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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【Chair Simulator】チェアシミュレーター

   ↑  2022/11/02 (水)  カテゴリー: PCゲーム
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立つ、寝る、そして座る。人間の姿勢の三原則だ。
かつては地べたやせいぜい石ころに腰を下ろしていた人類がやがて椅子という存在を生み出し、座る行動は本能から文化的な行いへと変化した。
人間はその長い文明の歴史の中で様々な用途やデザインの椅子を創り出し、時にはそれが権威の象徴ともなり時には死刑を執行する道具ともなった。
この『Chair Simulator』はそんな人類と椅子との緻密な関係を再現したシミュレーターである。……って、もちろんそんなわきゃない。
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無駄に多岐にわたるキャラクターセレクト(ほぼ全部制作者の知人や関係者らしい)を経て放り出されるのは、椅子がひとつぽつんと置かれた簡素な部屋。
ここでプレイヤーがやるべきことはなにか?
椅子を前にして人がすることはただひとつ。近寄って腰を下ろそう。
あとは椅子に腰掛けたキャラクターをただ眺めるだけだ。モニターの前でプレイヤー自身も椅子に座っているとなおいいだろう(まあ立ってやる人はそうはいないだろうが)。
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椅子に座っている時間は決して無為ではない。
電車のシートに腰を下ろしていればそのうち目的地にたどり着くであろうし、病院の待合室の椅子で辛抱していればやがては診察の順番が回ってくる。
『Chair Simulator』においてもそうだ。
椅子に座っていれば着々と経験値が加算されてゆく。もっともそれでレベルが上ったところでだからどうしたと言われれば答えに困るのだが。
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いや、獲得できるのはほとんど無意味な経験値ポイントだけではない。
デフォルトの味も素っ気もないパイプ椅子から新たな椅子に買い替えるためのマネーポイント。これもひたすら座り続けることによって蓄積される。
もっともあれやこれやの椅子三昧を決め込むには莫大な時間を消費してただ座り続けるおのれのキャラクターをずっと眺めていなければならない。
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いっそのこと放置して外に遊びに行きたいところだが、しかしずっと座ったままだと血行に悪いからだろうか、このゲームは一定時間座りっぱなしだとキャラクターが死んでしまいゲームオーバーとなってしまう。
こんなゲームに真面目に付き合うことを考えず、とっととチートコードで金を手に入れてしまおう。
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新たに購入できる椅子は丸椅子からピアノ椅子、玉座にエマニエル夫人が座ってたようなやつと、この世のありとあらゆるタイプの椅子を網羅したかのような豊富なバリエーション。
まあどんな椅子をセッティングしたところでただ座り続けるだけなのは変わりないのだが(一応獲得経験値にボーナスが付いたりケツ痛メーターが遅くなったりと細かい差異はある)。
ゲリラ的な活動で知られるNYの現代アートグループMSCHFが送り出した、パロディ系シミュレーターの中でも皮肉とウィットが際立つ一作。

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2022/11/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Speaking Simulator】スピーキングシミュレーター

   ↑  2022/11/04 (金)  カテゴリー: Switch
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面接なんて自ら進んで受けたいものではないし、結婚式や葬儀でのスピーチなんてご遠慮申し上げたい。
ましてや全国民が注視する議会での演説などなおさらである。
ところが世の中にはこういうスピーチをやりたくてたまらない奇特な連中もいたりする。朝礼なんかで長話をおっ始めてみんなをうんざりさせるのは大抵この手合いだ。
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そんなできる限り回避したいスピーチの場に挑むこの身はなんと機械仕掛け。
しかも人間社会に浸透してやがては人間の支配を目論む御大層な使命を持ったロボットだ。
母国語ってのは知らないうちに喋り方を覚えてるもんだけど、外国語を学んでるときなんかはたまに発声の機能としくみを改めて意識させらることがある。
舌を上顎にべたっと付けて「る~~~」とかがそうだ。
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ましてやいまのオレはロボット。一言口に出すだけでも口角や口腔内の動きを意識して操作しなければならない。
口角の動きは右スティック。口腔内の舌は左スティック。
右スティックの方はシンプルな上下左右で比較的扱いやすいが、面倒なのは舌の動きをダイレクトに操作して顎の上下のスイッチを押さなければならない左スティックだ。
焦れば焦るほど舌があらぬ方向にぬめぬめと動いてく。ああ、普通に喋るのがこんなにもどかしいことだったなんて!
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この不自由な発生機能で、ただでさえテンパってワケが分からなくなる面接や結婚式のスピーチに挑めと!?
一応ゲームらしく獲得したポイントでアップグレードできるシステムが備わってはいるが焼け石に水。それに眼や眉毛の操作が加わって余計に煩雑になってさらにテンパるだけだし!
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Switchで日本語版が発売されている本作、シミュレーターを名乗ってはいるが、基本的に『マニュアル・サミュエル ~死神との約束~』や『オクトダッド ~タコと呼ばないで~』なんかに代表される人体ファジー操作系のコメディチックなゲーム。
ただ、やることを喋る行為ただひとつに絞り込んでしまったために、ステージが変われど同じことを繰り返させられてる単調さは否めないし、それが故に『マニュアル・サミュエル』なんかにあった馬鹿馬鹿しさは目減りしちゃっている。
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「ブレードランナー」のレプリカントなんかは改めてスゲえ技術でできているんだなと、変なとこを再認識させられる。
この設計したやつを呼び出して始末書を100枚くらい書かせたくなる操作システムを乗り切って、ロボットによる人類支配の野望を達成できるかは貴方の根気次第だ。

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2022/11/04 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Amnesia Collection】アムネシアコレクション

   ↑  2022/11/10 (木)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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主観視点のホラーアドベンチャーゲームというのも、近年ではやはり氾濫しているジャンルである。
特に館など舞台とシチュエーションを限定したものは、独立メーカーや個人開発者にとっては扱いやすい手頃な規模に収まるのも、中小サイズのこの手のゲームが溢れかえる理由のひとつなのだろう。
一人称ホラーADV自体はかなり古くからあるジャンルだが、2010年に登場した『Amnesia: The Dark Descent』は、ここ最近溢れかえるスタイルの雛形となったと言える名作である。
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古城の荒れ果てた一室で記憶が無いまま目を覚ます主人公。
とりあえずこの陰鬱な建物からの脱出を目指すうちに、次第に明らかになってくる物語のディティール。
城の中は不気味なクリーチャーが巡回しているが、プレイヤーの側からこれを攻撃する手段はない。
やつらが近づいてきたら逃げるか暗闇に身を潜めてやり過ごすだけだ。
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しかしその暗闇も主人公の友とはならない。
明かりのない空間に一定時間身を置いていると主人公は次第に恐怖に囚われ、息も乱れ視界も錯綜してくる。
所々に明かり灯すことのできる火口箱はその数が限られ、そしてもっと頼りになるアイテム、ランタンのオイルはさらに貴重な消耗品だ。
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限られたリソースを管理しながらクリーチャーを躱し、ほぼリニアな構造の館内を進んでいく。
10年代以降のホラーADVの多くに引き継がれたテイストだが、『Amnesia: The Dark Descent』の場合はクリーチャーの妨害も比較的緩く謎解きの類も甘めなので、ホラーアトラクション的な傾向がさらに強い。
しかしゲームの難度に緊張感がないその分、ビジュアルやサウンドなど五感に及ぶ恐怖を醸し出す演出がたっぷりと練り込まれていて、ホラー作品としてのクオリティはとことん高い。
10年以上昔の作品ということでそれなりの古臭さはあるにせよ、いまプレイしてもスリルに満ちている。
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Xboxストアで発売されている『Amnesia Collection』は、このエポックな初代作に加えて、DLCとしてリリースされた小品『Amnesia: Justine』、そして続編の『Amnesia: A Machine for Pigs』をバンドルしたアンソロジー。
『A Machine for Pigs』は火種の管理要素が排除され、さらに簡素なシステムになったが故に初代作のファンからの評価はあまり芳しくはないけれど、より一層陰鬱さを研ぎ澄ませた舞台装置と演出。
そして暗黒スチームパンクなストーリーと、これはこれで充分評価できる一作だと思う。

<未日本語化>


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2022/11/10 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Escape Academy】エスケープアカデミー

   ↑  2022/11/14 (月)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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ゼロ年代の『CRIMSON ROOM』の思わぬ大ヒット以降、フォロワーを続々と生み出したちまちのうちにひとつのジャンルとして確立された脱出ゲーム。
このジャンルは元々がおそろしく古典的なアドベンチャーゲームの様式で成り立っていて、オレなんかは『CRIMSON ROOM』に最初に触れたときはゲームの先祖返りみたいに感じたのだけど、同作以降にこの様式に馴染んだ人にとっては、そのシンプルなシチュエーションとシステムやタイトなボリュームなんかが逆に新鮮に映ったのであろうか。
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個人や同人の開発者でも手を付けやすく、モバイルギアのサイズにも適していたりブラウザでも展開できる手軽さゆえに、現在でも雨後の筍のごとく新作が次々と登場している脱出ゲーム。
ジャンル作がこうまで溢れかえると、限定的シチュやコンパクトさも相まって、なんか短歌のような様式美すら感じさせたりする。
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そんな掌編小説のようなサイズ感が売りの脱出ゲームにあって異例の大作となるのがこの『Escape Academy』。
まあ大作と言っても「脱出ゲームにしては」の冠つきだが、とにもかくにもプレイヤーは脱出ゲーム専門学院の生徒として数々のカリキュラムに挑まなければならない。
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脱出ゲームはスピード感が肝要。なまじの引延しはその持ち味を殺してしまう。
『Escape Academy』もその実は一般サイズの脱出ゲームを複数個チャプターで区切ったものなのだが、脱出ゲーム学院を名乗るだけあって、さすがにそれぞれのクオリティが高い。
食堂、庭園、水が刻々と溢れてくる地下、さらには制御室から監視カメラ映像と無線機を駆使して別の場所にいる仲間を脱出させるなどシチュエーションも多彩。
後半ではまるでテレビのゲーム番組のような脱出ゲームアトラクションの舞台も用意されている。
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ただし一部で喧伝されている学園アドベンチャー的な要素は実際にはかなり希薄。
正直ストーリーは一応の導線程度の内容だ。まあこの辺は脱出ゲームらしいところでもある。
本作は日本語化はされていないが、物語はそれほど込み入ったものではないし、パズル部分においても英語はパズルのパーツのような扱いになっているのがほとんどだ。
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脱出ゲームとしては大規模だが一般のアドベンチャーゲームに比べたらやはりささやかなボリューム。
それを補うためか今後の追加要素に対応した別売りのシーズンパスと、その第一弾となるDLC『Escape Academy: Escape From Anti-Escape Island』が用意されている。
程よく頭を使わせる練り込まれた脱出ゲームと、『CRIMSON ROOM』以来のジャンル伝統とも言えるヴィヴィッドな色使いをさらに洗練させたビジュアルが光る、このジャンルの決定版とも言えるような一作だ。

<未日本語化>

この記事に含まれるtag : アドベンチャーゲーム 

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2022/11/14 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【ディ探偵】Detective Di: The Silk Rose Murders

   ↑  2022/11/17 (木)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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ディー判事ことディー・レンチェは中国の唐代に実在した行政官。
その業績や才知から後世の人々によって彼を主人公とした物語が語り継がれた流れは、雑な例えになるかもしれないが我が国の大岡越前なんかをイメージすればわかりやすいだろう。
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彼の名を広く世界に知らしめたのは日本などで大使を務めたロバート・ファン・フーリックというオランダ人外交官。
東アジアの歴史や文化に造詣が深い彼はディー判事を主人公とした推理小説を1950年代から60年代にかけて次々と上梓し、そのエキゾチックな香り満載の歴史ミステリは大きな人気を博した。
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日本でもそのシリーズは過去に数社から翻訳版が出版されていたが、現在では比較的発行の近いハヤカワポケットミステリ版が入手しやすいだろう。
2010年代にはアンディ・ラウやマーク・チャオらを主演に映画作品が立て続けに作られているが、こちらはガイ・リッチー版「シャーロック・ホームズ」みたいなスペクタクルアクション巨編。
本格ミステリであるフーリックの諸作とはかけ離れた内容だが、それでもツイ・ハーク監督による「王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件」などはなかなか見応えのある一作だ。
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『ディ探偵』と翻訳マシン直通な邦題が据えられた本作も、そのディー判事が主役となるゲーム。
最初にこのタイトルをストアで眼にしたときは、まさかディー判事の関連作だとは思わず危うくスルーするところであった。
日本語タイトルはアバウトだが、その中身は洗練されたピクセルドットのビジュアルと本格的なミステリのプロットを擁し、フーリックが描いた唐代推理小説の雰囲気をしっかりと伝えてくるポイント&クリックADVの力作である。
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時は中国最初の女帝、則天武后の世。司法省にあたる大理寺を掌握するディー判事は、韓国大使の殺害に始まる一連の事件に挑むこととなる。
それぞれの事件はチャプターで区切られて独立しているが、一見無関係に思われるそれぞれの事件がやがてひとつに纏まっていく流れははフーリックの原作でもお馴染みのプロット。
そして権力を必要悪と割り切る玉虫色の人物である則天武后と謹厳実直なディーの、愛憎と忠誠の入り混じった複雑な関係性は一連の映画版でお馴染みのテーマだ。
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ゲーム自体は極めてオーソドックスなポイント&クリック式のアドベンチャーゲーム。
一定のフラグを立てたら推理パートに移行し、選択式の解答で事件を再現できたらチャプタークリア。
調べるポイントはかなり限定的で手の込んだフラグやアイテムの組み合わせもそれほど多くはなく、同趣向のADVとしてはそれほど難易度は高くない。
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ただし日本語化はされていないので、かなりの量にのぼる英語テキストには覚悟が必要だ(個人的には中国人名の英語表記は区別がつけ辛くて厄介だった)。
もうひとつ残念なのはフーリックの原作でディーを補佐するチャオ・タイやホン・ガンといった魅力的なキャラクターの部下たちが登場しないところ。
唯一マー・ロンだけが出てくるが、彼もモブすれすれの薄味な脇役に留まってしまってる。

<未日本語化>


この記事に含まれるtag : ミステリ アドベンチャーゲーム 

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2022/11/17 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |