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"お経をテープで済ます坊さん"の話を、たまに耳にしますが、いくらなんでもそれは都市伝説の類だろうと思ってたら、ある法事で本当にそんな坊さんに遭遇してびっくりしたことがありました。
最初の数分間は、さすがに自らお経を読んでいたんですが、頃合いを見計らって、やにわに柱の影からCDラジオを引っ張り出し、あとはCDから流れるお経にすべてを任せるオートメーションなお仕事。
「これは私よりも遥かにえらいお坊さんの、ありがたい読経なんです」などと、苦しい言い訳も付け加えていましたが、まあ確かに、ホイットニー・ヒューストンのCDを聴くのと、坊主がカラオケでホイットニーを熱唱するのを無理矢理聴かされるのと、どっちがマシかと言われれば、そりゃあ前者の方かもしれません。例えが微妙に歪んでいるかもしれないですけど。

このように宗教的な行事なり日課なりを、デジタルなものに委ねるのは、あんまり信心が深くない人間にとっても、どことなく憚られるものがあるのですが、「そんなことはないよ!」と、こちらの後ろめたさを力強く払拭してくれるのは、他でもないマンガ家の桑田二郎先生です。
「8マン」や「月光仮面」、コミック版の「ウルトラセブン」などで知られる、少年マンガの大家であった先生は、1980年頃を境に、仏教やニューエイジ的な思想をコミックで啓蒙する活動にシフトされていました。
まだコミック文化に偏見の目が色濃く残っていた頃に、いち早くマンガで仏教のありがたい教えを広めていた桑田先生です。
例えどんな媒体であっても、ありがたい教えは基本的に変わるものではない。
それを数十年にも渡る活動で、身を以て証明してきた先生が、新たに選んだメディアはニンテンドーDSでした。

般若心経などといきなり言われても、私のような不心得者は、「今度ゆか●んのことをそんな風に呼んだら、山に埋めるぞ!」などと、意味も分からず取り乱すことしかできませんが、そんな輩にも、ありがたい仏様の教えをタッチペン一つで身近なものにさせてくれるのが、先生が監修した、この『It's tehodoki! 般若心経入門』。
いきなり先生のヘビーな自殺未遂体験告白から始まる本作。その自殺未遂方法も、刃物でいきなり自分の胸を突くという、ワイルド極まりないものですが、仏様のありがたい教えに辿り着いた先生は、そんなこちらが思わずドン引きしてしまうような過去すらも、実に飄々と語ってくれます。

先生の挿絵と共に流れる般若心経のフランクな解説を一通り目にしたら、次はタッチペンを使ったデジタル写経にチャレンジ。
こういうことをDSで済ませていいもんだろうか? そんな後ろめたさも、ちょっぴり残りますが、桑田先生がいいって言ってんだから大丈夫です。大切なのは形式ではなく心!
写経は全276文字ありますが、途中経過も保存できるから、空いた時間に自分のペースで進めることもできます。写経とセーブ保存って言葉の食い合わせに、どことなく頭もくらくらしてきますけど、気にしない、気にしない。

自らが書いたお経も流すことができる読経モードは、合成音声によるナビゲーション付き。
ピッチやリズムを自在に変えられるように、偉い坊さんや声優ではなく、合成音声を採用したのでしょうが、ロボットボイスで淡々と読まれる般若心経に、これまた頭がくらくらしてくるような気がします。
そして桑田先生によるありがたい仏画を、自由に塗り絵できる仏画モード。
塗り絵と言っても、
この『It's tehodoki! 般若心経入門』の他に、『書き込み式「般若心経」練習帳DS』という、もう一つの般若心経ソフトも存在するDSは、過去に出たあらゆるゲームハードの中でも、もっとも仏様の教えに理解の深い、徳の高いハードと言えるのではないでしょうか。(次点は『お遍路さん』を出したゲームキューブということで)。
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2013/03/02 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |桑田先生、7月にお亡くなりになったんですね。先生の描かれる洗練された人物画は古臭さを微塵も感じさせず、格好良かった。エイトマン大好きだったのにリム出版が・・・。タバコ型の冷却装置からして少年ではなく大人の男性の魅力に溢れていました。アンドロイドピニは女から見ても峰富士子より色っぽい!
時代性を軽く超えたとてもモダンな絵ですよね。
リム出版というとどうしてもあの映画版の顛末を思い出してしまいます。
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