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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【Stories Untold】語られなかった物語

   ↑  2023/11/02 (木)  カテゴリー: XBOX
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ゲーム愛好家として歳を重ねていくと、これから遊ぼうとするゲームを「これはこういう内容のゲームであろう」と、ついついその枠組を定めて臨んでしまいがちだ。
実際のところ、その見立てがまったく間違っていない、揺るぎないジャンル傾向の作品が多かったりするのだけれど、だからこそこちらの思い込みを良い意味で裏切ってくれるゲームは、そのインパクトが抜群だったりする。
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『Stories Untold』は、古株のコンピュータゲーマーならば、誰もがいにしえのテキスト入力アドベンチャーにモダンな視覚効果を加えてお色直ししたゲームだと思うことだろう。
そして「トワイライトゾーン」や「アウターリミッツ」といった1話完結式のSFテレビドラマ(本作の場合はその80年代リバイバル)をモチーフにした設定も同様だ。
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忌避していた実家を久方ぶりに訪れて、自分の部屋のホビーパソコンでいにしえのテキストADVをプレイする第一話などは、こちらの見立てをまったく裏切らない。
しかしその途中から予定調和的な思い込みは、まさにじわじわという感じで崩れてゆく。
何かが変だ、何かがおかしい。居心地の悪い不安感が徐々に増してゆく中、第一話はなし崩し的に終了し、連続SFテレビドラマの例に倣って、またタイトルバックから第二話が始まる。
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第二話の医療機器、第三話のラジオとブラウン管モニターに接続されたパソコン。古めかしいガジェットに何かを入力する作業によって物語は一見淡々と進行する。
しかしその影でプレイヤーは明快なアドベンチャーゲームにも分かりやすいSFホラードラマにもまったく収まっていない、得体のしれない何かが入力の裏で蠢くのを感じる、真綿で首を締めつけられるような不安に包み込まれているだろう。
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そして古いガジェットやSFホラードラマの様式、プレイヤーが続けてきた入力作業の意味はやがて露わになってゆく。
レトロで分かりやすいゲームの様式を借りた。と言うよりは巧みに利用した、ジャンプスケアな演出とも超常現象とも一切無縁でいて、その上で極上な「ホラー」ストーリー。
精緻に練り込まれたその構成は、古株を自認するゲーマーの薄っぺらい見立てすらも掌の上で弄ぶのであった。

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2023/11/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【アガサ・クリスティ - エルキュール・ポアロ: 初事件】

   ↑  2023/11/08 (水)  カテゴリー: Switch
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NHKでも放映されたTVドラマシリーズや近年ではケネス・ブラナーの映画版などで、いまでも多くの人々に愛され続けている”灰色の脳細胞”の名探偵エルキュール・ポアロ。
彼がこの世に登場したのは生みの親であるアガサ・クリスティにとっても処女作となる1920年の「スタイルズ荘の怪事件」。
しかしそれがポアロにとっての最初の犯罪捜査案件ではない。
同書の中で彼はイギリスに来る以前は母国ベルギーで数々の難事件を解決した優秀な警察官であったと記されている。
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エルキュール・ポアロを主人公に据えたゲームは原作に準拠した『Agatha Christie - The ABC Murders』などがあったが、2021年の意欲作『殺人ミステリーマシーン: 犯罪推理捜査の館』で推理ADV界に一石を投じたBlazing Griffin Gamesがチョイスしたのは、原作では語られなかったベルギー警察時代。
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プロローグとなるのは彼がベルギーの田舎に飛ばされてきた(あの性格だからして、さぞや官僚機構の中では煙たがられることだろう)巡査時代。
そこでとある名家の盗難事件を担当するくだりはゲームのチュートリアルも兼ねている。
そして時は流れポアロが中央に戻り刑事として名を馳せている頃、プロローグに登場した名家の令嬢から脅迫事件の捜査を個人的に依頼され、再び田舎町を訪れるのが本編の始まりだ。
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令嬢の婚約披露パーティーに集まった招待客は、ジャーナリストに労働組合のリーダー、酔いどれな新郎の実兄など、どれも一癖も二癖もある人物ばかり(彼らは皆、脅迫の疑いをかけられている人物でもある)。
そして大雪で外部との連絡が閉ざされる中で起こる殺人事件。
関係者はいずれも動機はたっぷりある。しかしそれぞれの証言によって誰もが確たるアリバイもある。
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推理ADVでは今や老舗であるFrogwareの一連のシャーロック・ホームズものは、システムが煩雑でやや頭でっかちな欠点があるが、対してこの『エルキュール・ポアロ: 初事件』のシステムは非常にシンプルだ。
屋敷内という限定された空間の中で証拠や証言を集め、それにポアロの考察を加えたパーツをマインドマップと呼ばれる灰色の脳細胞をイメージ化した画面で繋ぎ合わせ、それによって新たな考察やフラグを展開して推理を進めていく。
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このシンプルながらもミステリとしてのストーリーラインが明快な基本システムに加えて、ポアロやその他の人物たちの言動や立ち回りがいかにもアガサ・クリスティらしい世界観に準拠しているところも本作のセールスポイント。
関係者一同を集めての大見得切っての推理披露もたっぷり二回。
タイトルではポアロなのにゲーム内字幕ではポワロとなる表記の揺れはちょっとばかり気になるところだけど、この件は突き詰めていくと早川書房に矛先が向かったりするので、この二重表記はポアロポワロ問題にもにょる人たちに対しての配慮ということにしておこう。

