- 【Bloodroots】ハイスピード殺戮パルクール [2021/11/01]
- 【The Procession to Calvary】名画を弄ぶADV [2021/11/04]
- 【Day of the Tentacle Remastered】ルーカスアーツADVの金字塔 [2021/11/07]
- 【Doctor Who: The Lonely Assassins】ドクター・フー 孤独な暗殺者 [2021/11/09]
- 【Forza Horizon 5】フォルツァホライゾン5 [2021/11/14]
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ポスターカラー調の乾いてくっきりとしたビジュアルには血のような赤がよく映える。
ましてやそれが血ならばなおさらだ。
『Bloodroots』はドライな風景の上に、しゅっしゅっと赤い絵の具を描き殴っていくかのように殺戮を繰り広げる、圧倒的にスピーディーな殺人パルクールアクションだ。

しかしいくらそういうゲームと言えど、ハードコアパンクのスピードで情緒のカケラもない殺人を積み重ねるのは、さすがに気が咎めるかもしれない。
だが案ずることはない。このゲームの主人公は元々が山賊みたいな社会的秩序とか道徳とはあんまり無縁そうだったやつ。
それにこいつには自分を裏切って嵌めたかつての仲間たちへの復讐という、西部劇では定番の理由がある。

相手となるのは秩序の犬どもの大群だが、いかに多勢に無勢の戦いを強いられようと恐れることはない。
先手必勝。相手が攻撃態勢を整える前にクリティカルな一撃。一部のボスなどを除いてはほぼ一発で相手の息の根を止めることができる。
しかし生き馬の目を抜く西部はある意味公平だ。一発喰らったら終わりなのはこちらも一緒。
先手の一撃や状況判断を誤れば次にやって来るのは死。そしてチェックポイントからの非情なリスタートである。

基本的に素手の攻撃でも相手を斃すことはできるが、しかし徒手空拳はリーチや攻撃速度などに大きなハンディを抱えている。
さっきも言ったように一発をしくじれば殺られるのはこちら。
幸いフィールドには斧やサーベル、薪雑把からバーベキューの串、野菜、さらには樽や荷馬車に至るまで、ありとあらゆる武器になる物が転がってる。

これらを取っ替え引っ替え、武器の特性をシチュエーションに合わせ、また武器には耐久度もあるからそれも考慮しつつ、これらの状況判断をハイスピードで駆け回る殺人パルクールの瞬間瞬間に適切に行わなければならない。
そしてその判断が連続で成功し、1分にも満たないワンステージをノンストップでクリアしたときの手応えは、楽器のアンサンブルインプロヴィゼーションがバッチリ決まったときの快感に通じるものがある。

もっともその快感はコンマ1秒の判断の遅れが致命的なミスに繋がる難易度の高さと表裏一体。
むしろ中盤以降のほとんどのステージはセッションをしくじってのトライアル・アンド・エラーの繰り返しとなるだろうが、しかしそんな永遠に続くかのような再プレイのリピートの末のぎこちないステージクリアも、それはそれで得も言われない快感であることは間違いない。
神経を研ぎ澄ませてすてーじを駆け抜けた後に残るは血みどろの死体ばかり。自分が死んだら死んだでワンツースリーフォーのカウントの暇すら惜しむかのように即座に再チャレンジ。
そんなスピード感が病みつきになるアクションゲームの快作『Bloodroots』は、Xbox版の他にSteamで発売中。
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3047.html
2021/11/01 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
"光の魔術師"の異名をとりバロック期を代表する巨匠レンブラント。
彼の代表作の一つ"ベローナ"で戦いの女神に扮しモデルを務めているのは愛妻サスキアだと言われている。
そんなレンブラントにとっても思い入れが深いであろうこの絵が本作の主人公。
とは言ってもオープニングで殺戮の限りを尽くしつつ、戦争の終結を知らされ「は!? もっと人殺しさせろ!」と駄々をこねるキャラになっているのだから、レンブラントも眉をひそめるどころの話ではあるまい。

『The Procession to Calvary』は、そんなタチの悪いゲーム。
本作でキャラクターや背景のベースとなっているのは、すべてがルネッサンス期からバロック期にかけての名画の数々。
普段は美術館でうやうやしく傅かれている芸術作品たちが、ここではあらん限りのブラックジョークの素材として使役されまくっているのだ。

多くの名画のモチーフとなっているキリストの磔刑はひとまとめに敷き詰められてしょうもない背景となり、メムリンクの"聖ヴェロニカ"で女性が掲げるキリストの肖像はTシャツに変わり、クラナッハの肖像画はアメリカン・アイドル風の審査員に変わり果て、ラファエロの"システィーナの聖母"の天使たちは天からの楽屋落ちツッコミ役に身を落としている。

フェルメール、サフトレーフェン、エンゲルブレシェッツ、ホントホルスト、メムリンク、パティニールなどなど、数々の名画たちがこのゲームによる陵辱の対象となってるが、それらの手の込んだアクティブ化やコラージュによる再構成など、事細かな手間暇をかける労力には妙な感心をすると同時に、名画たちに対する(ちょっと歪んで)深い愛情を感じたりもする。

名画による大喜利大会を繋ぎ合わせたようなゲームなのでストーリーも何もあったもんではないが、一応ポイント&クリック式のADVの様式を踏襲。
だがそのスタイルのフラグ立ては基本的に回りくどいのが定番。それを面倒臭く感じたらXボタンで剣を抜いてしまえばいい。
道を塞ぐ門番、対価を必要とするキーアイテム保持者、構わずスパーンと剣で叩き斬ってしまえば(この時の首チョンパや一刀両断のビジュアルも愉しい)フラグなんてもんかっ飛ばして先に進めてしまう。
もっともその先にベストエンディングが待っているかは保証できないが。

まあまともにつきあっても2時間ちょっとのタイトなボリューム。
しかしあらゆるシーンの細部に至るまで目を凝らすような要素が充実しており、決してお手軽で安易なジョークだけの作品ではない。
モンティ・パイソンのギャグテイストなんかにも通じるものがある(特にテリー・ギリアムのアニメーションとの類似性は大きく感じられる)異色のアドベンチャーゲーム。
現状日本語化はされていないが、誰もが見覚えのある名画がやりたい放題弄ばれているビジュアルだけでも一見の価値はあるだろう。
この記事に含まれるtag : アドベンチャーゲーム
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2021/11/04 | Comment (4) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
アドベンチャーゲームの歴史を変えた記念碑的作品『マニアックマンション』を皮切りに、綺羅星の如き名作を立て続けに放ったルーカスアーツのポイント&クリックADV。
頂点を極めた『The Secret of Monkey Island』をターニングポイントに90年代以降は成熟期を迎えるのだが、その様式が練りに練り込まれてきた時代を代表する大名作が、1993年に登場した『Day of the Tentacle』だ。
正式なタイトルは『Maniac Mansion Ⅱ: Day of the Tentacle』。
その名の通り、原点である『マニアックマンション』から約6年ぶりとなる続編である。

今でこそシリーズ物の6年スパンは珍しいことではないが、その頃の6年はゲームのテクノロジーや表現の進化の度合いがハンパではない。
当時、主人公3人組が車に飛び乗り一路マニアックマンションを目指すオープニングを観たときには、その圧倒的なスピード感やカートゥーンアニメそのままの躍動感溢れる演出に、「ゲームの表現はここまで来たのか!」と度肝を抜かされた。

そのビジュアル表現の途轍もない進化と共に『Day of the Tentacle』を名作たらしめているのは、ルーカスアーツの同系統作品の歩みと共に円熟度を深めていった謎解き部分の妙味だ。
舞台となるのは前作と同じマニアックマンション。ただし今回は現在、200年前、200年後に分かれ、3人の主人公が3つの時代でそれぞれ同時に行動する並立世界となっている。

タイムマシンは故障しているが物品の行き来だけは可能。
3人はそれぞれの時代で手に入れたアイテムを融通しあい、そしてそれぞれの時代での行動結果を別の時代に干渉させながら、前作にも登場していた触手に征服された未来の改変を目指す。
初期のアドベンチャーゲームは理不尽とも言える解法やフラグ立てを要求されるものが多く、『マニアックマンション』も例外ではなかったのだが、『Day of the Tentacle』はその部分が突飛でひねったユーモアを求められることはあるけれど、決して理不尽ではないレベルにまで洗練されている。

アイテムの使い所や応用を閃いたときに思わずにやけてしまうよう愉快な謎解きに、並立世界の練り込まれて凝った構造が巧みに絡み合った質の高いゲーム性。
そしてルーカスアーツ歴代作品から受け継がれたコミカルなテイスト。カートゥーンアニメに対する深いリスペクト。「バック・トゥー・ザ・フューチャー」への憧憬。
ルーカスアーツADVの集大成とも言えるアドベンチャーゲームの歴史に残る一作。

この『Day of the Tentacle Remastered』バージョンは、他のルーカスアーツ復刻作品と同様にバックボタンひとつでリマスター版と旧版のグラフィックを手軽に切り替えられる機能付き。
そしてティム・シェーファーらオリジナルスタッフによりオーディオコメンタリーを収録。
前作の『マニアックマンション』もゲーム内のコンピュータからアクセスして全編がプレイ可能となっている。
<日本語未対応>
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2021/11/07 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
ひと昔前、画面に表示された擬似的なパソコンのデスクトップだけでほとんどが構成されたアドベンチャーゲームが流行ったりしたが、今の時代においてはそれはいささか古い表現だ。
今はスマホがあればすべてが事足りる時代。
その手の疑似OSを操作して進行させるゲーム表現も、PCのデスクトップからスマホのスクリーンへと変化した。
KAIGAN GAMESの2017年作『SIMULACRA』は、そんな疑似スマホ画面ゲームの中でも抜きん出た一作。
そしてシリーズ化された『SIMULACRA』に続く同社の最新タイトルは、やはり疑似スマホ画面の一芸を貫く一作となった。

『ドクター・フー 孤独な暗殺者』はその名の通り英国BBCの超人気SFドラマ「ドクター・フー」の版権タイトル。
時空を超えるエイリアン"ドクター"を巡る壮大なドラマで、現在は日本でも配信サイトなどで気軽に観ることができるが、その中でもシーズン3の第10話「まばたきするな」は必見の傑作回だ。
シリーズでは異色の部類に入るこのエピソード。ドクターがほとんど出てこないのみならず、全体にホラー色が強め。そしてSFホラーとしての完成度が途轍もなく高い。

心霊スポットとなっているロンドンの廃墟屋敷と、そこを訪れたまま消息を絶った人々。そして無気味な天使の彫像。
細かいストーリーについては、とにかくドラマを観てくれと言うしかないが、視聴後は街なかで彫像の類を見るたびに思わず背中にゾワッとするものが走ってしまうほど怖い一作だ。

『ドクター・フー 孤独な暗殺者』はその傑作「まばたきするな」の後日譚。
プレイヤーが赤の他人のスマホを手に入れてしまう設定は『SIMULACRA』からのお約束だが、本作においてスマホの元の持ち主はラリーことローレンス・ナイチンゲール。「まばたきするな」の重要登場人物である。
プレイヤーはやはり原作ドラマに登場する眼鏡萌え女子オズグッドと協力して、スマートフォンに残されたデータからラリー失踪の真相を追求していく。
そしてそれは必然的に「まばたきするな」に出てきた怖い怖いあいつらに否応なしに接触することにもなるのだった。

ゲームの基本的なメカニズムは『SIMULACRA』とほぼ同じ。
完全新作と言うよりは『SIMULACRA』のドクター・フー版スピンアウトのような趣きだが、やるべきことは一緒だから手っ取り早い。
画像フォルダやチャットログ、メールのアーカイブにブラウザの履歴。スマホに残された情報をくまなくチェックしてラリーに繋がる手がかりを探る。
そこから浮かび上がる「まばたきするな」のその後の展開。
あの廃墟屋敷は人手に渡りリフォームが施され、そしてあの天使像が再び動き出そうとしてる。

そして真相に迫るにつれてスマートフォンが忌まわしき何かに次第に侵食されていくのも『SIMULACRA』以来のお約束だ。
破壊されたデータ、歪んだホーム画面、そして時おりかかってくる、暗号のような数字を機械的に繰り返す通話の出どころは1950年代。一体誰が!?

