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2011/08/06 (土) カテゴリー: セガサターン

ニューヨークから半年ぶりにプレイヤーの家に帰ってきた井上さんの姿を一目見て、殆どの人が心の中で「あっ」と短く声を上げた筈だ。
全体にケバくなった。色気づいた。乳がデカくなった。「向こうでさんざん遊んできたな」などと、下衆の勘ぐりをせずにはいられないくらいの変貌ぶりだった。
もっともそこで「僕の涼子ちゃんが、毛唐どもにさんざん弄くり回されて、揉みし抱かれてたなんて!?」なんてショックを受けずに済んだのは、ぶっちゃけた話、俺と井上さんがそこまで親密な仲ではなかったからだろう。

以前に井上さんが家に転がり込んできたときは、決して「ぴちぴち女子高生と一つ屋根の下」なんて甘いシチュエーションではなかった。
一人住まいの男の家に単身転がり込むほど大胆なクセに、やたらと身持ちが堅く、そしていざ口を開けば、やけにオヤジ臭い話をくどくどと始める井上さん。
ゲームの性質上、一日に一回は井上さんと顔を合わせることを、半ば義務づけられているようなものなので、それはもう朝日や産経の社説を毎日無理矢理読ませられているような苦痛の日々だった。
井上さんが家から出て行ったとき(早い話がゲームオーバーのとき)は、井上さんには悪いが心底ホッとしたものだ。

そんな井上さんが、夏休みを日本で過ごすために一週間だけ我が家に帰ってきた。
またあの説教臭い話を延々と聞かされる日々が続くのかと、ちょっぴり憂鬱になったりもしたが、女として覚醒した井上さんを目の前にすると、やにわに期待が膨らんで来るではないか。
「帰ってきたばかりでなんですけど、とりあえずご挨拶代わりにひとハメしましょうか」
アメリカで植え付けられた新たな性観念の元、そう奔放に振る舞ってくれれば、こちらとしても話が早いのだが、この続編も全年齢推奨ソフトなので、結局はそんな理想の「男と女が一つ屋根の下」の展開にはなりゃしない。夏とは言えど、井上さんはちっとも開放的になってくれはしない。奔放になるのはアメリカ限定かよ!

帰ってくるなり、「どっからこんなもん探してきたんだ」とツッコミたくなるような趣味の悪いTシャツを、お土産だと嬉しそうに俺に押しつけ、「周りに流される今時の女子高生」についての苦言を、くどくどくどくどと並べ立てる井上さんを前にして、なりは変わっても中身はちっとも変わっちゃいねえなあと、がっかりすると同時に、ちょっぴり安心もするのであった。

アメリカ土産話に「タウンゼント・ハリスの墓参りをしてきた」なんて話を嬉々としてチョイスされ、「女子高生に幕末のアメリカ外交官のうんちくを垂れられる」という意味不明なシチュエーションにくらくらし、ハーブのうんちくを始めたら止まらない井上さんに、「もうハーブの話はうんざりだっつうの!」と内心毒づいたりする。
そんな井上さんが主導権を取りっぱなしな日々も、今回は一週間だけだと思えば、ちょっとは気が楽だ。
それでもたまにはこちらから「随分胸が膨らんだけど、それってシリコン?」などと、尋ねてみたい時だってあるけれど。

相も変わらずの、どことなくよそよそしい距離感の、奇妙な同居生活。相も変わらずオヤジ臭いうんちくをこれでもかと繰り出してくる井上さん。
そんな膨大な井上さんのセリフの影に、汗水垂らしてシナリオをこさえているむさ苦しいおっさんの姿が何度も垣間見えたりするが、それにさり気なく気づかない振りをしてあげるのも、このゲームのお約束だ。

そしてこのシリーズは、最後には井上さんのうんちく魔ぶりを開き直って、彼女が365日日替わりでうんちくを垂れる日めくりカレンダー風ソフトなんてものにまで至ったっけ。
そんなキッチュな展開も含めて、俺はこの奇妙なシリーズのことが、時にはうんざりしたり戸惑ったりしつつも、結構好きなのだ。
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