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2013/03/03 (日) カテゴリー: SFC&N64

一介の土木作業員が、ハンマー一本で巨大な敵に挑むと言えば『レッドファクション: ゲリラ』だが、それに先んじて、そんなポピュラリティの無さそうなコンセプトを確立させ、最後にはとうとうアニメにまでなってしまったのが、アイレムの『大工の源さん』シリーズである。
シリーズ第1作の『大工の源さん べらんめ町騒動記』がアーケードに登場したのは、今から遥か20年以上も遡る1990年のこと。

時はバブル景気の真っ只中。土地の高騰に乗じてえげつない開発を行おうとする悪徳建設会社に、腹巻きにニッカボッカ、地下足袋姿の大工が、木づち一本で挑む物語は、この頃のVシネマなんかでも非常によく見られた、陳腐と言えば陳腐なコンセプトなのだが、それを哀川翔や安岡力也の主演で一本手早く撮るならいざ知らず、デフォルメされた二等身キャラでアーケードゲームにしようってのは、やっぱりマイルドに狂ってると言うしかない。

建築現場を舞台に、木づちを振り回す危ない大工と、セメント袋を放り投げて攻撃してくる現場監督の凄絶な死闘。
本来なら子供には見せられないような絵ヅラが、アーケードのみならず、ファミコンやゲームボーイにまたがって展開されたのだから、バブルの勢いとはつくづく恐ろしいものだが、とにかくそんなまさかのキャラ立ち&シリーズ化を果たしてしまった源さんが、スーパーファミコンに初お目見えしたのが、この『がんばれ! 大工の源さん』だ。

落成を見守る源さん&建築主の前で、無残にも爆破される新居。シリーズ通しての悪役、黒木組の仕業だが、念願のマイホームをあっという間にぶっ壊された建築主夫婦には、同情するよりも先に、こんな因果な大工に施工を頼んだ愚かさを責めたくなってくる。
とにかくそんなわけで、毎度お馴染み、黒木組が繰り出すアナーキーな現場作業員たちを相手に、源さんが木づち&ジャンプアクションで立ち向かういつもの展開。

メガホンとジェット風船を武器にする阪神ファン、チェーンソーを振り回す女大工、各種爆発物を駆使して源さんに襲いかかる発破スペシャリストなど、中ボス、大ボス連中は相変わらずキャラクターが立っているが、その一方でゲームそのものは、オーソドックスで食い足りない、ありきたりな横スクロールアクションに留まっちゃってるのも、これまたシリーズ恒例のパターン。

相手が女性や小動物であろうが、容赦なくフルスイングの木づちで殴打し、それを暴行や虐待ではなく「改心させた」と言い張るなど、源さんというのは、よくよく考えてみれば、相当危ない反社会的なキャラクターなのだが、それがなんとなく許されてしまうのは、SDキャラが醸し出すコミカルさ故なのか、あるいは「無学なブルーカラーのやることだからしょうがない」という、こちらの歪んだ差別観念が故なのであろうか。
配管工のマリオと並ぶ、ゲームが生んだブルーカラーヒーロー、源さん。
以降も思い出したように、シリーズ作が散発的にリリースされ、最後はパチンコ&パチスロ筋で花開いたのは、このキャラが本来落ち着くべき場所に落ち着いたと言えるんだろうか。
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