々錯覚することもある。
そんな瞬間、オレにはこのあまりにもアバウトなデキのゲームが、何故かとても愛おしく感じられてしまうのだ。
MLBの版権が切れたのか、昨年にひっそりと配信が終了していたが、それを知った時は、まるで小さい頃にさんざんゴムボール野球に興じた空き地や路地が、すっかり様子を変えてしまったのを見るかのような気分だった。
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2015/04/12 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |コメント:を投稿する 記事: 【MLB Stickball】郷愁のゴムボール野球
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