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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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映画【ブッシュマン キョンシーアフリカへ行く】

   ↑  2017/07/03 (月)  カテゴリー: 映画・DVD
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映画「霊幻道士」の予想外のヒットと、キョンシーというキャラクターの急速な認知。その後に出てくるのは、そう、際限ない雨後の筍、柳の下のどじょうだ。
なにせ両手を前に突き出しぴょんぴょん跳ねてるやつを出すだけでキョンシー映画として成立してしまうのだから、これほど楽な話はない。
香港は元より、台湾、日本、フィリピンと、アジアのありとあらゆる国から登場した無数のパチキョンシー映画たち。
その中身もキョンシーがロボコップ(のパチモノ)と絡んだり、ニンジャと絡んだり、セクシー女優と絡んだりと、ゲテモノ同士の近親交配のオンパレード。
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アフリカはコイサン語族のニカウさんは、キョンシーと同じく80年代の映画界に瞬間的なブームを巻き起こしたキャラクター。
そんな美味しい人物をアジアの映画屋魂が放っておくはずもなく、さっそくキョンシーと掛け合わせてはい一本と相成るのであった。
そんなキワモノに出て道士ツラするのはどんなマヌケかと思いきや、これがなんと本家「霊幻道士」シリーズの最重要人物ラム・チェンイン。
なんのことはない。キョンシー狂騒の煽りを受けて、本家の「霊幻道士」シリーズも、回を重ねるごとに着実にゲテモノ化を極めていったであった。

ロンドンのオークション会場でご先祖様のミイラを競り落とした香港のドラ息子とお付きの道士様。
しかし、帰りの飛行機がアフリカ上空で故障。パラシュートは2つしかないからと、まずはキョンシーとなったご先祖様のミイラをダイレクトに投下。
その下に居たのは我らがニカウさん。
なにせ空から落ちてきたモノは、たとえコーラの空き瓶であろうと神様認定しちゃうお方だ。落ちてきた死体を新しい神様だと村に連れ帰っちゃっても、なんの不思議もない。
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一方、遅れて着地した道士様たちは、素敵な野生動物様たちのご歓待を受け、ライオンに追いかけられたり、サイと方術で闘ったりなど、ベタなアフリカネタをさんざん展開した後、やっとブッシュマンと接触。
「これはうちのご先祖様だから」「オラたちの神様をどこに連れてこうってんだ」などと、大岡越前でも裁ききれないようなキョンシーの取り合いを演ずる。
そこにやってきたのが、悪い白人とその手下の悪い部族のご一行。

キョンシーと道士様はブッシュマンに加勢して戦い(ブッシュマン、ステロタイプな悪い白人、ズールー族、キョンシー、カンフー、方術が交錯する乱戦は、限りなくカオスだ)、悪い呪術師の呼び出したアフリカンゾンビとキョンシーの東西死体合戦まで勃発(巨漢のアフリカンゾンビにびびるキョンシーが、今まで自分を慕ってくれたブッシュマンの子供たちが失望する様子をみて、勇気を出してアフリカンゾンビにぴょんぴょん突進するシーンは、ほんのちょっぴりほろっとさせられる)。
そして道士様は最後の手段として、ブルース・リーの霊を呼び出しニカウさんに憑依させる荒業に打って出るのだった。
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この後の観客に残されているのは、怪鳥音を轟かせたり、鼻を擦りあげたり、相手を踏みつけて悲しみの表情で絶叫したりなど、やりたい放題のニカウさんブルース・リー完コピ物真似芸を、呆けて目でただ見つめることだけである。
キョンシーがアフリカの大地をぴょんぴょん跳ね回っている光景だけでも、もうお腹が一杯なのに、さらにダメ押しのようなブルース・ニカウ・リーの登場。
こんな強力キャラを前に、基本的なペースをまったく揺るがさないラム・チェンイン道士様もさすがなら、ちっともキャラ負けしていないキョンシーもさすがである。
たとえ瞬間的であろうと、起こしたブームはダテではないのだ。

 

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2017/07/03 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【新宿の狼】三上の犯罪者飼育箱

