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2013/03/04 (月) カテゴリー: PCゲーム

「国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。」(新聞倫理綱領より)

メディアの多様化に対する危機感というのは、左右を問わずあらゆる新聞メディアがひしひしと感じている問題でしょうが、ネットメディアが発達した今だからこそ、新聞の持つ公器としての信頼性、裏付けの高い情報は、逆にその価値を増していると言えるのではないでしょうか。
溢れるネットメディアの情報の中から、人々が個人の責任において情報を吟味し取捨選択するというのは、一見聞こえのいい話ですが、裏を返せばこれは個人個人が己の思想、あるいは趣味志向に沿った口当たりの良い情報しか摂取しなくなる危険性を孕んでいます。
だから今こそ、マスメディアは自身のメディアリテラシーを一層深く再確認しなければなりません。
公器たるマスメディアに於いて、情報の改ざんや隠蔽などは本来あってはならない話です。しかし、過去に日本の大新聞などに於いて、それらの行為が何度も繰り返されてきたのは確かな事実です。

かつて大阪の道頓堀で、名物のかに道楽立体看板が突如暴れだして通行人を襲い、多くの怪我人を出した事件などは、日本の大新聞は何らかの事情(圧力?)により全て黙殺してしまいました。
自国の大事件にも拘らず、朝日や産経といった大メディアが禁忌としたこの事件を勇敢にも報道に踏み切ったのが、アメリカのウィークリーワールドニューズ社(以下WWN)でした。
このWWNの勇気ある報道によって、我々は大新聞の情報統制によって本来なら無かった事にされていた事件の全容を知る事ができたのです。

このかに道楽看板暴走事件を始め、エルヴィスは生きていたシリーズ、クリントンとエイリアンが密談、農夫が巨大バッタを捕獲、チェイニーはロボットだった!、雪男がダイエットに成功!?などの、様々なスクープを我々にもたらして、ついでに東京スポーツにもネタを与えてくれた偉大なるWWNが、メディア多様化の波に呑みこまれて休刊に追い込まれてからもう5年以上にもなります(現在はWebニュースサイトとして活動中)。
そんな孤高の新聞メディアであったWWNの意思を引き継いで、社会公器として高い意識を持つ新聞社を運営できるゲーム、それがこの『Tabloid Tycoon』なのです。

プレイヤーは新聞社の社主として、読者の知的欲求を満たすスクープを連発し、ライバル社のとの厳しいタブロイド紙戦争を打ち勝っていかなければなりません。
どうせ社主になるのなら、ついでにプロ野球チームのオーナーや横綱審議委員なども兼任して、妄言垂れまくりの愉快な人生を送りたいところですが、残念ながらそこまではフォローしておりません。
Tycoon名義から、ついつい箱庭経営シム系のゲームを期待してしまいますが、この『Tabloid Tycoon』はターン制のコマンド型経営SLG。
プレイヤーが基本的に行うのは、記者やカメラマンを雇用して様々なスクープ情報の取材に当たらせ、出来上がった記事を紙面に割り振って週一回発行する作業。
スタッフにはそれぞれ得意とするジャンルが存在し、それを適材適所に割り振ってより正確性の高い新聞を作り上げる事が、売り上げに繋がっていきます。

記事の内容については、基本的に信頼できるスタッフにお任せなのですが、写真の取捨選択だけは社主に任された責任ある仕事。
ここのカメラマンは、例えば"妊婦と中世の騎士がピサの斜塔の前で大乱闘"なんて事件の取材に行って、何故かエッフェル塔の前でエイリアンと巨大ペンギンが乱闘している写真を合成、あ、いや、撮ってきたりするのです。
社会の木鐸たる新聞に於いて、この様な偽りのある写真を掲載する事はできません。
これは売り上げにも密接に関わってくる問題なので、細心の注意が必要です。おい、この写真内容違うぞ。ちゃんとフォトショップで直しておけ!

この基本の編集業務以外にプレイヤーが行えるのは、フリーライターからのスクープ情報の買い付け、編集部備品の購入、紙に対する起訴を取り扱う弁護士への指示、そしてライバル社へ妨害工作など。
この中で特に重要なのは法務関連。「エドワーズ上院議員はエイリアンとマブダチ」だの「マケインはトカゲ人間の落とし子」なんてスクープを連発していれば、そりゃあ訴えられもします。
相手の大人げなさを咎めたところでどうにもなりません。かと言って馬鹿正直に和解ばかりしていたら、その賠償金は馬鹿になりません。勝てそうな裁判は強気で行く、その見極めが肝心です。

紙面をグレードアップさせればページ数が、社屋をグレードアップさせればスタッフ雇用の上限が増えます。
そうして自社の業績を伸ばしていけば、ライバル社も"大資本に買収された"なんて理由で力をつけていきます。
ふと我に返ると、代わり映えしないビジュアルや作業内容に「これってテーマは面白いけど、ゲームとしてはワンパターンでちっとも面白くないんじゃないか?」なんて考えがよぎったりもしますが、そう思うのは己に社会の木鐸を担う者としての自覚が足りないからでしょう。我々が果たしているのは、公共的、文化的な使命なのです。
<英語版>
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