*関連記事
【Agatha Christie - The ABC Murders】ABC殺人事件

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2023/11/08 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Sherlock Holmes versus Jack the Ripper】ホームズ対切り裂きジャック

   ↑  2023/11/10 (金)  カテゴリー: PCゲーム
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2002年の『Sherlock Holmes: The Mystery of the Mummy』に始まり最新作のリブート版『Sherlock Holmes: The Awakened』まで。
すでに20年を超える歴史を持つにまで至ったFrogwares社のシャーロック・ホームズ推理ADVシリーズ。
その間にホームズはルパンと対決したりクトゥルフ神話と対峙したり訳アリの養女を引き取ったりと様々なシチュエーションに挑まされてきた。
そしてその中にはヴィクトリア朝期最大のミステリー、切り裂きジャックの案件も含まれるのであった。
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創作物と実在事件の違いこそあれ、ホームズと切り裂きジャックはほぼ同時代を過ごした間柄。
本家のコナン・ドイルこそスルーしたが、この両者を絡ませようとしたホームズのパスティーシュものはそれこそ枚挙に暇がない。
Frogwaresがホームズ対ジャックの物語に挑んだのは2009年。
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回を重ねるごとにケレンを増していったホームズADVシリーズだが、ゼロ年代はまだ全般的に垢抜けておらずコンソール機展開もごくごく一部に留まっていた。
『Sherlock Holmes vs. Jack the Ripper』は、そんなホームズADV第一期の総決算ともなる一作である。
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19世紀末のロンドンで貧しい街娼たちが立て続けに絞殺され死体を切り裂かれた未解決事件。
切り裂きジャックの異名を授けられた犯人は未だ正体不明のままだ。
ホームズがどんどんイケメン化しているシリーズ近作ならば、この19世紀きってのシリアルキラーとの対決も時にはアクションを交えた派手派手しいものになりそうだが、本作のそれは地道な犯罪捜査を堅持。
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実際の事件データをベースに、ワトスンをパシらせて関係者の証言を集め(貧民街や売春宿などに出向くのはもっぱらワトスンの役目)、科学実験や鍵開け、事件タイムテーブル作成などシリーズではお馴染みの推理パズルを積み重ねながら地道に事件の真相に迫る。
タンブルティやパイザーといった実在の事件容疑者も登場する、Frogwaresホームズによる切り裂きジャック事件の地味で生真面目な考察とも言えるような内容だ。
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2009年当時でもそのビジュアルはかなり前時代的な印象は否めなかったのだけど、産業革命の負の部分、どんよりとした貧しいロンドンの空気はそれなりに伝わってくる。
陰惨な事件の概要やその背景の救いのなさから、ホームズADVシリーズ中でも飛び抜けていたたまれなさを感じさせる。
そんな闇の深さからかドイルがこの事件をホームズ世界とリンクさせることを避けたのも、なんとなく分かるような気がする。

<未日本語化>

*関連記事
【Sherlock Holmes: The Devil's Daughter】シャーロック・ホームズ 悪魔の娘
【Sherlock Holmes: Crimes & Punishments】シャーロック・ホームズ 罪と罰


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2023/11/10 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Ravenous Devils】貪欲な悪魔夫婦

   ↑  2023/11/12 (日)  カテゴリー: XBOX
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産業革命が完成し栄華を極める19世紀後半のイギリス。
しかしその繁栄を享受できるのはごく一握りの人々なのは資本主義の常だ。
貧富の差が拡大し人口が膨張するロンドンには次々とスラム街が生まれ、切り裂きジャック事件のような陰惨な犯罪が夜を賑わせるようになった。
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そんな世の中で大切なのは勤勉さだ。
パーシヴァルとヒルドレッドはとても働き者の夫婦。地上三階地下一階の建物を買い取って、二階にはパーシヴァルの洋裁店、一階には食事ができる酒場をオープンさせた。地下はヒルドレッドが忙しく立ち回る厨房。夫婦でこれらの店を切り盛りしている。
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もっともただ闇雲に働くだけだと資本主義社会では狡賢いやつらの養分になるだけだ。
しかし夫婦には卓越したアイディアがある。
原材料費の高騰はいまの日本で商売を営む者にとっても頭が痛い問題で、これが原因の廃業が後を絶たないが、そのコストを実質タダにできる方法がある。それはお客様の(自由意志ではない)協力!
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パーシヴァルの洋裁店を訪ねてきたお客様を採寸するふりして裁ちバサミでぐさーっ!
着ていた衣服は仕立て直して洋裁店のマネキンに飾られる。そしてお客様の身体の方は落とし戸から地下の厨房へ直行。
これをヒルドレッドが鼻歌交じりに解体して食材に生まれ変わらせるって寸法だ。
トマトや玉ねぎといった野菜系食材だって、その肥料はもちろん死体。ああ、なんて無駄がない!
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ゲームのベーシックは『Diner Dash』タイプのごくオーソドックスなタイムマネジメント。
夫婦それぞれが働く階を慌ただしく切り替えて二人分の多忙な毎日をやり繰りする。
お金が貯まったら商売の拡充。マネキン台やオーブンなど諸設備を整えたり1階を担当してくれる従業員を雇ったり(前の雇い主は食材になりました。厨房に立ち入るのは厳禁!)。
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子どものいない夫婦。そのことに寂しさを覚えるヒルドレッドが親をなくした少年(母親は食材になりました)に母性を感じるくだりは、このピカレスクを貫くゲームの貴重な人情パート。
カニバリズムをここまでド直球にテーマにしたゲームもなかなか珍しいんだけど(そりゃそうだ)、タイムマネジメントゲーム特有の慌ただしさが陰惨なムードを中和して、この人でなしの殺人鬼夫婦に対しても「ホントに働き者で感心だなあ」なんて感想が芽生えてくるのが不思議である。

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2023/11/12 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Accident】交通事故応急救護シミュレーター

   ↑  2023/11/15 (水)  カテゴリー: XBOX
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応急救護。確か自動車教習所で必須の講習だったはずだが、なにせ遠い昔の話だし、なにより人生で一番斜に構えた年頃。
いや、オレに限らず同世代の生徒たちは、こと応急救護に関しては一様にへらへらした薄笑いを浮かべながら「なんでこんなことやんなくちゃなんないのかなあ」なんて態度で臨んでいた。
しかし学校と名のつくところで教えてくれることは、すべからくきちんと学んでおいた方がいいと気づくのは歳を重ねて手遅れになってからだ。
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年々減少の傾向があるとはいえ、昨年だけでも交通事故の発生件数は30万件。この社会で生きている限り、いつどこでそんなシチュエーションに出会すかわからない。
そんなときあなたは落ち着いて正しい行動を取れるだろうか?
眼の前に広がるのは多重事故の悲惨な光景。
はからずもその現場に遭遇したオレは、まず何をしていいかわからず「はわわわわわ」とパニクるのであった。
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『Accident』は交通事故の応急救護をテーマにしたシミュレーター。
過去の事故案件をVRで追体験するの建前のもと、世界各地で起こる様々なシチュエーションに対面する。
事故の被害者が一命を取り留めるかどうかは、すべてあなたが適切な処置を行えるかどうかにかかっているのだ。
道路を外れてドライバーごと木に串刺しになってる車、極寒の気温下で意識を失っている被害者、人を載せたままエンジンルームから燃え上がる炎。はわわわわわ、お願いだから救急と消防早く来て!
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しかしそんな頼みの綱への通報すらままならないことだってある。圏外、バッテリー切れ、そもそもスマホ持ってない等々。
テネシーの夜の路上で起こった人身事故のときは、バッテリー切れのスマホを手にしながら電話ボックスの前で「はわわわわわ、どうしたらいいんだよう!」とひたすらパニクってた。
そして目の前にある箱に改めて気づいて「……そう言えば遠い昔、ここから電話とか掛けてたっけなあ」と思い出した頃には、もう被害者は手遅れになっていた。ホントごめん!
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まず救急機関に連絡。そして事故車のエンジンを切る。続いて後続に異常を知らせる三角板の設置。
ステージを重ねれば、この初動は嫌でも覚えていく。しかし事故の状況は常にテンプレとは限らない。
列車との衝突、はわわわわわ! 今にも崖から転がり落ちそうな事故車、はわわわわわ! 襲撃を受けてあちこちに銃器が散乱する囚人護送車、はわわわわわ!
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被害者の指が千切れてる。どうしたらいいの? 教えてエマージェンシー!
「まず指を探して綺麗に洗って清潔に冷所に保管してください。頑張って!」
はわわわわわ! 無理、無理、あんまりこっちに丸投げしてないで、いいからお前ら早く来い!
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ちなみにデフォルトのスティック感度はかなりセンシビティで対象をポイントするにも一苦労なんだけど、そのままにしておいた方がはわわわわわ感が増していいぞ(なにがいいんだか)。
救急車が到着して以降の事故の原因を推察するパートはやや蛇足を感じるのだけれど(このパート、ホームズのADVをちょっぴり想起させた)、そういった部分も含めて全体的に学習要素を追求した生真面目さな造りが目立つシミュレーターだ。

<未日本語化>

この記事に含まれるtag : シミュレーター 

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2023/11/15 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |