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ミステリ
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2011/10/01 (土) カテゴリー: iOS

JB・ハロルドや藤堂龍之介といったリバーヒルソフトのクラシックミステリアドベンチャーを引き継ぎ、同シリーズの新作やリメイクを、主にモバイルゲーム界隈に供給しているアルティ。
同社はそうしたクラシックスタンダード以外にも、『未解決犯罪捜査班アコライツ』や『プリンス探偵倶楽部』など、様々なオリジナルのミステリADVシリーズを送り出しています。
これらはいずれも短編小説規模の短いミステリADVの連作で、ケータイゲームやスマートフォンの性質を有効に利用している例と言えるでしょう。

そのアルティオリジナルのミステリシリーズでも看板的な存在が、ケータイのみならずスマートフォンでも全面展開している『朱津川國彦の奇譚ルポ』シリーズです。
現在までに本編が3つ、スピンアウトのアクションゲームが1つリリースされているこのシリーズ。
主人公の朱津川國彦(あかつがわくにひこ)は、アラフォーのフリーライター。オカルト系の実話雑誌(不思議ナックルズとかをイメージして貰えば、話は早いでしょう)の仕事を受けて糊口を凌いでいます。

そんな潰しの利かなさそうな探偵役が、助手役の女子大生と共に、都市伝説ネタの取材で赴いた先で、その都市伝説絡みの事件に巻き込まれるというのが、このシリーズの王道パターン。
シリーズ第1作目にあたるこの『還らずの病棟』は、訪れたら最期、二度と戻れないと噂される精神病院の廃墟が舞台。
非常にありがちな廃墟ものの都市伝説と、基本的にそんな都市伝説なんかちっとも信じちゃいない主人公。そしてその都市伝説をまるでトレースしたように起こる事件。
それらの絡ませ方が巧みな、ムード重視のミステリは、どことなく横溝正史の現代版的な印象(真相の腰砕け的な部分も含めて)があります。

ゲーム自体はハロルドや藤堂の伝統を引いた、コマンド総当たり&場所総当たりの前時代なものなんですけど、元々が電車の中などで読む手軽なビジュアルノベルを指向しているためか、そんなシステム的な古臭さは、それほど苦になりません(家の中などで本腰入れて向き合おうとすれば、話は別でしょうけど)。
話のそこが早々と割れてしまうので、純粋なミステリとしては評価が分かれるでしょうが、廃墟の中を無為にうろうろする感覚とか(二度訪れないとフラグが立たないところなどもあって、本当に無駄にうろつかせられる)、現地で出会うお気楽大学サークルの、実にしょうもなく惰性にまみれた人間関係なんかは妙な生々しさがあって、全体の雰囲気美人さも含めて妙に気に入ったゲームです。

本作の設定やキャラクターを使った『ミツケタゾ…』という外伝的アクションゲームも発売されており、今のところこれが朱津川國彦シリーズの最新作なのですが、こちらは操作性にかなり難があって期待はずれでした。
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