要所要所に原作エピソードを知っていることが前提の展開が多いので、まずは「まばたきするな」を観てからのプレイをオススメしたい、スマートフォン画面だけで完結したミステリ&ホラーの短編アドベンチャーゲーム。
特に終盤のスマホがどんどん変容していってからの展開は、原作ドラマに負けないくらい迫真のものがある。
部屋の隅とかに適当な彫像でも置いておけば、身に感じる怖さもひとしおだろう。
コンシューマの国内販売はSwitch版のみ。
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【SIMULACRA】スマホを拾っただけなのに
【Replica】国家のためのストーキング
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2021/11/09 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
このゲームを起動させる前に、オレの頭の中ではまるで歴史あるスポーツイベント中継のオープニングのように、過去のシリーズの様々な情景がセピア色で再生されていた。
2011年、コロラド。ロッキー山脈の峰々、山を貫く曲がりくねった峠道、ラストのダリウス・フリントとの地平線を目指した一騎打ち。
2014年、南欧。雨に濡れそぼった石畳の道、ロードトリップの無秩序でだらだらとした隊列、ポルシェ拡張パックの衝撃。

2016年、オーストラリア。樹々が鬱蒼と生い茂る密林、謎の雪山地帯ブリザードマウンテン、ワートホグ、美しい浜辺にある日突如として現れた色鮮やかなホットウィールのコース。
2018年、英国。垢抜けない田舎の風景、移りゆく四季、ボンドカーにトップギア、ゲーム界のトレンドを巧みに取り入れたジ・エリミネーター。

初代がこの世に出た時は、まだ『Forza Motorsport』の風変わりなスピンアウト的なポジションだったはずだ。
それがいつの間にやらレーシングゲームやドライブゲームなんて狭小なジャンルを遥かに飛び越えて、レース、ドライブ、車いじり、ペイント、カーコレクター、カメコなどなど、車に関するありとあらゆるインタラクティブな遊びが内包されたオートオービル総合ゲームとして怪物的な成長を遂げ、今や本家を凌ぐ存在となっている。

そして好調Xbox Series X|Sの勢いを借り、これまでにない期待と注目と共に開幕した『Forza Horizon 5』の舞台となるのは情熱の国メキシコ。
熱い太陽と乾いた大地と無数のサボテン、それにアステカ文明の遺産とミル・マスカラスがホライゾンドライバーを待っている。いや、マスカラスはどうだか分からないが。

スタートボタンを押す前に準備は万全だろうか?
それっぽい食い物やら飲み物やらはカルディとかあの辺売ってるはずだ。近くにカルディがなかったらどっかでドンタコスを買ってこい!
Horizon Radio局のマンネリとご当地感の欠如はFHシリーズの数少ない不満点だが、なぁに今はストリーミングサービスがある。
ロス・ロボスから本格的なマリアッチ楽団まで、ドライブを彩る音楽はSpotifyにいくらでも転がっているはずだ。

それから宝の地図! ストアで買えるボーナスボードなんかの位置を示した宝の地図。
前回まではボードを4分の3くらい割ったあたりで行き詰まる、中途半端なタイミングで購入しては後悔していたが、今回はその愚を犯さない。
さっさと買うぞ。もう最初からマップの位置フルオープンだ。ビシバシ割りまくるぜ!

初代から様々な要素が凄まじい勢いでパワーアップしているこのシリーズ。中でも顕著なのはケレン味だ。
思えば無印『Forza Horizon』のオープニングなんて地味なもんだった。
それから代を重ねて5作目。とうとうプレイヤーは「ワイルド・スピード」の近作ばりに空から登場と相成った。
増したのは派手さばかりではない。
4では割とフリーダムだったホライゾンのメインストーリーへの導線も、本作で大量参入してきそうな新規プレイヤーを意識したのか、3以来久々にアウトポストシステムが復活して整備された。

でもそれは親切なガイドラインみたいなもの。このゲームへのアプローチは百人百様、それぞれの遊び方次第なのは変わらない。
集中して遊びこむのも良し、何年もかけて少しずつゆっくりとプレイするのも良し。どうせこのゲームのボリュームは限りなく無尽蔵だ。そう簡単に遊び尽くせるものじゃない。
とにもかくにも数年の一度の車フェスティバル、ホライゾンメキシコは始まったばかり。このアッパーな祝祭は向こう数年に渡って続くはずだから。
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2021/11/14 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |