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ミステリ アドベンチャーゲーム
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2014/09/02 (火) カテゴリー: セガサターン

『Alan Wake』や最新版『Alone In The Dark』など、チャプターやステージが前回までのあらすじとスタッフロールにサンドイッチされた、連続テレビドラマのような体裁をとるゲームは結構多い。
1時間半程度で終わる劇場用映画よりも、ボリュームのある連続ドラマの尺に近いゲームの総プレイ時間は、こうしたチャプターを区切ってメリハリつける構成に適していたりするのだろう。
連続テレビドラマというと、ついWOWOWやCSのメインコンテンツとなっているアメリカ産の人気作ばかりを連想してしまう昨今だが、日本にだってお昼の連ドラや一世を風靡した大映ドラマの伝統がある。
大仰な演技、ベタベタで強引な展開、お約束を視聴者に無理矢理刷り込む力業。乱造の中から「真珠夫人」や「牡丹と薔薇」などのパワフルな名作をぽんと生み出す昼ドラ、連ドラは、海外ドラマに負けないエネルギーを秘めた、誇れる国内産コンテンツである。

90年代末期に業界一部を騒がせたアクセラ(開発はブレイク)がリリースした『マリア 君たちが生まれた理由』。
発売前情報から伺えるおどろどろしい雰囲気や、妙に怖いヒロインのキャラクターショットなどから、誰もがホラー系のインタラクティブドラマを想像したが、蓋を開けてみれば実は昼ドラのコンセプトをそのままゲーム化したものだった、いい意味で期待を裏切ってくれた印象深い作品だ。
主人公は大病院の外科医。担当となった自殺未遂少女は、絵に描いたような昼ドラ的解釈で濾過された多重人格者。
バラの花、陶器のかけらなどのキーワードで、突然豹変する少女のカウンセリングを続けるうちに、おのれの過去にも関わるとんでもない運命の輪廻に巻き込まれてゆくという、新聞ラテ欄風のあらすじ紹介がどんぴしゃハマってしまうような王道の連ドラ風ストーリー。

基本的にはテキストで進行して思い出したように選択肢が混ざるサウンドノベル的な体裁。
各話の終盤、話が佳境に入るとムービーパートに入り、そこで無理矢理ドラマチックな盛り上げが施された後、一話終了のスタッフロール。
このムービーパートにおける、当時のポリゴンキャラ特有の大仰なアクションや、大雑把な表情の変化が、これまたいかにも大映ドラマ的なアイドルの稚拙な演技を想起させて、連ドラムードをさらに湧き立ててくれるのだ。
ゲームの中でインタラクティブな操作を一切はねつけるムービーが長々と挿入されたら、普通はうんざりとするところだが、この『マリア』の場合は、むしろ「いよっ、お約束。待ってました!」な気分。
特にヒロインであるマリアが人格豹変時に見せる無理矢理な表情の推移は、伊藤麻衣子や堀ちえみなどの大映ドラマヒロインたちの、喜・怒・哀・楽が明確に区切られたざっくばらんな芝居を、思わず重ねあわせてしまうことだろう。

ヒロインの家を捜索する3Dパートを変化球的に挟みつつ、この昼ドラ風インタラクティブドラマがやがて行き着くのは、登場人物ほぼ全員が運命の渦に強引に絡め取られるお約束のクライマックス。
昼ドラとゲーム。一見あまり接点がなさそうな両カルチャーを見事にお見合い結婚に導いた、90年代コンシューマ産インタラクティブドラマの密かな佳作。
続く続編『マリア2 受胎告知の謎』は、設定や登場人物などは引き継がれているものの、昼ドラテイストが大きく減退して、一作目ほどのインパクトに欠ける無個性な作品に留まってしまっている。
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