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2011/01/14 (金) カテゴリー: その他ハード

つい先日、任天堂の新ハード3DSのロンチラインナップが発表され、その顔ぶれに賛否両論となったみたいですけど、俺なんかは何よりもその任天堂色の薄さにびっくりしています。
並ぶ顔ぶれに新鮮味が全く無いこともそうですが、何よりも驚かされるのは、バンナム、コーエー、コナミ、カプコン、スクエニと、有力サードパーティーの名前がバランス良く並んでいること。
そしてサードのタイトルに遠慮するかのように、任天堂自らがリリースするタイトルが、僅か一本しか無いことです。天下の任天堂が、なんで今更サード風情なんかに気を遣ってんだ!
任天堂ハードのロンチタイトルってのは、任天堂がそのハードの方向性を示すようなタイトルを、まず自らドンッと送り込むってのが通例だったじゃありませんか。
SFCのF-ZEROしかり、ゲームボーイのスーパーマリオランドしかり、ニンテンドウ64のスーパーマリオ64やパイロットウィングスしかり、GBAのくるくるくるりんしかり、ゲームキューブのウェーブレース・ブルーストームしかり、WiiのWii Sportsしかり。
任天堂自身が、そのハードの進むべき方向を示す規範となるようなタイトルを、とんでもない高いハードル付けて提示して、「これについてこれないところは、ぶぶ漬け食べて帰ってください」とサードに冷酷に宣言する。
「はっきり言っておくけど、うちのハードにお前らは要らんのじゃ!」という本音を、自社製高クオリティソフトでオブラートに包んで出しているようなもんです。
そんな空気を全く読めていない呑気なサードが、ボンバザルとか、最強羽生将棋とか、たまごっちのピカピカだいとーりょー!とか、そんなおっ外したタイトルを混ぜ込んで足を引っ張る。それこそが任天堂ハードロンチの、本来の姿じゃありませんか。
それをハード各社どこにも角が立たないようバランス良く並べて、当の任天堂自身は、そのサードパーティーに遠慮して。こんなの任天堂ハードのロンチじゃねえ! そんなことはマイクロソフトとかソニーに任せとけばいいんですよ!

任天堂自身がハードの規範となるタイトルをまずリリースして、他を置いてきぼり。
しかし、このロンチタイトルのパターンに当て嵌まらないハードが、実は3DS以前にもありました。それは奇しくも3DSと同じ立体映像を売りにしたハード、バーチャルボーイです。
バーチャルボーイのロンチとして、任天堂自らが発売したタイトルは、ギャラクティックピンボール、マリオズテニス、テレロボクサーの三本。
それぞれの印象は、ギャラクティックピンボール=かなり面白いんだけど、無難と言っちゃ無難。マリオズテニス=普通。テレロボクサー=ノーコメント。と言ったところでしょうか。
この今ひとつ煮え切らないラインナップに、任天堂自身このハードをどう扱ったら良いのか計りかねている苦渋が見え隠れするようです。
そしてサードは、まずハドソンが、とびだせ!ぱにボンという、本当にどうでもいいソフトをリリースして、任天堂ハードロンチに於けるサードのあるべき姿を守っていました。
しかしその傍らでもう一つのサードパーティーがその全精力を注入して、本来なら任天堂自らが作るべきハードの規範となるような渾身のソフトを送り出していたのです。
ビデオゲームの長い歴史の中で、あの任天堂を食ってしまうという大偉業を成し遂げたそのメーカーの名はT&Eソフト。
そしてそのゲームこそは、バーチャルボーイに燦然と輝く3D立体ゲームの金字塔、レッドアラームです。

何せバーチャルボーイというのは、一定時間すると強制ポーズがかかってしまうくらい、目や体には優しくないハード。
生みの親である任天堂すら持て余して、無難なソフトしか送り出せなかったこの駄々っ子ハードに対して、T&Eソフトはこのレッドアラームで、「立体とはこうやるんじゃあ!」「こんがらがってワケが分からなくなるのも立体の醍醐味じゃあ!」「赤黒画面は何たってワイヤーフレームじゃあ!」「目に優しくないのは当たり前じゃあ!」「だからプレイだけでなく、リプレイもたっぷり見せて目を痛めつけてやるんじゃあ!」と、高らかにサードからの逆規範を突きつけたのです。
このサードからの思わぬ提示に、任天堂も改めて自らが作ったハードのとんでもなさを再確認したからでしょうか、バーチャルボーイは早々とその展開を収縮する結果にはなりましたけど。
開発したT&Eソフト自身ですら、このゲームの凄さを具体的に表現する術を持たなかったのでしょう。
このレッドアラームの広告は、「すっげーー!」という感嘆の言葉が踊る、アバウト極まりないものとなりました。
そんな捨て鉢な広告に苦笑し、そしてバーチャルボーイにレッドアラームを装着し、そのディスプレイを覗き込むと、思わず出てくる言葉は、広告と全く同様の「すっげーー!」
その感動を語る術無し。レッドアラームとは、それくらい素晴らしいソフトです。バーチャルボーイというハードは、このレッドアラームを世に出すためだけに遣わされたハードといっても、全く過言ではありません。

レッドアラームをここまでのゲームに押し上げたのは、任天堂すらをも上回る、本作開発陣のバーチャルボーイに対する理解と、熱意と、愛情の賜物でしょう。
3DSのロンチラインナップには今のところ、そんな新ハードに対する溢れんばかりの情熱を感じさせるようなものは見当たりません。
見え隠れるのは、勝ち馬ハードに早めに乗ってしまおうという打算ばかりです。
任天堂には、そんなサードの打算をに冷や水をぶっかけるようなソフトを、一刻も早く投入して頂きたいところです。マリオだろうがゼルダだろうが、どっちでも構いませんから。
そうでなければ、打算や日和見を遙かに超えて、バーチャルボーイという新ハードに溢れんばかりの情熱を注ぎ込み、そして散っていったT&Eソフトが浮かばれませんから。
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2011/01/14 | Comment (3) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |飛び出せばにボンは自分も良く例に使います。もちろん良い意味ではなく。最近では飛び出す!パズルボブルという後継者のような3DSロンチもありました、、。
WAT |
2011/12/15 (木) 08:45 No.142
しかもとびだせ!ぱにボンって、そんなに飛び出してなかったですよね……。
与一 |
2011/12/16 (金) 16:16 No.144
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