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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【Assassin's Creed Origins】偉大なる始祖

   ↑  2020/05/01 (金)  カテゴリー: XBOX ONE
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初代というのはそれだけで偉大なものである。
会社の創業者に芸事の本家本元、幕府の将軍に宗教の開祖、そして歴代タイガーマスク。もうあらゆる分野に言える当たり前の話だが、初代の存在なくしては何ごとも始まらない。
守成の二代目に中興の祖など、跡継ぎたちの中にも劣らぬ功績を残した者たちもいるだろうが、やはりそれらはすべて初代の業績があってのことだ。
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ましてやアサシン教団は2000年以上の歴史を持つ、由緒なんてレベルをはるかに超えている団体だ。
それを興した人間ともなれば、もうイエス並みに神格化されても当然の存在である。
このオレも教団に10年以上に渡って籍を置く身だ(途中なんかテンプル騎士団にいたこともあったような覚えもあるが……)。
その偉大なる初代が「指をさすだけで山を崩した」とか「台風に向かって大喝すると進路が変わった」なんてふかしと共に語られたとしても、それを話半分としても受け入れていたかもしれない。
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アサシンクリードシリーズ本編の通算10作目『アサシンクリード オリジンズ』は、その偉大なる教団の創始者を描いたゲーム。
映画に例えるなら「人間革命」とか「日蓮と蒙古大襲来」みたいなスタンスの作品だ。
……なんか例えが異様に偏っているような気もするが、パッと思いついたのがここらへんだっただけで、深い意図はまったくない。
しかし伝承ならば高潔で完全な人物と語り伝えればいいが、実際に忌憚なく語られちゃう主人公シワのバエク、あんまり崇め奉りたいタイプでもないのが困ったところである。
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ファラオの守護戦士の末裔バエク。頑固で保守的、短気で口より先に手が出るタイプ、教条主義者のくせして好色。正直あんまり親しくなりたいタイプではない。
まあアサクリ歴代の主人公は、どれもこれも友だちにするには難のある連中ばかりで(例外はケンウェイ父くらいのもんか)、それが隠れしアサシンたる所以なんだろうけど、創始者がこれであるならば納得できる話だ。
そんな面倒くさい親父を操作して縦横無尽に走るのは紀元前プトレマイオス朝のエジプト。
一口にプトレマイオス朝と言ってもその時代は何百年にも渡るが、舞台となるはクレオパトラやらカエサルが出てくる一番わかり易い末期。
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アサシンクリードのシリーズメインタイトルは、どれも膨大なマンパワーとリソースを割いて生み出されているが、『オリジンズ』はその中でも"ビッグバジェットの超力作"の称号がもっとも相応しい作品だ。
その膨大なエネルギーによって作り上げられた古代エジプトワールドの広大さ、そして広さをものともしない密度はハンパではない。
アサクリシリーズの本領がスケールの大きな歴史ジャーニーにあるのならば、『オリジンズ』はその集大成といえる完成度かもしれない。
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そのスケールに合わせるために『オリジンズ』は従来シリーズ作の箱庭ステルスアクションから、もっと束縛度の緩いアクションRPG的なスタイルに大きく舵を切った。
しかしその方向転換が100%成功しているとは言い難い。オレはこのゲームをプレイしている間、ずっとなんとも間延びした居心地の悪さを感じていたのだけど、その理由はこの世界が決して広すぎるだけではない。
テンポが悪く緩慢に展開するメインストーリー(教団と騎士団の対立構図で物語を牽引できない様は、なんとももどかしさを感じさせる)、そしてフックに欠けて代わり映えのしないサイドミッション。この広大な地を右に左に渡り歩かせる導線の貧弱さは『オリジンズ』の大きなウィークポイントだろう。
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もちろんこの有り余る情熱と研究と精査と学識によって作り上げられた、古代エジプトの広大な"生きたジオラマ"は、もうそれだけで手放しに絶賛したい。
だけど実際にシワのバエクとしてこの世界を動き回っているときには、「また同じようなミッションかよ!」とか「ワニ多すぎ! 100日経つ前に殺す!」とか、歴史ジャーニーの感動より先にそんな些末的な感想ばかりが先に立っていたのもまた事実だ。
始祖を描いた作品として、そしてシリーズの方向転換の始まりとして、二重の意味でオリジンとなったアサシンクリード古代エジプト編。
思えば意欲はめちゃくちゃ買うんだけどもどかしい部分も多かった感想は、初代『アサシンクリード』のそれと非常に似通ったものがあるんだよな。オリジンズ、確かに偽りのないタイトルだ。


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2020/05/01 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Assassin's Creed Origins】歴史観光ディスカバリーツアー

   ↑  2020/05/03 (日)  カテゴリー: XBOX ONE
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『アサシンクリード オリジンズ』を遊んでいて、プレイフィールの大幅な変化の他にもうひとつ違和感を覚えたのは、歴史うんちくガイドがメインストーリーから一切姿を消していたことだ。
歴史上の人物に出会ったり歴史的な建造物を訪れるたびにビューボタンから展開していた、あのちょっと斜に構えたトリビアの数々。
ガイド役を主に務めていた現代アサシン教団員連中の衒学的でうんざりする語り口に、かっ飛ばして進行させていた人も多いかもしれないが、しかしなんだかんだ言いながらアサシンクリードシリーズの歴史エンタメ的なスタンスを補完する重要なエッセンスだ。
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しかし『オリジンズ』には、それは影も形もない。
ギザのピラミッドを、スフィンクスを訪れたとき、いつもなら当たり前のように付いてきた豆知識の数々が今回はまったく流れてこない。
いや、大ピラミッドやスフィンクスのような著名な存在ならば、こっちでも個人的になんとか補完のしようがある。
だがそこまでメジャーじゃない事柄となるとそうはいかない。メインストーリーの中でオレのバエクが古代都市メンフィスを訪れても、「え、メンフィスってエルビス・プレスリーの出身地じゃないんですか!?」とおろおろするばかりだ。
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だけど慌てる必要はない。今回のアカデミックな歴史ネタコーナーはメインストーリーの外にあった。
ゲーム本体の発売から数ヶ月後に無料アップデートによって新たに付け加えられたディスカバリーツアーモードは、シリーズ旧来のエクストラ的なものに取って代わる新しい歴史ガイドだ。
このディスカバリーツアーの肝は、メインモードとまったく同じ広大なマップを同様に徒歩や乗り物、ファストトラベルを駆使して自在に巡れるところにある。
ストーリー的なものは勿論のこと、余計な戦闘に煩わされることもない。警備兵も盗賊もあの鬱陶しいワニやカバも、すべてこちらをスルーしてくれる。
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攻撃的なアクションを除いては、こちらの行動にも一切制約はない。
市場を踏み荒らそうが神聖な寺院の壁をよじ登ろうがピラミッドの内部を荒らそうがお構いなし。とことん傍若無人な観光客気分で緻密に再現された古代エジプトを自由に旅ができるのだ。
そして各地に点在するのはツアーガイド。ピラミッドや石切場、ローマ軍の砦など歴史観光ポイントで、古代エジプトの文化や日常、歴史や建物の成り立ちなどの解説を聴くことができる。
このガイドも過去作のような厭味ったらしい衒学的なものではなく、非常にオーソドックスなスタイルだ。
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そんなガイドを耳に留めながらの古代エジプトのセカンドジャーニーは、予備知識もろくに無いままストーリーとサブクエストに追われていたメインモードのそれよりも楽しく豊穣なものだったりする。
このディスカバリーモードで選択できるキャラクターは多岐に渡るが、オススメしたいのはレイラやウィリアム・マイルズといった現代編のキャラクター。
彼らが生活感たっぷりに動いている古代エジプト民のモブたちに紛れ込んでいる景色は、時代を超えてきた歴史観光客の気分を一層増幅してくれるのだ。

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2020/05/03 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

音楽【The Stranglers - La Folie】

   ↑  2020/05/06 (水)  カテゴリー: 音楽
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コロナの災禍による各界著名人の訃報も続いているが、英国のロックバンド、ザ・ストラングラーズのキーボード奏者デイブ・グリーンフィールドの死去の報せは大きな驚きだった。
まあストラングラーズ自体が既に半世紀近いキャリアを持つバンド。結成時のメンバーの年齢も、当時のパンクバンドの中では比較的高かったこともあって、いつ何があってもおかしくない年ではあるのだけど(ドラマーのジェット・ブラックに至っては、もう80過ぎだ)、亡くなる原因がコロナウイルスによるものだったとなると、どこかいたたまれない気分になってくる。