   ↑  2017/07/05 (水)  カテゴリー: PS2
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コミュ障の青年が目をつけた女性を拉致して監禁し、歪んで一途な愛情を通わせようとする、ウィリアム・ワイラーの1965年作映画「コレクター」。
主人公のテレンス・スタンプが捕らえた蝶を閉じ込めたのは、人里離れた一軒家の地下室であったが、法と権力に守られた男、三上英二の場合は、新宿のド真ん中の官製施設、新宿署の留置場である。
内気な青年と違ってコソコソする必要などまったくない。げに素晴らしきは国家権力だ。ビバ共謀罪!(始末書を超過させて、その国家権力を敵に回した場合の恐ろしさも十分承知してはいるが)。
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この三上専用標本箱、もとい、留置場は、最初の段階では非常に殺風景な施設で収容人数も最大4人までしかない。
それ以上の容疑者を収容するためには、数十万円をかけて拡張工事をしなければならないのだ。
官製施設の改良費を、なんで一公務員が負担しなければならないのか、いささか理解に苦しむが、まぁ考えてみれば痛むのは三上の懐ではない。街中でとっ捕まえた容疑者どもの懐だ。
第二段階に拡張すると、床は絨毯引きになりトイレにも目隠しができ、そして部屋の奥にはなんとテレビまで設置される。
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なんか容疑者どもを思い切り甘やかしているような気がしないでもないが、実はこのテレビは狩野英孝の画像しか映らない仕様なので、これを24時間見せられる容疑者にとっては一種の拷問だろう(ヒドいタイアップもあったものである)。
そしてめでたく第三段階にアップグレードさせると、天井にはシャンデリアが灯り、壁も明るい白色に塗られて、もう鉄格子がなければ果たしてここが留置場なのか、新手のキャバクラなのか、判別つかないような有様となるのだ。
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いくら檻に繋ぎ止めたといっても、容疑者たちが洗いざらい罪を自白してくれるわけではない。
それとなく話しかけてやったり、時にはバラの花束や食いかけの弁当を差し入れをしてやったり。差し入れ可能の物品の中には、コケシだの(あくまでも民芸品を主張しているが)、脳内覚醒スーパーキットだのと、何やら意味深なモノも混じってはいるが、しかしここは魔都新宿。刑事と言えど清濁を使い分けなければならないこともあるのだろう。
「この押収したシャ●分けてやるから、やったことからやってないことまで洗いざらい喋っちまいなよ」
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そしていよいよ信頼ゲージが一定値に達すれば、供述書作成タイムだ。
とは言っても、いちいちご丁寧に本人に喋らせる必要はない。今まで得たデータを元に空欄をこちらで任意に埋めた供述書に、間違いありませんと本人の確認をとるだけ。日本警察伝統のやり方だ。
「刑事さん、色々とありがとう。刑事さんになら正直に喋れるよ」
「よし、山本夏美、お前はさびしがりな女だが、脇が臭いという重大な犯罪を犯した。間違いないな?」
「…………まず名前からして違ってるし! 刑事さんの親切って上辺だけだったんだね! もういいよ!」
「い、いや、スマン! あの、ぶっちゃけ6択ってさすがにキツいし!」
勾留期限内にまた一から信頼関係を築くやり直しにうろたえながら、オレの三上英二は心の中で(これってぶっちゃけギャルゲーみたいなもんじゃねえか!)と毒づくのであった。

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2017/07/05 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Aqua】時代錯誤の海洋冒険ロマン

   ↑  2017/07/12 (水)  カテゴリー: XBOX 360
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自信過剰が鼻持ちならないイケメンの好漢と、ほどよく跳ねっ返りな性格でありながらも、男を立てる自分のポジションだけはしっかりわきまえているヒロイン。
半世紀以上前のパルプ小説を思わせる前時代的なキャラクターも、ベタベタなスチームパンクの舞台設定と掛け合わせると、それなりに収まりが良くなってしまう。
今の時代であれば総スカンを食ってしまって、しかもその理由が自分では理解できないであろう主人公だが、なにせここは大海原だ。
「タイタニック」のあんぽんたんを例に引くまでもなく、波を切る船の舳先というのは、男の心をやたらと大きくするものだからしょうがない。
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冷たい北海で激突する海洋大国同士の覇権争いに単身立ち向かうのは、ナリは小さいが高性能の巡洋艦。
主武装は右スティックで360度展開する機関砲に、右トリガーの魚雷&左トリガーでばらまく機雷。
ベースとなるのは全方向任意スクロールのツインスティックシューターだが、そこに白い波頭と艦船の軌跡が加わると、ちょっとばかり趣が変わってくる。
自機のスピードも宇宙ものや戦闘機ものの360度STGとそれほど違いはないのだが、モノが船となるとその移動リズムにどことなく優雅さが感じられてくるから不思議だ。
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もっとも冷たい海の波切る船は優雅だが、それを沈めんとまるでガミラス艦隊のごとく大挙して襲ってくる敵との戦いは熾烈だ。
キーポイントは威力抜群の魚雷と機雷の運用。
だが自機の進行方向まっすぐにしか放てず弾速の遅い魚雷は、右スティック機関砲との感覚的な違いから、使い所にかなりの慣れが必要となってくるし、機雷も効果的に使うには、敵の群れの間をかい潜って引き寄せる操舵テクニックが要求されるだろう。
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STGではよくあるオプション機も、この『Aqua』では立派な艦隊扱いだ。
主人公艦よりも一回り以上小さい、海防艦に毛が生えた程度の船だが、アップグレードすればかなり頼もしくなるし、なにより戦況に応じてこちらから指示が出せるのがありがたい。
STGマニアからはそれほど芳しい評価を受けなかった作品だが、北の海という舞台設定やスチームパンク準拠の古めかしい艦船デザインなどは悪くないし、なにより時代錯誤的な海洋冒険ロマンのシチュエーションは、かなり惹きつけられるものがあるね。

<Xbox One互換対応タイトル>

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2017/07/12 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【ポータブル・アイランド 手のひらのリゾート】自由で不自由な南の島

   ↑  2017/07/14 (金)  カテゴリー: PSP
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さざなみしか立たない静かで美しい海に建つ水上バンガロー。
こうも猛暑日が続く東京に閉じ込められていると、あまりにも魅惑的なロケーションだが、透き通った海の上で寝起きするステキな妄想を現実に引き戻してくれるのは、その後に続く「一泊40万円から」のナレーションだ。
割り引きもクーポンも効かなければ、そもそもじゃらんに載ってない。自分のキャパシティをあまりにも超越した事実に、枕の下から聞こえる穏やかな波の音も、流れ込んでくる潮風に包まれた快適な寝起きの感覚も、たちまちのうちに雲散霧消するが、そんなときにうちわを片手に敗者復活戦とばかりに引っ張り出すのは、バーチャルリゾートライフを謳ったこのソフトだ。
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オープニングムービー中に瞬く間にたどり着くのは、サンゴ礁に囲まれた美しい南の島。たちどころにチェックインするのは夢の水上バンガローだ。一晩寝てはベッドの上で半起きになって「これで40万……」とブルーになる必要もない。
永久泊分の宿代はすでにゲームショップに一括して払い込んである。これがスマホアプリならば、現実よろしくちまちまと一泊分ずつカネを取るとこだろうが、ありがたきは買い取りパッケージゲームのおおらかさよ。
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初期のPSPは、まだスマートフォンが一般にはほとんど普及していなかった事情も相まって、後にスマホアプリに集約される様々なノンゲーム的アプローチが試みられてきた。
占いに外国語会話サポートにプラネタリウム。PSPで登場したノンゲームは、いずれもプレイステーションカルチャーの色を強く感じさせるのが特徴であったが、バンダイナムコから発売された『ポータブル・アイランド 手のひらのリゾート』も、その例に漏れない。
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明確なミッションやスコア、ストーリーなど一切ない。
ビーチと密林、内陸の火山で構成された島を気の向くまま巡り、釣りをしたり動物と戯れたりただまったりする代理人キャラを、PSPの液晶越しに眺めてムリヤリ癒された気分になるソフトだ。
島を徘徊することに飽きたら、PSPを立てかけて時計モードでインテリアにしたり、ラジオモードでメモリースティック経由の音楽を鳴らしたり、疑似ウクレレモードで弦代わりのアナログスティックを爪弾いたりと、ゲームと言うよりは南国リゾートをテーマにしたアプリケーション集と捉えたほうが確かだろう。
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ただ肝心のゲームインタフェースが、この"南国の島の気ままなリゾートライフ"というコンセプトの足を、自ら引っ張ってしまっている。
自由気ままに散策するのがウリな筈の島内マップは、シームレスに続くオープンワールドではなく、マップ切り替え式のエリアごとで区切られた構成。
そしてプレイヤーキャラの操作システムが、あの心底いらいらするバイオハザード風のリモコン操作。
水辺線の彼方や山の稜線、或いは足下の植物なんかに、気ままに目をやりながら、ふらふらと思うがままにこの美しい島を散策する。
そんなつもりが現実は、あの不自由きわまりないリモコン操作システムで、プレイヤーの意志に反してふらふらしながら、マップの端まで行ったら次のエリアのローディング。
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それぞれのボタンにダイレクトに動作が設定されておらず、プレイヤーがアクションを起こす場合は、ボタンを押してコマンド一覧から任意のアクションを選択するシステムも、自由気ままなリゾートライフを謳うソフトにしては、ちょっと気が利いていない。
結局いっけん自由に見えて実はちっとものびのびとしていない、メインディッシュの疑似リゾートモードからは自然と疎遠になって、扇風機の脇で時計と共に、ビーチの情景をただ映し出すばかり。
コンセプトとUIの齟齬が何かと祟ってしまった、ちょっとばかり不憫なソフトなのであった。

 

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2017/07/14 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Wheels of Aurelia】1978年のドライブ会話劇

   ↑  2017/07/18 (火)  カテゴリー: XBOX ONE
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ハンドルを握っていれば、どんな寡黙な人間の口も滑らかになる。
狭いクルマの中。密接はしているけれど、互いに同じ方角に顔を向けている奇妙な空間では、あまり親しくない関係でも自然と会話が生まれてくる。
フロントガラス越しに遷ろう景色、エンジンの響きのBGM。その単調なリズムから発生する会話は、酒場の喧騒の中でのそれとは対照的な落ち着いたトーンだ。
そんな独特なテンポの会話に長いドライブの弛緩が加わると、他の場所でのやり取りでは浮かばないような、人の為りや本質がポロッと漏れ出てくることもある。
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1978年のイタリア。ウーマンリブは萌芽していたが、まだそこかしこで女性が抑圧されていた時代。
女が一人ハンドルを握っての長旅に風当たりが強かった頃、リーラは愛車を転がしてイタリアの西岸の道をひたすら走りフランスとの国境を目指す。
途中で出会うのは個性豊かなヒッチハイカーたち。前時代的で厳格な神父、UFO狂のイッちゃってる奴、男性本位主義者のマッチョ野郎。
彼らと車内でかわす会話は、何気ないお天気の話からパーソナルな話題まで。
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鳥瞰視点から『グレート1000マイルズラリー』や『オーバートップ』のような見下ろし型レースゲームをイメージする人も多いかもしれないが、この『Wheels of Aurelia』はアーケードライクなドライビングテクニックなど一切要求されない。
クルマの運転はセミオート。必要となる操作は車線キープの微調整と道の分岐での進路選択くらいのもの。
代わりにプレイヤーが目を凝らすのは、ドライブ会話のリズムで流れるダイアローグテキストと、受け答えの選択だ。
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その会話のリズムセクションとなるのは、控えめなエンジン音と70年代風ディスコミュージックやニュースを奏でるカーラジオ。
極左極右の伸長、赤い旅団によるモロ前首相の誘拐、モンツァサーキットでの悲劇的な事故。時代背景を浮き彫りにする時事ネタに、簡素なビジュアルを補完する豊穣な地理ネタ。
そんなやり取りの末に、銀行強盗を乗っけちゃったり、草レースをおっ始めるハメになったりと、アクシデントに巻き込まれもするが、結局はまたドライブ会話の緩い緩いリズムに収束されてゆく。
一回のドライブは15分程度。そしてリーラと同乗客たちの数奇なその後が語られるマルチエンディング。
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そのマルチストーリーのメインとなるのは、プロローグ直後に乗せた若い妊婦オルガとの、運転席と助手席の関係性から生まれる女同士の友情。
世が世なら「テルマ&ルイーズ」になっていたかもしれない二人だが、今はまだ1978年。あの映画が出てくる土壌が育まれるまでには、まだまだ長い月日を待たなくちゃならない。
太陽の光も豊かなイタリア海岸ルートを舞台に紡がれる、女性解放前夜を舞台にしたちょっぴり奇妙なダイアローグ生成ゲームだ。

<国内ストア未発売>

この記事に含まれるtag : アドベンチャーゲーム 

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2017/07/18 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |