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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【Chinatown Detective Agency】牛车水侦探社

   ↑  2022/05/04 (水)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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西暦2037年。近未来といえば近未来だが、いまからわずか15年後の世界。
実際の感覚ではあっという間に訪れるちょっと先の話である。
世界に君臨していた超大国アメリカが凋落し、替わって中国を中心とするアジア諸国が台頭。.
しかしファジーな全体主義をバックボーンとしたそのアジアの時代も、世界的な資本主義の停滞により勢いを弱め、それにより露わになった管理国家の現実が人々をどんよりと包み込んでいた。
『Chinatown Detective Agency』が背景とする15年後の現実はまあこんなところだ
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アジアの新興経済大国シンガポール。アミラ・ダーマはそのチャイナタウンの一角に事務所を構える私立探偵。
かつて敏腕刑事として鳴らしたアミラの下を訪れるのは3人のクライアント。
いずれも愛犬の捜索だとか浮気グセの女房の調査だなんてセコい案件持ちじゃない。シンガポールの社会の中枢に係わる表なり裏なりのVIPばかりだ。
そしてそれぞれの事件はやがてドローンを使った不気味な殺人事件へと集約されてゆく。
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舞台は近未来だがゲーム自体はそのピクセルビジュアルも含めて、極めてオーソドックスなポイント&クリック式のアドベンチャーゲーム。
その守旧的なスタイルの中で唯一のフックとなっているのが、謎解きやフラグ立ての一部をゲーム外の検索に依存する一風変わったシステム。
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「ググレカス」というセリフも最近では"調べてみました"系ブログの氾濫などで煽り言葉として機能しなくなっているが、とにかく『Chinatown Detective Agency』においては、よっぽどの博識な人でもない限りググらなければ話は進まない。
古典文献の一節、登場人物から推測される小説のタイトル、切手に残された消印の一部から辿る投函先、古代メソポタミア文字の数字の数え方などなど、主にコード入力時に要求されるこれらの謎の答えはすべてネットの海の中。
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このシステムと世界の各地を矢継ぎ早に巡る展開は、いにしえのエデュケーションゲーム『カルメン・サンディエゴを追え!』を彷彿とさせるところがある。
しかし残念なことに本作はARゲームやシリアスゲームの側面をそこまで追求しているわけではない。
"ググれ"システムも毛色の変わった一要素程度に留まり、さらにはググらなくても済んじゃうようなお助けキャラの存在が、その一風変わった部分すらもスポイルしてしまう。
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さらにこれはコンソール版だけに顕著なのかもしれないが、ゲームの不安定さやインターフェースのぎこちなさがゲーム全体の足をかなり引っ張ってしまっている。
そして本作は日本語化が為されているのだがこれがまた厄介な問題を孕んでいて、一例を挙げると被害者が最後に残したある古典の一節から手がかりを得るパートがあり、これもググって情報を得ることになるのだが、ハンパに日本語に訳された一節だと検索のしようがなくて、結局は原文が表示される英語で進めたほうが手っ取り早かったりするのだ。
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アジアンノワールとサイバーパンクが絡み合ったストーリーや魅力的なキャラクター(登場人物はほぼ全員がアジア系)など惹かれる要素は多々あれど、いかんせんあまりにも未整理や練り込み不足な部分が目立ち過ぎて色々と惜しい作品。

この記事に含まれるtag : アドベンチャーゲーム ミステリ 

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2022/05/04 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |