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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【Walden, a game】ウォールデン、 ゲーム(森の生活)

   ↑  2022/03/02 (水)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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マサチューセッツ州の東、コンコードの街のほど近くにウォールデン池がある。池と名はついているが実質湖のような規模の水場だ。
風光明媚な観光地としての他に、ここはもう一つの理由でその名が広く知られている。
19世紀にアメリカで巻き起こったトランセンデンタリズム(超越主義)を代表する思想家、ヘンリー・D・ソローがこの池のほとりに建てた小屋で自給自足と思索の日々を送り、その時の体験は「ウォールデン 森の生活」(Walden, or Life in the woods)の題名で書にしたためられ、それは近代文芸史に残る名著として人々を揺り動かした。
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『ウォールデン、ゲーム』(Walden a game)と質素なタイトルが冠された本作は、そのソローがウォールデン池でおくった生活を追体験する一風変わったコンセプトのシリアスゲーム。
粗末なベッドに暖炉に書き物机のみのミニマムな小屋。
この中で寝起きしウォールデン池の移ろう四季と豊かな自然を体感する。
アウトドアゲームの一種ではあるけれど、その手のゲームにありがちなサバイバル的な要素はかなり薄い。
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食料や薪など生活する上で必須のパラメータはあることはあるけれど、大抵はあくせくしなくともどうにかなるレベルだ。
池では魚も釣れるし森には食べられる木の実も山ほどある。なんならコンコードの実家に帰ればパイだって用意されている。
そしてそれらが欠乏したところで、ゲーム上において致命的なペナルティがあるわけでもない。
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同様にお金稼ぎもほとんど気にする必要のない行為だ(そもそもソローはそういったことから解き放たれるために小屋暮らしを始めた人だし)。
ぶっちゃけ森で食料が採れなくなる冬の間に雑貨屋で食料を買う程度の蓄えがあれば問題ない。
ゲームの序盤で小屋の入り口にいきなり「税金払えやあ!」の貼り紙が出現して面食らうかもしれないが、これはソローがメキシコ戦争と奴隷制度に反対して人頭税の支払いを拒否したエピソードに準じたもの。ガン無視しても問題はない。というかむしろ積極的にガン無視すべきであろう(まあ牢屋にはぶち込まれるが)。
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数少ないミッション的な存在が、コンコードの街に住むやはり超越主義の哲学者ラルフ・W・エマーソン(ソローの師でもあり親友でもある)の頼みでウォールデンの湖畔に散らばる本のコピーを集めるクエストと、森に散在するソローの姉ソフィアからの贈り物を集めるクエスト。
これとて森の中を隅々まで歩き回るための導線みたいなもの。
やはりこのゲームのメインはウォールデンの美しい自然と移ろう四季をソローと同じような視点で体感することにある。
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ウォールデンの景色は単純な春夏秋冬だけではなく、初夏や晩冬など細かくその姿を変える。
そのビジュアルはインディーゲームゆえ決してリッチではないものの、きめ細かく作り込まれていて臨場感は申し分ない。
そしてやはり森の中のあちこちに現れる古代の矢じりは、これを拾うとシチュエーションに即した「森の生活」の一節がモノローグで流れる仕組みだ。
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しかし森に引きこもって暮らす思索家の生活をなぞった内容なだけに、やり込むやゲーム的なスペクタクルとはおよそ無縁であることは間違いない。
やはり本作はソローの著書とセットになって意味を成すもの。
目の前に具現化したソローが見ていたであろう情景はとても興味深くあったが、そうでない人にとってはおよそ地味で掴みどころに欠けるゲームではあるかもしれない。

<日本語未対応>

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【Fallout 4】コンコードとウォールデン池

   ↑  2022/03/05 (土)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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「森の生活」の舞台となったウォールデン池のほど近くにあるコンコード。
ヘンリー・D・ソローを始めとして、ラルフ・W・エマーソンや「若草物語」のルイーザ・メイ・オルコットなどと縁が深い、アメリカ文学史においてキーポイントとなった街だ。
そして『Fallout 4』のプレイヤーにとっても、コンコードは覚えのある地名だろう。
ゲーム最序盤、プレストン・ガービーとその愉快な仲間たちに出会う重要イベントが起こる街だ。
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人口1万数千程度と小さな規模のコンコードだが、ここは文学のみならず歴史的にもその名が知られている。
この地で植民地民兵とイギリス正規軍の衝突が起こり、それはアメリカ独立戦争の発端となった。
アメリカ独立史の再履修が裏テーマである『Fallout 4』において、主人公が民兵のリバイバル集団であるミニッツメン派閥に手を貸し、レイダー集団と最初の本格的戦闘が起こるイベントの流れは、この史実に倣ったものであろう。
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そしてそのコンコードから南にちょっと行った所。『Fallout 4』にもウォールデン池はしっかりと存在する。
しかしソローが思索にふけった池周辺の緑の森は、核の業火によって枯れ木が立ち並ぶ殺風景に変わり果て、かつてあれだけ綺麗だった池の水も澱みきって放射能に汚染されている有様だ。
この情景をもしソローが見たら、おそらく卒倒するどころの騒ぎではあるまい。
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ほとりには観光用に建てられた再現ソロー小屋と、その隣には土産物屋。
もちろんそのどちらも荒れ果てていることに変わりはない。
池の下水溝から地下に入れば、そこはレイダーの巣窟。中にはソローについて仲間に何やらひとくさりしている名前付きのユニークレイダー。
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こんな時代に「森の生活」を読んだことのある人間の存在は貴重どころではないが、いかんせん彼もレイダー。
ソローについて議論を交わす暇すらなく、ただ殺し合うほかはないのであった。
アメリカ再独立史『Fallout 4』においてトランセンデンタリズムが再び萌芽するのは、あと数十年くらい待たねばなさそうである。

*関連記事
【Walden, a game】ウォールデン、 ゲーム(森の生活)

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2022/03/05 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Unruly Heroes】アンルーリーヒーローズ

   ↑  2022/03/10 (木)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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16世紀中国で成立した西遊記は今や世界に大きく知られる物語となり、国を超えて様々な創作物の元ネタとなっています。
そのメインとなる登場人物の中でも、三蔵法師、孫悟空、猪八戒に対して、いまいちキャラクターイメージの統一感がないのが沙悟浄。
他の三人が坊主、猿、豚という明確なモチーフがあるのに対して、沙悟浄の場合はそれが"なんだかよく分からない川の妖怪"という曖昧なものであるのが、その大きな理由でしょう。
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だからでしょうか、仲間たちが坊主、猿、豚の基本フォーマットを堅持する一方で、沙悟浄だけはロボットや女性などフリーダムなキャラクター造形を施される例が多くあります。
日本で一般化している河童、あるいは岸部シローの沙悟浄像も、その一環と言えるかもしれません。
西遊記の京劇なんかを見ると、髭面のごついおっさんが出てきて、岸部シローとのギャップに思わず戸惑ったりもしますが、あれとて比較的マイルドに解釈されたもの。
原点に近づけば近づくほど、西遊記一行の中でもとみに人外度が高かったりします。
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ボサボサの赤髪に髭もじゃの巨漢。
西遊記モチーフのプラットフォームアクションゲーム『Unruly Heroes』に登場する沙悟浄は、フランス産にも関わらず原点にかなり近い造形。
西遊記一行のキャラクターを適材適所で切り替え、それぞれの固有スキルで道を切り開くこのゲームにおいて、沙悟浄の特技は怪力で巨岩などをぶっ壊すこと。
いつも無気力にボヤいてばかりだった岸部シロー沙悟浄に慣れ親しんだ身にとっては、再びギャップに戸惑うところです。
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沙悟浄ネタで思い切り尺を稼ぎましたけど、この『Unruly Heroes』は2Dアクションとしては、かなり優等生な一作。
ソロプレイでは4キャラを任意に切り替え、マルチプレイではそれぞれのキャラを担当して挑むプラットフォーマーなのですが、ステージの構成やギミック、適度な難易度のパズルアクション、バラエティに富んだボス戦などがバランス良く高水準にまとめられていて、アクションゲームとしては結構な長尺ながらも、まったく単調になることがありません。
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そしてそれを支えるきびきびとした多段ジャンプや軽快な近接攻撃などの基本アクションがコントローラやボタンにきっちりとフィットし、心地良いまでに練り込まれています。
原典準拠のストーリーに中華風の色彩をイメージさせるビジュアルデザインと、西遊記ゲームとしてのツボもしっかりと押さえた、2Dアクションの隠れた秀作です。

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2022/03/10 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Mass Effect Legendary Edition】Mass Effect 2

   ↑  2022/03/17 (木)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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銀河を駆ける宇宙特務艦ノルマンディー号。『Mass Effect Legendary Edition』での再航海も『Mass Effect 2』を終えていよいよフィナーレに突入したところなので、今日はその2を改めて総括しておこう。
人類最初のスペクター、シェパード死す!
まあ続編ってのは得てして派手な掴みが肝心だったりするが、まさか私もいきなり死んでいるとは思わなかった。
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死んだと言っても主人公である私は復活することが前提みたいなもんだが、可哀想だったのはその煽りを食って死んじゃったプレスリー航海長だな。
いや、「とりあえずこいつは殺しといても問題ないだろ」ってBioWareから足元見られたのが透けて見えるようで。
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初代ノルマンディー号は宇宙の藻屑となったが、なんやかんやあって私は1作目では敵みたいな存在だった急進派人類組織サーベラスと手を組むことになって、連中が提供してくれた2代目ノルマンディー号を指揮している。
敵は人類を数万人単位で拉致している外宇宙種族コレクター。そしてその背後にるのは、もちろん全銀河の生命体を脅かす謎の種族リーパーだ。
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オリジナル『Mass Effect 2』の発売は2011年。
初代作からだいたい3年ほどのスパンをおいての登場となったのだが、2は何よりもまずその3年間におけるビデオゲームの様々な進化を体現するようなタイトルだった。
リマスター版として3作横並びにさせられると見えづらいかもしれないが、ビジュアル表現の大幅な深化はその一番わかり易い例だろう。
ミランダやリアラのような常にポーカーフェイスで何を考えているのか分からないキャラクター。
そんな連中の些細な表情変化と、そこから漏れ出す本心みたいな描写を目の当たりにしたときは、思わず「おおっ」と唸らされた。
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その一方で新たに加わった要素によって煩雑さが増してしまっているのも、これまた続編タイトルの常だな。
個人的には戦闘パートがより本格的なサードパーソンシューティングに傾いていたのはちょっと馴染めなかったかな。
キャラが画面手前の左側に位置するタイプのTPSって空間の構成がなんかいびつになるじゃん!? 苦手なんだよアレって!
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それと2の大きな特徴のひとつに初代とは比較にならないくらいクルーが問題児揃いってのがあるよな。
本来なら私をしっかりサポートする立場であるはずのミランダとジェイコブがあんな調子だし、その後に加わってくる新顔といえば、クローガンの中でも人一倍荒っぽいやつだったり、全身タトゥーのパンク女だったり、あとは余命幾ばくもないのとか、母娘揃ってサイコパス気質とか、しまいにはゲスまで加入してきて。
『Legendary Edition』でやっとお目にかかれたDLC組のメンバーは多少マシなのかと思いきや、これが拗らせジジイに手癖の悪い娘ときている。
あのな、言っておくけどこの艦は更生施設じゃないぞ!
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だけどそんな問題児連中を総動員してのクライマックスの特攻作戦は、なんだかんだでやっぱり盛り上がったりするよな。
オリジナル版では全員生還させるために何度もやり直したが、今回は無事最初のプレイで殉職者ゼロを達成することができた。
もっともこの場合によっては死亡するキャラクターが続出してその結果が続編に引き継がれるシステムが、続く『Mass Effect 3』でクルーのバラエティが限定的になってしまった一因にもなっているが……。
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『Mass Effect 2』はクルーが問題児だったが、『Mass Effect 3』は作品自体が問題児。
コレクターとの戦いを制して、いよいよ今度はシリーズのフィナーレにして大問題作に突入だ。
そして今度こそアシュリーときっちりよりを戻すぞ!

*関連記事
【Mass Effect Legendary Edition】Mass Effect 1

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2022/03/17 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Outriders】アウトライダーズ

   ↑  2022/03/30 (水)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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「地球は滅んだ。我々が滅ぼした」
もはや潔いばかりのイントロダクションテロップの後に訪れるは人類の新たな希望の地、かつての地球と似た環境という触れ込みの植民候補惑星エクノ。
まず先遣部隊として降下したのは地表の探索と安全確保を任務とする戦闘部隊アウトライダース。プレイヤーキャラもその中の一人だ。
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しかし入植に適した環境であったはずのこの星は異常気象により変容し、森に踏み入ったアウトライダースも有害な胞子に汚染され壊滅状態。
やはり身体に変調を来し冷凍ポッドに押し込められる主人公をよそに、功を焦ったプロジェクトリーダーは軌道上の移民船に降下を指示。
希望に満ちた50万人の宇宙移民たちは、何も知らないまま生存にはまったく適さない大地へ次々と降り立つのであった。
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そして主人公が冷凍睡眠から目覚めた数十年後。惑星エクノは50万人の移民たちが数少ない物資を巡って血で血を洗う"初手から終末世界"状態に変わり果て、希望を失った人々は延々と続く争いに倦み疲れ果てていた。
その中にあって主人公はプレイヤーキャラである以外にも特別な存在だ。
一つは異常気象に晒されてるうちにアルタード(変異者)と呼ばれる特殊能力を身に付けたこと。
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そしてもう一つは人々が絶望に絶望を重ねてきた数十年の月日をまるで知らない、良い意味でピュアなこと。
アウトライダーズ。それは人類の未来を切り拓く先遣隊。異常気象のその向こう、移民団の未踏の地を目指して、アウトライダーズの新たな任務が始まった。
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『Outriders』はポーランドの制作会社People Can Flyの手によるサードパーソンRPGシューティング。
俗にルートシューターと呼ばれる、経験値によるスキルやステータスの成長の他に、ミッションの報酬や敵がドロップするアイテムを絶え間なく入れ替えてキャラクターを強化させるタイプのゲームだ。
ハクスラRPGとシューターの折衷には『Borderlands』のような成功作があるが、本作』のテイストもそれに極めて近い、"ちょっと生真面目なボーダーランズ"的な趣である。
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ゲームの基本コンセプトに革新的な部分は皆無だが、People Can Flyの前作である『Bulletstorm』も、やはり守旧的なFPSのプラットフォームにスキルショットやコンボの要素をブレンドして、銃撃戦におけるプレイヤーの自由な立ち回りを極めた実績がある。
そしてこの『Outriders』も同様に、4つの基本クラスとそれぞれの特殊スキル、そして装備に付加する多彩なモジュールをやり繰りしながら、様々な戦闘スタイルを模索するのがとても楽しいゲームに仕上がっている。
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ゲーム難度をいつでも任意に変更できたり、各ミッションの再プレイに制限がない、さらにはストーリーミッションクリア後に出現するチャレンジミッションなど、装備アイテムの収集やキャラクターのビルドを追求するための取っ掛かりには事欠かない。
先住民と入植、未開の地のさらに奥の奥を目指す旅など、どことなくコンラッドの「闇の奥」からの影響も感じさせるメインストーリーも印象的。
リリース当初はマルチプレイ用サーバーの不備が問題となっていたようだが、度重なるアップデートでその辺も解消されている。

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【Bulletstorm: Full Clip Edition】バレットストーム

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