【SEX】3DO専用ソフトコアビデオ

日本国内においては、今でこそ家庭用ゲーム機作品に性的描写が盛り込まれるなんて、あり得ない話となっています。
しかし、今を遡ること10数年前。いわゆる次世代CD-ROM機が苛酷な生存競争を戦っていた頃は、性的描写を禁じるハードの方が少数派であったという、今では考えられないような時代だったのです。
サターン、PC-FX、そして3DOは、X指定やAO指定といった、各社独自のレーティングを元に、18禁ソフトを公認していました。
まぁPC-FXの場合は、それがPCエロゲーの大人しげな移植程度に留まっていたのですが、サターンと3DOは二次元絵に留まらず、実写のエロソフトすらも、堂々と登場していたのです。

もっとも、明確な戦略を持たなかったサターンのX指定路線と、3DOのそれは、いささか事情が異なります。
3DOはゲーム専用機ではなく、あくまでマルチメディアプレイヤー。今のDVDプレイヤーやブルーレイプレイヤーのような、汎用的なメディア再生機を指向していましたから、そこにアダルト作品が参入してくるのは、ごく自然なことであったのです。

そんな流れの中で生まれたのが、3DO専用ビデオCDという、極めて特異なジャンルでした。
マルチメディアプレイヤーを目指す3DOにとって最大の弱み。それは一般的なビデオCD規格の再生機能を内包できなかったことです。
ビデオCDを再生するには、高価なビデオCDアダプタを別途購入しなければなりません。
この機能を搭載すると、ただでさえ高価な本体の値段が、さらに跳ね上がってしまうことを考えれば、致し方のない決断だったのでしょう。
そういった事情の中から生まれてきたのが、ビデオアダプターを介さずとも、3DO本体のみでMPEG-1動画を再生できる（ただし3DO以外の機器、ビデオCDプレイヤーなどでは、一切再生できない）3DO専用ビデオCDです。

このフォーマットで登場したソフトは、そのすべてがエロ系か、或いは幼児向けの童話アニメソフトという両極端なもの。
国内で正規にリリースされたエロ系3DO専用ビデオCDは、『スーパーモデル ゲイル・マッケンナ』と『ボディコンディジタルレイブ Part1』の2本。
そしてそれ以外にも、正規の形ではないものの、日本で発売された同規格のCDが数本ありました。
アメリカのソフトコアアダルトビデオメーカー、Vivid Interactiveは、3DOに向けていくつかのソフトを供給していましたが、これらは代理店を通じて日本でも直輸入版が販売されていたのです。

これらを輸入販売したのは、後に『クールボーダーズ』シリーズで名を上げるウエップシステム。
ただし、これらのVivid製エロビデオCDは、一般的なゲームの流通にはほとんど乗らず、なんかもの凄く妙な販路で売られていたような憶えがあります。
私がこのうちの数本を購入したのは、ディスカウントストアの店頭ワゴンでした（他にビデオCDやフォトCD、そして著名アーティストの無許可編集盤音楽CDなんかが､一緒に並んでいた）。

この『SEX』は、Vivid製エロビデオCDの中の一つ。
同シリーズの中では、絡みシーンが多く収録された比較的ハードな作品ですが、とは言っても所詮はソフトコア。
せいぜい日本のピンク映画程度の描写ですし、またそれが細切れにカットされてイメージビデオ風に編集してあるので、せいぜいが「動くPLAYBOY日本版」程度のレベルです。
Vivid Interactiveは、5，6本の同種ソフトをリリースし、さらには数本の発売を予定していたみたいですが、3DOの失速もあって予定作はすべてお蔵入りとなってしまいました。

＜北米版 / アダルト作品＞