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2023/05/02 (火) カテゴリー: XBOX Series X|S

渋谷の街が人で溢れかえっているのは今に始まったことではないが、しかしここ数年の密度はちょっと尋常ではない。
混雑した街ってのは何も渋谷だけではないけれど、同じ人混みでも渋谷のそれは他の街と比べて揉まれているときの消耗度がハンパじゃない気がする。
2018年に起こった例のハロウィン騒動のとき、オレは喧騒からほんの少し離れた桜ヶ丘あたりにいたのだが、渋谷駅のさらに向こうの方からは禍々しい気が立ち上っているのをマジで感じたほどだ。

だから『Ghostwire: Tokyo』の渋谷が魔に包まれたなんて舞台設定も、「まあ元からそんな街っすもんね~」とあんまり切迫感を覚えなかったりする。別に放っておいても支障ないっしょ?
そんなワケでオレの前に広がる魑魅魍魎に蹂躙された渋谷の街は、まるでハロウィン翌朝の光景のよう。
魑魅魍魎に蹂躙って字面だけでは実際の渋谷もこのゲームも別に大した違いはないが、特筆すべきはあれだけうじゃうじゃいた人の姿も一切合切消え去っていることだ。なんて素晴らしい!

しかしゲームというのはプレイヤーがお節介を始めなければ転がらない。
この街の荒んだ魂を吸い上げて何かを成就させようとする魔の側を心配したくもなるが、とにもかくにも吸い上げられた魂を救済するために無人の渋谷の街を右往左往するハメになるのであった。
渋谷を舞台に魔物たちとバトルを繰り広げる。そんなプレイ前の印象とは裏腹に、その実態は移動サポートが充実した『アサシンクリード』な印象だったりする。
ビルのてっぺんからてっぺんを滑空して渡り、目についた浮かばれない魂を片っ端から回収。その合間にサイドミッションや他のコレクタブルアイテムをこなしたり、そしてたまに戦闘したりしなかったり。

戦闘システムのチュートリアルを担う最序盤の病院パートの手応えがパッとしなかったこともあって最初はハズレかと思ったが、フリーロームができるようになるとその印象は俄然と変わる。
そう、これは普段は人だらけで身動きもままならない渋谷をフリーダムに動き回れるゲーム。
センター街もすーいすいすいっ。いつもは行くのに迷うMAGNETの屋上も天狗さんの助けを借りていっきにぴょ~ん。駅前のビラ配りアイドルたちが壊滅しているのはちょっと寂しいけど、その魂はいずれ回収するから安心してほしい。ついでにワンマンのチケットくださ~い。

雑踏の楔から解き放たれた渋谷行脚の味付けとなるのは闇鍋のようなオカルトテイスト。
伝承や民話、フォークロアなど、もう思いつく限りの心霊超科学ネタを極めて雑に放り込んだ無節操さは時々鼻白むこともあるのだが、しかしその味噌もクソも一緒くたにつまみ食いしたような無責任な盛り込みっぷりは痛快だったりもする。

そして駅の周辺はかなり再現度が高い渋谷の街も、宇田川町のあたりまで来るとあっという間にアバウトになって、そこに広がるのはまるで時代を30年も遡ったような景色。
これはこれで妙にノスタルジーがあるし、いかにも日本土着のオカルトを写実的な駅前以上に感じさせる部分もある。

膨大な収集物と程よい数のサイドミッションのバランスも、このふらふらしているだけも楽しい街を隅から隅までくまなく巡らせるにはちょうど良い導線だ。
魔都渋谷をアバウトに駆け巡る雑食オカルトフレーバーのふらふらお散歩ゲーム、その合間に箸休め的な戦闘パート付き。

人がいない渋谷。そこはホントに心地よい。この事態を招いた般若面のラスボスに「グッドジョブ!」の一言もかけたくなる。
だからそんな恩人へトドメをさすのを先延ばしするためにも、ストーリーラインなんか放ったらかして現実の渋谷と照らし合わせながらくまなくお散歩を満喫しようじゃないか。
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3139.html
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