
「ダイ・ハード」のジョン・マクレーン役があまりにも鮮烈だったからか、ブルース・ウィリスは、以降何を演じてもブルース・ウィリスのパロディにしか見えないことが多々ある、なかなか厄介な業を抱えた役者だ。
それを知ってか知らずか、時には自らのパブリックイメージを打破するような役柄にもチャレンジしたりするが、そういう映画はたいて興行的にも批評的にも失敗の憂き目にあったりする。
このゲームオリジナル作品『アポカリプス』(このタイトルって、もしかして同時期に公開されてた「アルマゲドン」に掛けていたの?)でウィリスに与えられた役は科学者。
しかし科学者らしい振る舞いを何一つ見せないまま、結局は「ロックンロール!」と大騒ぎしながら銃弾を四方八方にばらまき、爆発の中を大ジャンプしていたりするのだから、つくづく因果な話である。

抑圧的な宗教が幅を利かし、それと対立する科学が禁制化されている時代。
「ブルース・ウィリスが科学者やってるような有様だから、科学はタブーになっちゃったんじゃないですか?」などと思いたくもなるが、とにもかくにも理系受難の末世である。
こんな時代に理系をやっていくのに必要とされるのは計算式なんかじゃない。裸足でガラスの破片を踏んづけても我慢できるような精神力である。
ともあれ宗教勢力の手によって刑務所にぶち込まれ、死刑宣告を下された科学者トレイ・キンケイド(ブルース・ウィリス)の、たった一人の反乱が幕を開けるのだ。

この『アポカリプス』は、『ロボトロン』や『スマッシュTV』のような全方位シューティングの流れを汲むゲーム。
○×△□ボタンで上下左右への自在な撃ち分けが可能なのだが、固定画面で敵が四方八方から現れるわけではなく、ほぼ進路の奥から出現してくるばかりなので、この全方位システムが有効に機能しているとは、ちょっと言い難い。
ジャンプなどのアスレチックアクション要素がハンパに多いのも、ぶっ放し行為に専念させてくれないもどかしさばかりが先に立って、どうもとっちらかった印象が残ってしまう。

まあこの頃のありがちな米国産ゲームに、ブルース・ウィリスを無理矢理載っけて勢いで商品化したような一品なのだが、「ロッケンロール!」、「シー・ユー・イン・ヘル!」、「ブリング・イット・オン!」など、ブルース・ウィリスの肉声シャウトはふんだんに詰め込まれているので、こっちも何も考えずに弾をばらまきながら、「ポストウォーター!」、「イッツ・ドリーム・タイム、じゅわいよくちゅーるマキ!」と、シャウトを補完しつつ勢いで突き進むのが、このゲームの正しいプレイスタイルと言えるのではないだろうか。

「マシンガン→こいつがなけりゃ始まらねえぜ」、「火炎放射器→焼く感覚を肌で感じたい向きにはお勧めの武器だ」、「誘導ミサイル→何も考えずにこいつをぶっ放せば、一番近くの不幸な敵がオダブツだ」、「粒子ビーム砲→こいつに触れた敵はキレイに真っ二つだ。おっと失敬、あんまりキレイじゃなかったぜ」などなど、これまた勢いだけの解説が並ぶマニュアルのウェポンガイドも、なかなかに味わい深いのだが、しかしこれってどう考えても、科学者に向けたとはとうてい思えないようなアドバイスばかりだな。
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2013/09/15 | Comment (3) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |こんなゲームがあったんですか!
普通のアクションシューティングなら華麗にスルーですが、ブルースウィルス主演と聞くとなんだかちょっと面白そうに思えてくるのでやってみたいですね。
じゅわいよくちゅーるまき、まだ幼かった当時は意味不明な言葉でしたが、ブルースウィルスのセリフだったんですね(違)
ジャンクハンター吉田氏の著書によると、ブルース・ウィリスがアクティビジョンのエラい人に、「オレを使っていいぜ」と許可を出したので、開発中だったゲームに無理矢理ブルース・ウィルスをはめ込んだ流れらしいです。
ポストウォーターとじゅわいよくちゅーるマキは、昔ブルース・ウィリスが、やっつけでやってたCMです。人気絶頂時の彼を引っ張り出せるとは、90年代中頃はまだまだ景気がそれなりによかったんですね。
サイマジェーン!ロッケンロー!
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