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2012/03/05 (月) カテゴリー: セガサターン

アメリカのハードロックギタリスト、ロニー・モントローズが、現地時間の3日にガンで亡くなりました。
彼が率いたモントローズは、後にヴァン・ヘイレンに加入するサミー・ヘイガーを輩出したバンドとして知られていますが、そのひたすらタイトなハードロックサウンドは、70年代アメリカンロックの潮流の中では、目立って個性的な存在でした。
特にデビューアルバム"Montrose"(邦題は"ハード・ショック")は、僅か30分弱の総演奏時間にエネルギッシュな楽曲が詰め込まれた、ショートシャープショックな名盤です。
しかし、このバンド自体はいまいちブレイクしきれず、ロニー・モントローズはソロに転身。様々なセッション仕事の合間に、多くのソロワーク作品を発表しました。
ロニーのミュージックワークは、やがてゲーム関連にも及び、3DOで出た超大作『デイドラス 難破船のエイリアン』を始めとしたいくつかの作品に曲を提供。
そんなロニーのゲーム仕事の中でも、白眉とも言えるのが『Mr. BONES(ミスター・ボーンズ)』への参加です。

セガサターンは海外での定着に失敗したためか、オリジナルの海外産ゲームに恵まれなかったハードですが、そんな洋ゲー不遇のサターンにあって、綺羅星の如き一等星として輝く海外産タイトルが、この『mr. BONES』。
悪の吸血鬼、ダ・ゴーリアンは死霊魔術によって復活させた死者たちの軍団で、世界を征服しようという怖ろしい野望を企てておりました。
しかし、蘇った死者の骸骨軍団の中に、一人だけ様子の違う奴が居ます。
「おっかしいなあ? 前には皮とか肉とかがついていたような気がするんだけどなあ」
彼こそが、このゲームの主人公にして、あらゆるゲームヒーローの中で最もロック魂がほとばしる男、ミスター・ボーンズです。
彼だけが何故、ダ・ゴーリアンの呪縛から逃れた骸骨となったのかは不明ですが、まぁこれは持って生まれた(この場合は持って死んだというべきでしょうか)楽天的で人を食った性格のおかげなのかもしれません。

ともあれ、ダ・ゴーリアンと、その邪悪な軍団から追われる身となったボーンズ。
「なんだか分からないけど、あいつをやっつけなきゃなんないみたいだな」
そう割り切れば話は早い。小人の国や氷の世界、果ては冥界までをも巡る、ボーンズの冒険が始まります。
しかしボーンズは、徒手空拳どころか、皮や肉すらない身。骸骨軍団相手にひたすら逃げ回るしかない彼は、追われて迷い込んだ山中で、何やら奇妙な音楽が漏れ聞こえる山小屋を発見します。
「なんだろう? 聴いていると、何故か熱いものがこみ上げてくるような」
その山小屋の主は盲目のロックギタリスト。演じるのはロニー・モントローズ。

「考えて弾くな。魂で弾くんだ」
ロニーはそんな極意と共に、ボーンズに一本のギターを渡しました。ボーンズはついにダ・ゴーリアンに立ち向かう最強の武器である、熱きロックンロール魂を手にしたのです。
さぁ、さっそく魂のギターソロで、彼を追ってきた骸骨軍団を改心させてやるのです。
このギタープレイがうまく決まれば、骸骨どもを覆った邪悪な気配が晴れて行き、やがて感極まった彼らは、高く掲げたライターを左右に振るという、いかにも70年代的なオーディエンスアクションで、ボーンズに応えてくれるでしょう。

この『mr. BONES』はCD-ROM2枚組の超大作ですが、その実態は様々なミニゲームの詰め合わせです。
そのミニゲームは、どれも説明不足のまま問答無用に始まり、そしてシビアなバランスや難易度を誇っているものがほとんど。
通常であれば、「こんなもんやってられるか」と投げ出すところですが、本作に限っては、ボーンズのパーソナリティと、骨故にぞんざいに扱われまくる波瀾万丈の道のりが、こちらのプレイ意欲をぐんぐん引っ張ってくれるのです。
それに考えてみれば、ボーンズは骨だけの体なうえに孤立無援。油断すれば体のパーツがぽろぽろ外れてく、不自由極まりない身の上です。
そんなボーンズの境遇仁比べれば、ミニゲームがちょっとクセがあってシビアなくらい、一体何だというのでしょう。

ミニゲームのできはホントばらつきがあるのですが、その中でも屈指の面白さを誇るのが、ダ・ゴーリアンの本拠に乗り込んだボーンズが、邪悪に囚われた同胞たちを小粋なジョークで打ち払う「Funny Bones」.
このどうやってローカライズしたらいいのか、頭を抱えるようなミニゲームを、本作の日本語版スタッフは「アメリカンジョーク=ダジャレ」という、デーブ・スペクターも真っ青な閃きで、強引にがぶり寄ってしまいました。
「お相撲さんが」「びっくりしたときに」「言う言葉」「どっひょーん!」
ボーンズのベタベタなダジャレ連発の前に、たじろぐ邪悪の骸骨軍団。そしてダジャレを一つ飛ばすたびに、ドヤ顔でのっしのっしと前進するボーンズ。まさに奇跡のローカライズと言えるでしょう。

常人ならばとっくに打ちのめされていそうな苦難の道のりを、実に飄々と歩み続けるボーンズに共鳴して、やがて手を差し伸べてくれる人々。
小人の国の住人たち(「♪ボーンズ!ボーンズ!ボーンズ!)に冥界のレイス。そしてちょっぴりワイルドな門番の骨翼竜。
そしてボーンズの師であるモントローズは、ボーンズと離れたところからも、ずっとこのゲームのサウンドトラックから流れる熱きギタープレイで、ずっとボーンズのことを見守ってくれていました。
もうボーンズは孤立無援ではありません。さぁ、いよいよダ・ゴーリアンとの最後の決戦です!

全編をロニー・モントローズのオリジナル曲が彩る、この骨をもとろかす熱く極上なゲーム。
海外ではサウンドトラック盤も発売され、これはロニー・モントローズ正規のソロアルバムワークに、きちんと加えられています。
ゲーム畑にロニー・モントローズの名前は馴染みが薄いかもしれませんが、この素敵なゲームのボーンズと並ぶもう一人の主役として、彼の名前を記憶の片隅に留めていただければ、彼の弟子であるボーンズもさぞ喜ぶことでしょう。
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