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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【A Plague Tale: Innocence】プレイグテイル -イノセンス-

   ↑  2021/08/03 (火)  カテゴリー: XBOX
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ノルウェーに1349という名のブラックメタルバンドがある。
人間の限界を超えたような超絶スラッシードラムに金切り声みたいなギターリフが絡む暗黒サウンドが特徴だが、そのバンド名の由来こそが、中世ヨーロッパでもっとも忌まわしき数字。
大陸全土で猛威をふるい数え切れないほどの死者を出したペスト(黒死病)が、もっともピークを迎えた年だ。
『A Plague Tale: Innocence』の時代背景となるのは、まさにその1349年。
科学と文明の発達した現代でさえ世界を恐慌に陥れるパンデミック。ましてや公衆衛生なんて言葉も怪しい14世紀だ。
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そしてもう一つのキーワードは群獣。
大怪獣の存在なんてそれほど真に迫ったものではないし、いくら大きかろうがしょせんは一つの意思でしかない。
だが身体が小さいといえど数千数万と寄り集まれば、それは当人たちですらも制御不能な途轍もなく邪悪な災害となる。
ヒッチコックの「鳥」、チャールトン・ヘストンが出ていた「黒い絨毯」、そしてアーウィン・アレンの「スウォーム」なんて駄作ですらも、ごくありふれた生物が群れを成して厄災となる映画は、オレにとって生々しい恐怖を与えてくれるものだった。
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1970年代の同趣向映画に「ウイラード」という作品がある。
社会から疎外された根暗な、ある意味シンパシーを抱かせる青年が主人公だが、それに対する感情移入を阻んだのはこいつが飼っていたのがネズミの集団だったからだ。
そして物語はネズミの大集団が荒れ狂う動物パニックへと移行するのであったが、本物のネズミが乱舞する撮影現場は、さぞや地獄のような有様であったろう(日本でも幻の映画「大群獣ネズラ」の舞台裏で同じような話を聞きますね)。
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ペスト、そしてその病原体を持ち運ぶだけではなく、さらに凶暴化して人間を生きたまま食い漁る数千数万の不潔なネズミの群れ。
もうそれだけで絶望の二文字しか浮かんでこないが、おまけにこれに加えて主人公たちを執拗に追い回すのが"宗教裁判"という名の完全武装の軍隊。
もちろん中世の軍隊だからして、道義とか慈悲なんてものはネズミに期待したほうがまだ可能性があるかもしれないレベルだ。
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この希望のカケラもないシチュエーションに立ち向かう主人公キャラは、まだミドルティーンな地方領主の娘。
武器は頼りない革製のスリング(投石器)ひとつ。おまけにすぐ癇癪をおこす幼い弟同伴。
自然その立ち回りは物陰から物陰へ移動するスニーキングスタイルとなるのだが、そうやって腰を落としていると否応なく地面に視線が近くなる。
目に入ってくるのは不潔ったらしい汚い地面。
いや、地面ならまだマシだ。そこを覆うは人に牛馬、とにかく死体死体死体の山。
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疫病で命を落とした者もいれば惨たらしく殺された者、そしてネズミのディナーになった者。
行く先々延々とこんな光景ばっか。もうイヤ! お姉ちゃんこんな生き馬の目をくり抜いてそれでピンポンするような陰惨すぎる環境で、次第に心を通い合わせてゆく実の姉弟なんてドラマを演じられそうもないわ!
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執拗なまでに描きこまれたクルーエルなビジュアルに、土石流のような勢いで蠢くネズミの黒い大群。
そんな救いのないシチュエーション以上に、出てくる人間は味方も含めて非の打ち所がないまでに残忍だ。
ゲームのジャンル区分に当て嵌めればステルスアクションアドベンチャーと呼ぶのが妥当なのだろうけど、そんな牧歌的な響きは明らかに不当にすら思えてくる絶望のシチュエーションに陰惨な情景を二郎のモヤシみたいに盛ったインタラクティブ中世暗黒絵巻。
姉ちゃんこんな不潔なところ早く離れて、どっかでお風呂に入りたい!
そんなささやかな願いすら届かないように早くも続編が予定されているようで、とことん無慈悲な話である。

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2021/08/03 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【art of rally】アート・オブ・ラリー

   ↑  2021/08/16 (月)  カテゴリー: XBOX
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創成期は見下ろし型の画面が占めていたレーシング系のゲームは、技術やビジュアルの表現力が上がるにつれて自然と写実性や没入感が高いコクピットや後方からの視点が主流へと移り変わっていった。
しかし見下ろし型のレースゲームには独特の疾走感やダイナミックな操作性など、トップビューなりの長所がしっかりと存在する。
そのメリットは特に車をずささささーっとワイルドに滑らせるラリーと相性が良く、ラリーゲームのエポックタイトル『セガラリーチャンピオンシップ』が登場した前後ですらも、『ドリフトアウト'94』や『スラッシュラリー』、『World Rally Championship』(同名の現行シリーズとは別)に『グレート1000マイルズラリー』といったトップビュータイプのゲームが、『セガラリー』の向こうを張ってアーケードを賑わせていたりした。
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凄まじいまでに精緻さを極めていくグラフィックや高騰するライセンスなど、いまやレースゲームは体力のある大手メーカー以外はなかなか参入が難しいジャンルと化している。
それはラリーも例外ではなく、『DiRT』と『WRC』の二強に絞られた感があり、かつて準大手クラスのメーカーが次々と意欲作をリリースしていたのも遠い昔の話となってきた。
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そんな中でインディーメーカーがラリーゲームにトライする。その鍵はやはり見下ろし型の画面にあった。
開発元であるFunselektorの前作『Absolute Drift』は、やはりトップビュータイプのゲーム。
色すらも極力排除したミニマルなデザインのステージで、車をつるつると滑らせる作品であったが、この『art of rally』は、さすがにそこまで簡素を極めたビジュアルではない。
とは言え、より写実性を高めてゆく大手メーカーのラリーゲームとは正反対の方向性であることは間違いない。
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コースの背景やオブジェクトなどのデザインは必要最低限。沿道の観衆に至っては細長い箱だったりする。
しかしそれらはシンプルながらもツボを得た造形が為されており、そこに淡いパステル調の彩色を施したトータルデザインは、それだけで思わず見惚れてしまうものがある。
そしてトップビューは、この優れたフィールドデザインを隅から隅まで満喫するのに、もっとも優れた視点スタイルだったりするのだ。
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登場する車は基本的に架空のもの。しかしその外見は見る人が見れば元ネタが一目瞭然だ。
ミニクーパー、フォード・シエラ、ランチア・ストラトス、マツダ・サバンナ。ラリーの名車たちが順次アンロックされてゆくキャリアモードは、グループ4、狂気のグループB、幻のグループS、そして現在のWRCに繋がるグループAと、1960年代後半から始まるラリーの歴史をデフォルメを交えながらも忠実に追う内容。
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キャリアモード以外も充実している。自由走行は各国のステージをコレクタブルアイテムを集めながら自由気ままに走ることのできるモード。
そしてオンラインモードはマルチレースではなく、デイリーとウイークリーに別れた条件制タイムアタックに挑戦するシステムだ。
最近のレースゲームでは必須の存在となったフォトモードもしっかりと搭載。この独特の風景の中で撮影する写真には、他の写実系レースゲームにはない味わいがあるかもしれない。
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ただし見た目に反してその難度はいささかシビアだ。
レバーをダイナミックにガチャガチャ言わせていた往年のトップビュー型アーケードレースゲームよりも、むしろ近年のラリーシムに近い操作性。
とは言え『DiRT Rally』なんかに比べれば多少はカジュアルだろう。
基本のコースレイアウトの単調さなど惜しまれる部分もちらほらはあるけれど、インディーのハンデを逆手にとった発想と、それをきっちりとまとめあげた高い完成度は大きく評価されるべきレベルだ。
「こんな切り口があるんだ!」と素直に驚かされた、見た目はファンシーだけど中身はきっちり本格派なラリーゲーム。
そのラリーに対する愛情と造詣は、『DiRT』や『WRC』にちっとも引けをとっていない。

この記事に含まれるtag : レーシング 

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2021/08/16 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【My Time At Portia】きみのまち ポルティア

   ↑  2021/08/19 (木)  カテゴリー: XBOX ONE
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スーパーファミコンでリリースされた『牧場物語』に端を発した、のんびり田舎暮らしを謳う農業系ゲーム。
内外問わず様々な作品が登場しているけど、あの手のゲームをプレイするたびにオレはいつも同じジレンマに襲われます。
それはスローライフがテーマなはずなのに結局は現実の比ではないワーカホリック生活に常に走ってしまうこと。
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晴耕雨読、人付き合いもほどほどにしたのんびり生活。そんなつもりだったのに、気づけばお日様が顔を覗かせると同時に畑に飛び出し、雨が降りつける中でも鍬を振るい続け、その合間を縫ってご近所付き合いにもマメに精を出し、休日も無しに春夏秋冬働き続け、なんだこのコルホーズの模範労働者みたいな毎日は!
そもそも日々の働きづくめ生活から逃避したいが故にこういうゲームやってんのに、その中でワーカホリックになってりゃホント世話ねえっていうか。
だいたいこの手のゲームって精一杯働かなければ話がまったく進まない構造になってるのが罪作りっすよね。
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それでもこの系統のゲームが出るたびについ手を出してしまうのは、やはりここではない見知らぬ土地でのまっさらな新生活というコンセプトに魅力を感じてしまうから。
そしてオレが今回向かう新しい地は、海に面した小さな町ポルティア。
今度こそ"社交性に溢れた勤勉な新住民"とはかけ離れた毎日を過ごしてやるのだ。
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なにせ『きみのまちポルティア』でのプレイヤーの立場は農場主ではなく工房の主人。
日々成長する農作物や家畜が相手じゃないから、ある程度時間の自由は利きそうだし、それに職人ってのは昔から偏屈と相場が決まっている。
多少人付き合いが悪くても街の人も適当にスルーしてくれるだろう。
そんな意気込みも町に着いて早々、住民たちに愛想よく挨拶して回って頓挫するのでした。
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でもこればっかりはしょうがない。住人全員が顔見知りの狭い田舎町だ。
人間関係で妥協するのは仕方ない。だけど労働だけは程々にしておくぞ!
そんな意気込みも石や材木など原材料もすべて自分で調達。工作機械すらも自分で材料集めて組み立てなきゃならない過剰なDo It Yourself体制であっさりと頓挫するのでした。
もう朝から晩まで働き通し。この町にはコメリとかケーヨーデイツーとか無いのかよ! 調達できるもんはそこで調達して済ませたいのに!
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しかもこの町にはライバルの工房が存在して、そこと業績を競い合わせるシステムになっているから、もう仕事の依頼は片っ端から受けるしかない。
溶鉱炉や織り機、旋盤は三台、四台は当たり前。生産ラインも複数を同時進行でそれを切り盛りするのは自分ひとり。
その原材料も全部自分で集めて、時には希少材料を求めてモンスターのいるダンジョンにも潜らなきゃなんない。
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ああ、もう人を雇いてえ!
この手のゲームの常だが、町の住人はよくよく観察してみればホントに定職があるのかどうかも疑わしいやつばっかだ。
役所の人間は一日中暇そうだし、店を経営している連中だって、客はオレ以外は訪れずあとはボーッとしているだけだ。
お前らを雇いてえ! 君たちに本当の労働というものを教えてやりたい!
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しかし肝心のプレイヤーに成り代わってのんびりライフを決め込むNPC住民たちには、そんな思いもまるで埒があかず、それどころかマメにプレゼントを送ってご機嫌取りしている始末。
そして町の各種行事。現実のそれはそんなもんみんなぶっちしたいとこだが、ゲームの場合はきっちり参加しないと話が転がらないときている。
気づけばまたもや朝から晩まで休みもなく働き、地域行事にも積極的に顔を出し住民とのコミュニケーションを欠かさない超マジメ人間という、本来思い描いていた姿にはまるで当てはまらない型にまたもやハマるのでした。
善良な人々が暮らす平和な町ポルティア。そこでの新生活は案の定、充実はしているんだけどちょっぴり息苦しい毎日なのであった。

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2021/08/19 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【ウルティマオンライン】はじうお。

   ↑  2021/08/22 (日)  カテゴリー: PCゲーム
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プレイヤーの前にタスクを積み重ねて常に刺激を与え続けなければ退屈と判断されてしまうビデオゲームは、のんびりとしたスローライフとは水と油の関係だ。
しかし時にはゲーム本来の中毒性や刺激とは真逆であるそんな要素を、あえて前面に押し出さなきゃならないこともある。
『ウルティマオンライン』は四半世紀を超えるオンラインRPGのエバーグリーンタイトル。
20年以上に及ぶ歴史の中で様々なバージョンのパッケージが発売されてきたが、その中でもひときわ異色なデザインが、2006年に登場した初心者向けパッケージ『はじうお。』だ。
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それ以前や以後の拡張や初心者向けパッケージはウルティマのシンボルをフィーチャーした重厚なデザインが基調なのだが、『はじうお。』はその流れをまったく汲まないのんびり牧歌的な雰囲気をアピールしたパッケージ。
だがそんなイメチェンにも理由はある。
かつてはMMORPGの絶対王者として君臨した『UO』ではあったが、登場から10年近い時が経ち、その間に『リネージュ』や『ラグナロクオンライン』『FF11』に『大航海時代Online』といったライバルが次々と現れ、基本的なビジュアルデザインが古いままの『UO』は徐々に人口が減少し新規プレイヤーも頭打ちになっていた。
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そんな中でライバルとの差異化のために打ち出したのが、『UO』ならではのプレイキャパシティの広さを背景にしたのんびりプレイなのであった。
周りに惑わされず自分のペースで好きなようにゆったり遊べる。そんなポイントをアピールしたこのパッケージには、ブリタニア移住ガイドと題された80ページほどのガイドコミックの他に、これでしか手に入らないレアアイテム12種、その名ものんびり生活グッズ。
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しかしいくら初心者にロハスなのんびりライフを啓蒙したところで、そもそもそんなプレイスタイルは本来あれもこれもやり尽くした廃人の終着の浜辺みたいなものだ。
ぶっちゃけ新規プレイヤーにとっては、MMORPGの序盤なんて忙しくさせてもらってなんぼのところがある。
案の定このパッケージも購入者の大半はレアグッズ目当てのベテランプレイヤーが占めることとなり、新規住民がなかなか増えない『UO』の問題解決にはそれほど寄与しなかったのであった。
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『はじうお。』に関する迷走で触れておかなければならないのは、著名人を起用した同パッケージのキャンペーンだ。
及川奈央、テレンス・リー、中谷彰宏、東原亜希の4氏が登場したこのキャンペーンイベント。
それぞれゲーム内で及川奈央には恋愛講座、テレンス・リーには戦闘術、中谷彰宏には人生講座、東原亜希にはキャラクターのファッションコーディネートを講釈してもらうという素っ頓狂な企画だ。
いや、及川奈央や東原亜希はまだいいとして、テレンス・リーの与太話を今後の『UO』のプレイにどう活かせというのだろうか。
当時はそんな疑念を抱いたが、今あらためて考えてみると、ロールプレイのひとつの在り方を目の前で学べた気がしなくもないけれど。
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そんな地方市町村の若年層移住促進キャンペーンのようなパッケージの発売から、もうすでに15年。
もはや少子高齢化問題すらも達観したかのように、細々とながらもいまだサービスを継続中である。

この記事に含まれるtag : ウルティマオンライン 

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2021/08/22 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Maid of Sker】メイド・オブ・スカー

   ↑  2021/08/24 (火)  カテゴリー: XBOX
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そのスカーハウスという建物はイギリスの南ウェールズに実在する。
古くからある廃墟には怪談話が付き物だが、ここは19世紀にはすでに荒れ果てていたそうだから怪談話にも年季が入っている。
ここで語り継がれているのは、近くにある海岸で難破した船にまつわる因縁話と、実の父親に幽閉されて非業の死を遂げたエリザベス・ウィリアムズという若い女性の幽霊譚。
世紀をまたいで伝承されてきたこれらの物語は、ありきたりの怪談話を超えてフォークロアの域に達しているかもしれない。
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実在の怪談スポットをモデルにしたホラーゲーム。本邦では『犬鳴トンネル』なんかがそうだが、この『Maid of Sker』も同じ切り口の一人称視点アドベンチャーだ。
舞台となるのは屋根裏部屋付き3階建ての本館に尖塔を有した左右のブロックが付随した、伝えられる実際のスカーハウスに準拠した間取り。
ゲームにおいてはホテルとして運用されているこの館に音楽家である主人公を呼び寄せたのはエリザベス・ウィリアムズ。
これまたモデルになったのは、もちろん同名である伝承のうら若き女性である。
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そしてホテルの中に足を踏み入れた主人公の前に展開するのは、広々としたメインホールに玄関に向かって豪華な大階段が鎮座する光景。
ああ、もうこれだけで古株のADVプレイヤーは舞い上がってしまうかもしれない。
認知の歪みが入っているかもしれないが、オレなんかは90年代のアドベンチャーゲームの大半は、こんなレイアウトの館が舞台だったようなイメージがある。
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"館モノ"なんてジャンルがあるのかどうかは分からないが、とにかくそんな古き良きADV黄金時代からの伝統のシチュエーション。
ホールを取り巻く壁には扉がたくさんあるが、もちろんそのほとんどは鍵が掛かっている、これまたお約束だ。
この館の中を隅から隅まで探索し、鍵を見つけたりエレベーターの電源を入れたりして行動できる範囲を徐々に増やしてゆく。
館ADV定番のルーチン。最終的に目指す先はエリザベスが身を潜めている屋根裏部屋だ。
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しかしこの舘の中にいるのは主人公とエリザベスだけじゃない。邪悪な実験によりおぞましい姿に変わり果てたホテル従業員や客たちがあちこちを徘徊している。
顔を布マスクで覆った彼らは眼がまったく見えない。その代わりに音に対しては敏感で足音などには即座に反応してくる。
そして距離が近ければ主人公のわずかな息遣いすらも探知して襲いかかってくるだろう。
それをやり過ごすには右トリガーで口を覆って息を殺さなければならない。口を押さえたまま身動きひとつとらずに、すぐ目の前を通り過ぎていく徘徊者たちをやり過ごすドキドキ感は、身を潜めて相手の視界から逃れる一般のステルスゲームとは、またひと味違ったスリルがある。
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プレイヤーが基本的にできるのは、相手をただこっそりやり過ごすだけ。唯一攻撃的なアクションは、徘徊者たちを混乱させる音波だが、これは使用回数がかなり限定されており、シューティングゲームにおける緊急回避ボム的な役割に留まっている。
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そうして息を殺しながら館を探索するうちに次第に露わになるのは、難破船伝説とエリザベスの悲劇、スカーハウスにまつわる2つのフォークロアをセイレーンの伝説でホイル焼きにした物語。
ショッカー的な刺激は控えめながらも、ホラーADVとしても館モノとしても、いずれのツボもしっかりと押さえた程良いサイズの一作だ。
制作者にここまでのイマジネーションを与えた実際のスカーハウス。現在は新たなオーナーの手によりリノベーションされ、その外壁は派手な黄色に塗られてかつての朽ち果てた廃墟の片鱗はどこにも無いそうである。

この記事に含まれるtag : ホラー アドベンチャーゲーム 

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2021/08/24 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |