- 【Calico】カリコ [2023/03/15]
- 【ゴールデンアイ 007】Golden Eye 007 (Rare Replay) [2023/03/21]
- 【Kraken Academy!!】クラーケンアカデミー [2023/03/27]
↑
2023/03/15 (水) カテゴリー: XBOX Series X|S

もしいまから何か事業を始めようとしたら。猫カフェ! それはとても素敵な試みかもしれない。
可愛らしい猫たちと、その猫を愛してやまない心優しきお客さまたちに囲まれた至福の空間。想像するだけで胸がときめいてくるではないか。

しかしオレだって現実の世知辛さはムダに知りすぎている。
人がいくら優しさに満ち溢れた世界を作ろうとも、そこに周りが見えない迷惑客や厄介が押し寄せてくることも。
この世にいる限りおのれも含めた人の醜さからは逃れられない。
だからビデオゲームにそれを求める。優しさと可愛らしさだけで構成された世界で猫カフェを経営するゲームに!

『Calico』はピンクが映えるパステルカラーの不思議な世界で、かつて伯母が営んでいた猫カフェを切り盛りするゲーム。
森と山と海に囲まれたこの小さな小さな町は、作者の美意識、というか可愛い観が徹底して貫かれたゲームだ。
ふわふわした色彩のビジュアルは言うに及ばず、もふもふ感満点の動物たち、綺麗で可愛いものだけで構成された景色、そして何よりぽっちゃり気味なキャラクターたち。そう、ここはぽっちゃ専天国!

このファンシーワールドにあってはならないもの、それはストレス!
可愛く心地よい世界を追求する『Calico』にとっては、頭を悩ませたり七面倒臭い手順をふまなきゃならないミッションはあってはならぬもの。
だからクエストもそのほとんどがご近所からご近所へのお使いレベル。
それによって余った時間は可愛い動物たちや、ふくよかな住人たちや、マイカフェの模様替えに費やそう。
『Calico』は作者の美的感覚や可愛い観を共有し、一緒に愛でるゲームなのだ。

細かい不具合や全体の造りなどにかなりの粗があるのは否定できないが、そうした完成度よりも優先したいことが分かりやすいほど伝わってくるので、少々の歪さもなんとなく許容できてしまう。
ファンシー好きでそれ系のファッションを過剰に追求し、害はないんだけどちょっぴりネジの外れている。
そんな女性は稀に実在していたりするが、『Calico』はまさにそんなお姉さんみたいなゲームなのだ。
この記事に含まれるtag : 経営シム
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3135.html
2023/03/15 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ | ↑
2023/03/21 (火) カテゴリー: XBOX Series X|S

1962年の「007/ドクター・ノオ」に始まり最新作の「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」まで25作を数えるジェームズ・ボンド映画。
その間に6人の俳優がジェームズ・ボンド役を務め、代替わりのたびにボンドのイメージは刷新されてきたのだが、4代目のティモシー・ダルトンから5代目ピアース・ブロスナンへのバトンタッチは、単なるキャラクターチェンジに留まらない大きな変革があった。

なにせダルトン版の最終作「007/消されたライセンス」からブロスナンボンドの登場となる「007/ゴールデンアイ」の間には7年近いスパンがあった。
その長い空白期間は様々な複合的理由があるのだが、とにかく殺伐とした80年代アクション映画の影響が良くも悪くも強かったティモシー・ダルトン時代からクールダウン期間を得たことで、新たに幕を切ったブロスナン時代は大げさに言えば再創業的な仕切り直しとなったのだ。

猛々しいダルトンから一転、ソフィスティケートされたピアース・ブロスナンのボンド。
「007/ゴールデンアイ」はそのキャラクターのみに留まらず、様々な面がモダンに再構築された一作となった。
一介のプログラマーにしか過ぎないヒロインにあんまり頼りにされてないボンド像は、新鮮を通り越してかなり驚かされるものがあったが、この先代の影を一切合切振り払った大胆な再出発は、見事に新時代における007映画の復権に繋がった。

そしてビデオゲーム世界のジェームズ・ボンドも、やはり同じ時期に空白期間と変革の過程を辿ったのであった。
同映画のゲーム化作品『ゴールデンアイ 007』は1997年の発売。ボンドゲームの前作となる『007 死闘』からは4年のスパンがある。
メガドライブ版『007 死闘』は、横スクロールのプラットフーマー。
それ以前となる『007: Licence to Kill』(ZX Spectrumなど)は『戦場の狼』みたいなSTGと、ティモシー・ダルトン時代はアーキテクチャの限界から、そのゲーム化作品はどうしても映画の登場人物をフィーチャーしたキャラクターゲームの域を出なかった。

そのキャラクターも当然本人に似せるどころではない。タキシード姿で辛うじてボンドと理解できる程度の記号化されたキャラである。
映画の007を変えたのが時代性や観客の嗜好の変化なら、ビデオゲームの007を変えたのは90年代半ばの表現力やハード性能の凄まじいばかりの進化だ。
『ゴールデンアイ 007』はそれを背景に、007ゲームをキャラゲーから映画のストーリーを追体験させるシネマゲームへと向上させた。

ブロスナンにショーン・ビーン、その俳優がモデリングされたことがしっかり認識できるキャラクターたち。
戦車チェイス、レーニン彫像公園でのトレヴェルヤンとの再会、ゼニア・オナトップとの決着戦など物語に準拠したステージ。
そして何よりもQお手製のガジェットを自らの手で使い分けボンドそのものになりきる手応えは、過去のボンドっぽい何かを操作するゲームとは天と地ほどの違いがあった。

さらにファーストパーソンシューターとしての完成度の高さは、ニンテンドウ64にFPSマシンとしてのもうひとつの顔を付け加えた。
現在は当たり前のジャンルとなっているFPSだが、それがこの国で広く波及するその下地を作ってくれた功績も大きいだろう。
いずれにせよゲーム史に残る傑作の評価は揺るぎないであろう一作。
この『Rare Replay』所収版は、マルチプレイがローカルのみに対応したニンテンドウ64版ほぼ準拠の仕様(未日本語化)。
今後発売が予定されているSwitch版はオンラインプレイを実装しているとの情報もある。
*関連記事
【007 死闘】ティモシー・ダルトン版ボンドゲーム
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3136.html
2023/03/21 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ | ↑
2023/03/27 (月) カテゴリー: XBOX Series X|S

辺り一面落書きだらけのボロボロな校舎。
ある世代ならば戸塚水産高校とかあの辺を思い浮かべるかもしれないが、しかしひとえにコミックカルチャーといってもその様式や価値観は様々だ。
少なくともこのクラーケンアカデミーは、荒れ果ててはいても「ビー・バップ・ハイスクール」的な価値観から、およそ遠いところにあることだけは間違いない。

音楽、美術、演劇、スポーツと4つの学部を擁するこの学校。
なんかひとつだけ食い合わせの悪そうな学部が混じっているが、しかしクラーケンアカデミーで浮いているのはスノッブな選民意識を丸出しにする演劇連中の方だ。ジョックスの皆さんは安心してほしい。
そんな学部間格差よりも問題なのは、この学校はわずか数日後に崩壊が運命づけられていること。
先がないにも程があるアカデミーの新入生こそいい面の皮だが、とにもかくにも主人公は学校近くの池に棲息する謎の巨大クラーケンに言われるがままに、時間を何度も遡ってこの崩壊を止めるハメになるのだった。

どこかネジの外れた変人たちが集う学園でのスラップスティックな日々。
これまたある世代なら「うる星やつら」の友引高校あたりを思い浮かべるであろう。あるいはもっとオタクを煮詰めたコンテンツならば、TRPGに端を発した「蓬莱学園」シリーズなんかがドンピシャだ。
『Kraken Academy』はそんなオタク寄り学園ものコミックカルチャーからの影響を強く感じさせるアドベンチャーゲーム。

ナルシストのイケメン、オカルトマニア女子、筋肉バカ、陰謀論オタクなどなど、学園スラップスティックに欠かせないネジの外れたキャラクターも選り取り見取り。
そして一番性格的にマトモそうな女子生徒はブロッコリーだが、そこで「なぜ!?」と疑問を抱いていはいけない。
そもそもクラーケンが仕切っていたような学園だ。何が起こっても不思議ではない。

この奇天烈な学園で問題解決のために奔走する手段はタイムリープ。
クラーケンから授かった時間を遡る能力で、いつでも入手アイテムをキープしたまま崩壊を迎える3日前の朝に戻ることができる。
メインストーリーはもちろんのこと、取りこぼしたサイドクエストなんかもこれを駆使すればいつでも回収可能だ。

だけど時間は錯綜していてもクエストのフラグ立てなんかはそれほど入り組んでいない。
詰まることなく物語やキャラクターとのやり取りをさくさく進められるのは、どことなくライトノベルのような感覚。
ボリュームもほどほどで架け橋ゲームズによるローカライズもツボにはまって遊びやすいドイツ生まれのカジュアルでノリの良いドタバタ学園ADV。
この記事に含まれるtag : アドベンチャーゲーム
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3137.html
2023/03/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |