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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

映画【蛾人間モスマン】

   ↑  2012/03/04 (日)  カテゴリー: 映画・DVD
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一時はノアと全面対抗戦を展開するなど、プロレス界を局地的に席捲し、現在は冬眠状態(雪男なのに何故冬眠!?)に入っているUMA軍団。
UMA軍団の才知と美貌を兼ね備えたエージェントは、東スポ読者には言わずと知れたハル・ミヤコ女史ですが、そのハル女史が今回、UMAに関する専門的な知識と経験を買われて、アットエンタテインメントがDVDで展開するUMA映画シリーズの親善大使に任命されました。
シリーズは、「新トレマーズ モンゴリアン・デス・ワームの巣窟」、「マンドレイク 人喰い植物のえじき」、「蛾人間モスマン」、「人喰い怪物ゴブリン」の4本。
その中でハル女史が「一番のお気に入り」と表明した作品が、この「蛾人間モスマン」です。
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モスマンと言っても、別に太陽ケアのことではありません。
1960年代の中頃に、ウェストバージニア州で目撃例が相次いだ、体長2メートルほどの人間型飛行生物です。
このモスマンに関しては、ジョン・A・キールという、その筋では有名な人物が書いた、「モスマンの黙示」と題されたべらぼうに面白いノンフィクション(?)があり、この書は後にリチャード・ギア主演で映画化(邦題は「プロフェシー」)されたりもしました。
宇宙人説、単なる鳥の見間違え説、厄災を予言するスピリチュアルな存在説、様々な憶測が語られたモスマンの正体ですが、この「蛾人間モスマン」が採用したのは、アメリカ先住民族の呪い説。
入植者たちに虐殺されたインディアンが、「この地で殺人を起こす奴は、みんなモスマンに殺されてしまえ」と呪いをこめて生まれたのが、その由来だそうです。
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そんなモスマン伝説も過去のものとなったある日、同地の湖で、ある若者グループが仲間の弟を、過ぎた悪戯で溺死させてしまいます。
そして月日はさらに10年流れ、事件後に街を離れていた若者の一人が、再び街に戻ってきたことから、惨劇は幕を開けるのでした。
序盤はモスマンの都市伝説をベースにしたホラーの趣きがあるのですが、しかし肝心の「この地で殺人を犯した奴は必ず報いを受ける」というフォークロアが、ちっとも流布されていないため、若者たちが受ける因果応報な報いも、ただ唐突なだけ。
"都市伝説と過去の罪に怯える若者たち"という基本設定が全く為されていない状態ですから、都市伝説ホラーとしては早々と馬脚を現してしまいます。
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作っている方も、まとまりがつかなくなったのか、「モスマンは鏡などの反射するものからしか出てこれない」、「目を合わせない限り、モスマンには襲われない」、「モスマンに呪われた者は、決して街を出ることはできない(これなんかは、肝心のヒロインが事件後にあっさり街を後にしているので、最初から破綻しています)」などといった決まりや、ぼんやりと張った伏線など、前半部分で提示した約束事を全部反故にして、後半は悪霊的存在であるはずのモスマンが、ばっさばっさと空を飛び回り、お祭り会場を襲撃する、完全に怪獣映画のテイストに様変わり。
しかも、その暴れっぷりも、死傷者が推定2,3人と、極めてスケールの小さなもの。
そもそも、なんで呪いの悪霊であるモスマンが、わざわざ無関係なお祭り会場を襲撃したのかが分かりません。モスマンの存在意義自体が、さっぱり整合性を欠いています。

まるでそこらのヤンキーがアンパンでラリった頭で、モスマン伝説を自分勝手に解釈したあげく、収拾つかなくなったような映画。
同じ都市伝説、同じUMA伝承をベースとしながらも、「プロフェシー」とは天と地ほどの違いもある作品となっています。
是非ともワンカップ片手にUMA軍団のプロレスを観戦するときのような、寛大な心でご鑑賞なさってください。
「プロフェシー」も未見であれば、一緒にレンタルして見比べてみることをオススメします。「プロフェシー」が口直しになるでしょうし。
そんなハル女史一推しの「蛾人間モスマン」でしたが、女史がこれをチョイスした理由は、4作品の中で最もリングの上に具現化しやすそうなUMAだからなのではないでしょうか。



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2012/03/04 | Comment (5) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


日曜日の昼にやってたプロフェシー見た事ありますw
シリアスな感じでなかなか面白かったですよね。

AICHIMAN |  2012/03/06 (火) 19:04 No.187


あのトンデモな元ネタを、真っ向からクソ真面目に受け止めて映画化するとは、まさか思いもよりませんでした。
原作を書いたジョン・A・キールは、UFO研究家の中でも、屈指の"あっちに行っちゃってる"人で、自分でもどこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなんだか判別つかなくなってる著作群は、どれも映画以上に面白いですよ。

与一 |  2012/03/07 (水) 18:22 No.188


そんなキチ○イな人が書いたのが原作だとは知りませんでしたw
映画の中に作家が出てきますが、たぶんあの人がキールさんですよねw、映画の中では主人公よりはまともそうでしたがwww
ちなみに俺はスティーブン・キングに一時期ハマってて20冊くらい読みました。ダークタワーシリーズ全部読みました。最近はあんまり読書してないです(集中力が落ちてきてますwww)
キールさん以外でも何かオススメの作家いますか?
SFホラーみたいなのけっこう好きです

AICHIMAN |  2012/03/08 (木) 04:14 No.189


もしかしたらご存じかもしれませんが、キングと並ぶ有名どころでクーンツかピーター・ストラウブ。特にクーンツの「ファントム」という長編は、読み出したら止まりません。
あとはちょっと古い人ですけどリチャード・マシスン。アラン・ウェイクのモデルは、この人なんじゃないかと、僕は踏んでます。
同じく古典ですけど、シャーリー・ジャクスンの「たたり」なんかもオススメです。

与一 |  2012/03/09 (金) 13:48 No.190


ありがとうございます。次に読書するときはこの中のどれかを読みますw

AICHIMAN |  2012/03/10 (土) 04:16 No.191

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