オレが初めて手に入れたストラングラーズのアルバムは、そのデイブ・グリーンフィールドのキーボードがもっとも前面にフィーチャーされた通算6作目の"狂人館"(原題は"La Folie"だが、個人的にはこの邦題の方がしっくり来る)だ。
初期の荒々しく剣呑なビートを基調としたパンクサウンドから、4作目の"レイヴン"5作目の"メニンブラック"と、バンドがその音楽性を大きく変えてゆく中で、彼の荘厳で叙情的なキーボードプレイはどんどん存在感を増していった。
そしてそれがバンドが本来持っていた類稀なるポップセンスを引き出した結晶が、ストラングラーズ中期の傑作となるこのアルバムである。

もっとも当時のオレは音楽誌などを通じたストラングラーズの殺伐としたエピソードの数々ばかりが先に頭の中を占めていた。
その先入観と針を落として流れてきた1曲目の軽快なキーボードの音色に、最初は思わず「あれっ?」とギャップを感じてしまったが、しかし捨て曲なしのアルバムクオリティ、そして中核をなすデイブの典雅なキーボードに身を委ねているうちに、そんな違和感はあっという間にどうでもよくなってしまった。

いまでもストラングラーズの代表曲のひとつに挙げられる"Golden Brown"は、このアルバムの白眉だが、以降のストラングラーズの音楽性のプロトタイプともなっているA面のハイライト曲"Tramp"も、バンドの隠れ名曲として大きく推したい。
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デイブ・グリーンフィールドとストラングラーズのベーシスト、ジャン・ジャック・バーネルの2人による名義作となっている"Fire & Water"も、とても思い出深いアルバムだ。
"狂人館"の翌年にレコーディングされたこの作品、元は映画のサウンドトラックとして制作されたらしい。
それもあってかほぼインスト曲で占められたこのアルバム、プログレッシブ・ロックに近い質感となっており、それはもちろんデイブ・グリーンフィールドの一筋縄ではいかない音楽的バックボーンの表れなのであろう。

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2020/05/06 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Wolfenstein II: The New Colossus】ブラスコの永遠の戦い

   ↑  2020/05/08 (金)  カテゴリー: XBOX ONE
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彼の名前はウィリアム・ジョセフ・ブラスコヴィッチ。その名で世に出てからもう30年近い月日が経っている。
30年もあれば呼び名もたくさんできる。B.J.、ブラスコ、テラー・ビリー。まあ好きなように呼ぶといい。
職業はナチスハンター。まあ軍人であるとかレジスタンスであるとかテロリストとか(これはナチ連中の言い分だな)正規の身分は色々とあるんだが、この言い方が一番しっくりくる。
とにかくナチを殺して殺して殺しまくって30年。この道ひとすじのベテランだ。
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その長い長いナチ殺しのキャリアも5年前に一度終わるはずだった。
宿敵であるナチス親衛隊上級大将デスヘッドを追い詰めついに刺し違えた。長きに渡るナチスとの死闘もこれで終わるはずだった。やっと休める……。
前作のエンディングでそんな瀕死状態になっていたブラスコヴィッチを、おせっかいな仲間たちが助け出すところから『ウルフェンシュタインII ザ・ニューコロッサス』は始まる。
そのままファーストパーソンで拝まされる応急処置。「腸がはみ出してる!」。いや、余計なこと教えてくれなくていいから……。
そして手術台。いいよ、助けなくて! オレもう充分戦ったから! もう休ませてくれ!
そんな願いを聞き届けていたら続編は始まらない。この世にナチスが栄えている限り、ブラスコヴィッチに安息の日はやって来ない。
またナチを殺して殺して殺しまくる日々の始まりだ!
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ウルフェンシュタインとDOOM、共にFPSの祖にして現代まで続くフランチャイズ。
その長い歴史の中でDOOMシリーズはスラッシュメタルのごとき独特のスピード感とリズムを、時代に合わせてモダナイズさせながらDOOMらしさとして継承させていった。
しかしウルフェンシュタインにそれに代わるような家譜があったかというと、ちょっと困ってしまう。
ナンバリングタイトルが存在せず作品それぞれが連続性なく独立しているからプレイフィールはバラバラだし、そもそも大本の『Castle Wolfenstein』ってFPSどころかメタルギアの原始壁画版みたいなゲームだ。
そんな中にあって「ウルフェンシュタインならではの伝統、あるじゃないですか」とにこやかに微笑むのはナチスの皆さんなのであった。
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いまやゲームに出すのも憚られる存在になってる鉤十字を二郎系のもやしを凌ぐ勢いでてんこ盛り。
多様化の時代にあってオポジションサイドにも彼らなりの正当性や大義が描かれるようになり、ゲームの世界でも報いを受けさせる絶対的な悪を据えることも珍しくなったが、ウルフェンシュタインはそんなのお構いなし。
だってナチスだもん。憎んで憎んで憎みぬいて徹底的に討ち滅ぼすべき相手だもん。完全無欠な悪役としてのナチ、みんな大好きだろ!?
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今回ブラスコにとって最大の敵として立ちふさがる親衛隊大将エンゲルさんも同様だ。
近年のゲームでもここまで極悪非道の人間として描かれる悪役も珍しい。この人、前作ではデスヘッドの部下だったはずだが、その以前の上司すら前座的な存在感に押しやるほどの針の振り切りっぷり。
オレがエンゲルさんの吹き替え声優だったら、きっと自己嫌悪に陥って3日ほど立ち直れなくなってるだろう。
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ナチとロズウェル、ナチとKKK、ナチと円盤、ナチとハリウッド、ナチと宇宙と、これまたみんなが大好きなカップリングを絡めまくって、前作と比べても3倍増しくらいの弾けっぷりは、ついに"あの人"の登場にまで及ぶ。
もちろん相手は人間扱いしなくて構わないナチだ。ブルータルな表現もこれまたてんこ盛り。いや、これはこっちが残虐なわけじゃない。ナチの残虐っぷりにバランス合わせてやってるだけだからな?
そして古き良きウルフェンシュタインの伝統も忘れていない。トリガーを引く指もつい躊躇する軍用犬、羊の丸焼きにフルーツ盛りと贅沢極めているナチ連中、そして拠点となる鹵獲Uボートではこれまた恒例『Wolfenstein 3D』もプレイできる。
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今どきのシューターでは必須なマルチプレイ要素を切り捨ててソロプレイオンリーの道を毅然と選んだその方向性は、胸焼けするほどこってり濃いロケーションとシチュエーション、そしてストーリーにしっかり結実している。
車椅子状態でも、そして死に近づきつつある身体でも、ナチスとの戦いを延々と強いられるブラスコヴィッチ。
キリングマシーンとしての人生もついに終わりと永遠の安らぎが訪れるかと思われた展開も、こっちの想像を遥かに超える手段でリセット。
ブラスコヴィッチはナチと対になる生き物。この世にナチスが栄える限りブラスコヴィッチも在り続ける。そしてこのIPが続く限り、この世にナチスが滅ぶときはおそらく訪れないのだろう。
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ブラスコヴィッチの永遠の二大テーマ、ナチスの支配と実の父親の抑圧からの解放を代弁するエンディングロール曲は、80年代グラムメタルバンド、ツイステッド・シスターの大ヒット曲"We're Not Gonna Take It" のカヴァー。
お前らの価値観を受け入れる気はさらさらねえぜ!という親や大人への無邪気な反抗歌は、時を遡ってナチスが支配するもう一つのアメリカでレジスタンスのアンセムとなったのだった。

*関連記事
【ウルフェンシュタイン3D】対ナチ闘争の始まり
【Return to Castle Wolfenstein: Tides of War】古城への帰還
【Wolfenstein: The New Order】永遠の対ナチ闘争

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【Wolfenstein: Youngblood】ブラスコの不肖の娘たち

   ↑  2020/05/12 (火)  カテゴリー: XBOX ONE
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「ナチスに占領されたアメリカ。その圧倒的な支配はまたたく間に全土に及び、いまやそれに反抗する人々もごく僅か。そんな八方塞がりの中、レジスタンスのカリスマ、テラー・ビリーことウィリアム・ジョセフ・ブラスコヴィッチは、ついに宿敵であるフラウ・エンゲル親衛隊上級大将を仕留めることに成功した。しかしこれはアメリカ解放のほんの狼煙。レジスタンスの長く苦しい戦いは、いままさに始まったばかりなのだ!」
前作『Wolfenstein II: The New Colossus』で綴られた歴史だ。
そしてその約20年後、1980年を舞台としたウルフェンシュタインシリーズ最新作『ウルフェンシュタイン: ヤングブラッド』の冒頭で語られる時代背景は、
「あれからブラスコヴィッチとレジスタンスの活躍によりヒトラーは打倒されアメリカは解放されました」
あいだめちゃくちゃハショリすぎ!!
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とりあえずヒトラーは死んだらしい(クローンがいましたとか、ナチのオカルト混じり最新テクノロジーで蘇りましたとか、そんな展開が今後出てくることは充分予想されるが)。
アメリカは再び自由を取り戻し、20年前のレジスタンスの面々も、いまは政府の要職に就いている者もいる。
『The New Colossus』では赤ん坊だったグレースの娘、そしてまだお腹の中だったブラスコとアーニャの二人の子どもも、すっかり生意気盛りになっている。
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だが勢力は衰退したとはいえナチスの脅威は未だに健在だ。特にヨーロッパ圏の多くはまだその支配下にある。
そのナチス圧政下のパリで、もはや初老の域に達している我らがブラスコヴィッチが消息を絶った。
捜索に向かうのはブラスコの双子の娘、ソフとジェス。
2人はグレースの娘であるアビーのサポートを受けながら、パリ・レジスタンスの地下アジトをを拠点に、あまり深刻そうじゃない父親探しを建前としたナチス相手の大暴れを始めるのであった。ゲーム感覚のライトなノリで!
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とにかくこのブラスコの不肖の娘たち、軽すぎる。
ナチスとの永遠の戦いを宿命づけられ、ナチスと対になるおのれの立場にプレッシャーを受け、ついにはオレがいるからナチがこの世に蔓延るんじゃないかと悩むにまで至った、親父が背負い続けていた重いものを全部さらっとスルー。
まあ家業の二代目なんてどこもそんなもんかもしれないが、堪らないのは間を思い切り端折られた挙げ句に唐突な代替わりを投げてよこされ、これを認知しろと迫られるプレイヤーの方だ。
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軽佻浮薄な二代目が許されるのも、それは仕事(中身)がきちんとしている場合。
ところがブラスコの二人の娘ときたら、「パパはソロプレイオンリーの仕様に頑なにこだわっていたけど、やっぱりそんなの時代遅れだよねー」と、伝統をあっさりひっくり返して試みた様々な新要素がことごとく空回り。
ひとりナチスに立ち向かった親父の孤独なんか知る由もなく導入したCo-opプレイ主軸のシステムを皮切りに、キャラクターのレベル制、探索に比重が置かれたノンリニアのマップなど、そのすべてが未整理で中途半端なものに終わってしまっている。
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機能していないステルスシステム、Co-opにバランスを合わせたために四方八方から無秩序に止めどなく敵が現れて常にぐだぐだの乱戦を強いられる戦闘、どこに行っても代わり映えのしないロケーションと、それを何度も何度も行き来させられる地獄。
それとベセスダのウルフェンシュタインでは常にこってり目の味付けが施されていたナチスも、今回はエラい淡白だ。
『The New Order』のデスヘッド、『The New Colossus』のエンゲル女史と、歴代のボスはこいつを殺さなければ夜も眠れないくらいメーターの振り切れた悪役っぷりだったが、今作のそれはその役目を継承するには大幅に力不足。
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"ナチスの影響下にある80年代"ってのは、このゲームの数少ないチャームポイントではあるんだけど、それも結局はコレクトアイテムのカセットテープやビデオジャケットのみに留まっていて、本ストーリーにはそのイメージはほとんど関わってこない。
前作の流れから、子どもを持ったら子煩悩っぷりがハンパじゃなさそうなとこを匂わせまくっていたブラスコヴィッチだけど、それを通り越して親バカっぷりも大概にしろと文句のひとつもつけたくなるような娘たちの体たらくであった。

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2020/05/12 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |