- 【朱津川國彦の奇譚ルポ 還らずの病棟】 [2011/10/01]
- 【ウルティマオンライン】Trick or Treat 2011 [2011/10/04]
- Vシネマ【空想科学任侠伝 極道忍者ドス竜】 [2011/10/05]
- 【Mass Effect 2】内なる二人のドクター・モーディン [2011/10/06]
- 【クレイジータクシー】至高の疑似 [2011/10/07]
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JB・ハロルドや藤堂龍之介といったリバーヒルソフトのクラシックミステリアドベンチャーを引き継ぎ、同シリーズの新作やリメイクを、主にモバイルゲーム界隈に供給しているアルティ。
同社はそうしたクラシックスタンダード以外にも、『未解決犯罪捜査班アコライツ』や『プリンス探偵倶楽部』など、様々なオリジナルのミステリADVシリーズを送り出しています。
これらはいずれも短編小説規模の短いミステリADVの連作で、ケータイゲームやスマートフォンの性質を有効に利用している例と言えるでしょう。

そのアルティオリジナルのミステリシリーズでも看板的な存在が、ケータイのみならずスマートフォンでも全面展開している『朱津川國彦の奇譚ルポ』シリーズです。
現在までに本編が3つ、スピンアウトのアクションゲームが1つリリースされているこのシリーズ。
主人公の朱津川國彦(あかつがわくにひこ)は、アラフォーのフリーライター。オカルト系の実話雑誌(不思議ナックルズとかをイメージして貰えば、話は早いでしょう)の仕事を受けて糊口を凌いでいます。

そんな潰しの利かなさそうな探偵役が、助手役の女子大生と共に、都市伝説ネタの取材で赴いた先で、その都市伝説絡みの事件に巻き込まれるというのが、このシリーズの王道パターン。
シリーズ第1作目にあたるこの『還らずの病棟』は、訪れたら最期、二度と戻れないと噂される精神病院の廃墟が舞台。
非常にありがちな廃墟ものの都市伝説と、基本的にそんな都市伝説なんかちっとも信じちゃいない主人公。そしてその都市伝説をまるでトレースしたように起こる事件。
それらの絡ませ方が巧みな、ムード重視のミステリは、どことなく横溝正史の現代版的な印象(真相の腰砕け的な部分も含めて)があります。

ゲーム自体はハロルドや藤堂の伝統を引いた、コマンド総当たり&場所総当たりの前時代なものなんですけど、元々が電車の中などで読む手軽なビジュアルノベルを指向しているためか、そんなシステム的な古臭さは、それほど苦になりません(家の中などで本腰入れて向き合おうとすれば、話は別でしょうけど)。
話のそこが早々と割れてしまうので、純粋なミステリとしては評価が分かれるでしょうが、廃墟の中を無為にうろうろする感覚とか(二度訪れないとフラグが立たないところなどもあって、本当に無駄にうろつかせられる)、現地で出会うお気楽大学サークルの、実にしょうもなく惰性にまみれた人間関係なんかは妙な生々しさがあって、全体の雰囲気美人さも含めて妙に気に入ったゲームです。

本作の設定やキャラクターを使った『ミツケタゾ…』という外伝的アクションゲームも発売されており、今のところこれが朱津川國彦シリーズの最新作なのですが、こちらは操作性にかなり難があって期待はずれでした。
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2011/10/01 | Comment (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
"仮面のように静寂を身に纏い 幽霊のようにこう囁くの トリック・オア・トリート トリック・オア・トリート ビター・オア・スイート" <Siouxsie And The Banshees - Halloween>
格差是正を訴えウォール街に集結した数千人の若者たち。そしてその様子をバルコニーの上からシャンパン片手に冷笑するウォール街の金持ちギャングたち。
この世界で最も栄えている国の、その一番の都市で巻き起こる、行き過ぎた市場経済主義の現実。
程度の差こそあれ、どこへ行っても理不尽な格差から逃れられない現実世界をよそに、ここブリタニアは相も変わらずけんつくかつ呑気だ。

そりゃあこのブリタニアにだって格差はある。
家が10軒買えるくらいの超高級装備一式を身に纏ったセレブと、そのセレブが狩り場で目もくれず捨てたゴミを漁って身につけている貧乏人。この両者が同じボスの下に突っ込めば、その結果は目に見えているだろう。
しかし、そんなセレブと貧乏人も、ハロウィンイベントの前では平等だ。
ルナの城内一等地に豪邸を構える金持ちも、トリンシック北の沼地にせこい家を建ててワニやトカゲ男と同居する貧乏人も、「Trick or Treat」の一言で、みんな分け隔て無くお菓子を貰えるのだ。

そしてこの「Trick or Treat」の声は、かけられるNPCにとっても平等だ。
トリンシックの整然とした町並みの中を彷徨くNPC貴族も、ミノックの町中を裸足でうろうろするNPC乞食も、この一言の前には、みんな揃ってにこやかに持っているお菓子を出す筈………なのだが。
今までにお菓子の提供を断りやがったNPCの職業別統計。
乞食(0)、花嫁・花婿(3)、炭鉱夫(4)、商人(6)、兵士・傭兵(11)、貴族(34)。
……金持ちの方が断然しみったれてやしないか!? 金持ちがおよそくそったれのゲス野郎だって事実は、現実世界もブリタニアも変わりゃしなってことか!?

今年のハロウィンイベントは、恒例のTrick or Treatの他にも、カボチャ畑でのイベントがある。
このシーズン、ブリタニアの各所にある畑に、カボチャが大量に湧くのはいつものことだが、今年はその中にひときわデカいカボチャがある。
そしてそのカボチャを引っこ抜こうとすると、その巨大カボチャは突如キラーパンプキンという怪物に姿を変え、プレイヤーに襲いかかってくるのだ。
しかしこのキラーパンプキン。倒すとごく希にこのイベント限りのレアアイテムであるハロウィンマスクを落とすので、これを怖がる奴など居る筈もなく、それどころかみんな畑に常駐して、目を血走らせながらこいつが湧くのを待ち構えている有様だ。

だがこのキラーパンプキン。湧く間隔が1時間からそれ以上と、出現自体がレアなシロモノとなっている上に、肝心のハロウィンマスクを落とす確率は3分の1(或いはそれ以下かも)ときている。
こうなると24時間体制で畑に目を光らせている暇人セレブたちに敵うはずもなく、マスク入手は夢のまた夢となっているのだが、まぁこのリアル世界で暇な奴ほどブリタニアではセレブという事実が、このブリタニアの格差社会が大きな歪みを生み出すに至らない理由だったりするから、ウォール街に集まった若者たちのように、一概に「是正せよ!」などとは言えないのであった。
*関連記事
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2011/10/04 | Comment (2) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
「漫画界の巨匠、永井豪が、自著を原作に自らメガホンを取った!」
そんな触れ込みの映画ですけれど、恐らく永井先生、現場では地蔵と化していたと思われます。
それくらい素人っぽさのかけらもない、ハンパに職人じみたVシネマ。恐らく実際に現場の指図をしていたのは、この映画では演出補の肩書きの石井てるよし(後に永井豪原作の「おいら女蛮 決戦!パンス党 」や「あばしり一家 THE MOVIE」の監督を務める)ではないでしょうか。
仕掛け人というか、永井先生を焚きつけた張本人と思われるプロデューサーは松山仁。この方は以前紹介した横山智佐主演「時空戦士 魅鬼」の監督を務めた人物。
ワハハ本舗と非常に縁が深い方なので、この時期の特撮系Vシネマで梅垣義明と林家こぶ平(現・正蔵)が顔を出している作品があったら、十中八九この人が絡んでいるとみて間違いはないでしょう。

忍びと深い関わりを持つ極道組織。そこの一人娘を守護する3人の忍者と、怪獣じみた組長に率いられた新興極道組織の激突。
一見トホホに見えるこのメインストーリーも、永井先生の絵に落とし込んでさえしまえば、それほど違和感がないのですが、これを実写で、しかも主人公の極道忍者役に大槻ケンヂを据えるとなれば、話は全く別です。
まぁこの辺は主演されたご本人が、自らあちこちでネタにしちゃっていますが、もし私がオーケンの立場であったら、目の前で自分の全く板に付いていない芝居(特にモノローグシーン)を流されたら、その場で舌を噛み切って命を絶っているかもしれません。
オーケン、役者には全く向いていない。その事実を自他共に確認できたことだけでも、それなりに収穫があったとは思いますけれど。

オーケンの脇を固める同僚忍者は松井哲也とキューティー鈴木。
倉田保昭の秘蔵っ子、松井。そして言わずと知れたジャパン女子プロレスのキューティー。
オーケンにはアクション面を全く期待できないことから、それを補佐するための布陣ですが、実際にこの人たちはアクションシーンを担当するためだけに、キャスティングに名を連ねているようなもの。それ以外の出番は全くありません。そしてアクションシーンが終われば即座に死んで、潔いばかりにあっさりと退場して行きます。
倉田プロモーションの面々を従えた松井哲也の集団擬闘さすがに見事なものですが、問題はキューティー鈴木の方。
キューティーの出で立ちは、Vシネ系くのいちの伝統を引いた、全く忍んでない派手な着物なのですが、その足下には何故かリングシューズを着用。
そして敵方の女暗殺者、尾崎魔弓のコスチュームは、レオタードにやはり足下はリングシューズ。

この時点で相当嫌な予感はしていましたが、やがてキューティー対尾崎、1対1のシチュエーションとなると、何故か2人はおもむろに移動。
そして向かった先は、床にマットが敷かれた謎の空間。そこで2人は唐突にプロレスの試合をおっ始めるのです。
プロレス風アクションなんてものではありません。普通にプロレス。尾崎がキューティーの髪を掴んで放り投げ、キューティーが尾崎のリストを決めてグラウンドに持ち込み、そのリストロックを尾崎が切り返してバックを取り返し。
ジャパン女子やJWPのリングで嫌と言うほど見たお馴染みの攻防を、当たり前のように展開する2人。そしてそれをまるでプロレス中継のようなカメラワークで撮影するスタッフ。
劇映画の中に唐突に挟まれた"普通のプロレス"に、観ているこちらは思わず口あんぐりです。
○尾崎魔弓(6分14秒 アルゼンチン式背骨折り)キューティー鈴木●

永井豪先生の人脈でしょうか、この作品はやたらとエキストラが豪華です。
圧巻なのは、関東の親分衆が一同に会するシーン。
藤子F不二雄、長谷邦夫、川又千秋、高千穂遥、高信太郎、林海象、小松沢陽一、そして一番奥に相談役然としてでーんと居座るのは矢野徹大先生。
みんな人相があんまりよくないから、ヤクザルックがホントお似合いです。特に藤子F不二雄先生などは、殴り込んできた安岡力也相手に「てめえ、いつからそんな偉そうな口がきけるようになったんだ!」と、啖呵を切る始末。私の知っている温厚そうなF先生のイメージは、そこには全くありません(直後、F先生、力也さんの長ドスで滅多刺しにされて悶死)。
この豪華な面子が揃って、弾着仕掛けられて嬉しそうに死に様を演じるくだりは、この作品の密かな見所と言っていいでしょう。

日本国内ではDVD化されておらず、再ソフト化されるような気配も全く無い状態ですが、アメリカでは何故かカルト映画扱いされて(曲がりなりにもデビルマン絡みの作品だからでしょうか?)、「The Ninja Dragon」のタイトルでDVD版が流通していました。
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2011/10/05 | Comment (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
90年代高円寺のパンク野郎みたいな刺青女とか、80年代町田のヤンキー中学生みたいな亀野郎とか、はっきり言って新ノルマンディー号は、人材には全く恵まれていない状況だが、そんな中で唯一頼りになるのが、サラリアンの科学者、ドクター・モーディンである。
ジョーカーに言わせれば、「常に上から目線で人の神経を逆撫でする天才」だそうだが、医者ってのは多かれ少なかれ、そんなきらいがある連中なのだから、そんなことにいちいち目くじら立てていてもしょうがない。
常に冷静で、論理的なリアリストの彼は、このノルマンディー号の中で、唯一まともな助言を授けてくれそうなメンバーなのだ。

例えば、「目の前に色気たっぷりでムチムチグラマーな人妻が居て、むらむらを抑えられなくなった」なんて深刻な悩みを、チームの各人に相談したとしよう。
ジェイコブ「こんな見下げ果てた人だとは思いませんでした」
ミランダ「いっぺん死んだ方がいいんじゃないですか?」
タリ「シェパードがそんな人だとは思わなかった! ばかーっ!」
サマラ「そんなに性欲が抑えられないのなら、いっそ私の娘を紹介しましょうか?」

ジャック「悩んでる暇があったら、乳を揉んでしまえ」
グラント「こうやって押し倒せ。アイム・クローガーーーーーン!」
ジョーカー「俺の意見を言わせて貰えば……、高坂保奈美はちょっと肉付きが薄すぎますね。北条麻妃はむっちりしたお尻はいいんですが、妖艶さが勝ちすぎているような気がします。俺の独断と偏見ですから、他の人には広めないでくださいよ」
などと、どいつもこいつもクソの役にも立たないアドバイスしか望めそうもない。

そんな時に頼りになるのがドクター・モーディンだ。
「まずはその女性に配偶者が現存しているのかを、きちんと確認すべきだな。そのあとは、世間一般で不義と言われていることに対して、罪悪感や抵抗があるかどうかを問い質すべいだろう。その上で問題が無いのであれば、こちらの避妊の準備があることをきちんと提示して、すみやかに場所の相談に入るといい。もしホテルを使うのならば、ホテル代はどちらが出すのかは、あらかじめ明確にしておいた方がいいかもしれない」
彼はその明晰な頭脳を働かせ、直ちに現実的で的確なアドバイスを授けてくれるだろう。

それくらいモーディンは、チームの中でも一目置くべき存在なのだが、そんな彼の個人ミッションは、彼の魅力的なパーソナリティを露わにしてくれる、『Mass Effect 2』の個人ミッション中、一番興味深い内容だったりする。
論理的な現実主義の一方で、果てしない理想主義者としての側面も持つモーディン。彼は自分の中に相反する二つの顔があることを冷静に自覚し、感情をなるべく抑え込むことで、その二つの顔に折り合いをつけようとしている。
そんな彼の前に姿を現す元教え子のマエロンは、彼の理想主義者としての側面と、過去の過ちに対する感情的な揺らめきを、極端に肥大化させたような存在だ。
彼の前に立ち、やがて彼が銃口を向けることになる相手は、ただの暴走した元教え子に留まらない。もう一人の内なる自分の姿なのだ。

ジェノファージに対する悔悟やわだかまりを、表面では現実的に割り切ろうとするモーディン。
しかし人の内なる感情は、決して論理で割り切れるものではない。彼はこれからもずっと悔やみきれない過去の罪悪感を、その冷静で明晰な頭脳の片隅に置いて生きて行くのだろう。
だから彼は、まるで自分に言い聞かせるようにこう言う。
「サラリアンは感情の処理が早い。過去の時間を振り返っている暇はない。サラリアンは感情を引きずらない」

だけど我々は、サラリアンが決して感情が薄い種族ではなく、それを表に出す習慣に長けていないだけなことを、前作のキラヒー隊長や、この宇宙で出会った様々なサラリアンたちを通じて理解している。
それを知ってか知らずか、今日もドクター・モーディンは孤独な実験室の中で、過去を振り払うかのように研究に没頭するのだ。
「あらゆる命は貴重だ。宇宙に多様性は不可欠だ」(モーディン)
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2011/10/06 | Comment (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
一昨日にセガの『ゲットバス』がXBLAで復刻配信され、お試し版をちょこっと遊んでみた。
グラフィックはHD準拠になり、とても綺麗になっていたんだけど、やはり360のコントローラーではちょっと物足りなくなり、押し入れを漁ったら釣りコンを同梱したドリームキャスト版が出てきて、結局そっちばかりを遊んでしまったのだけど。
ただ、つりコントローラと言えど、今ひとつの物足りなさは否めない。ロッドの先に何もついていない限り、結局は一風変わった形のコントローラを弄っているだけでしかないからだ。
やはりセガのアーケードゲームは、専用筐体で遊んでなんぼのもんなのだなぁと、しみじみ実感させられた。

コンソールゲームメーカーとしてのセガの限界は、やっぱりこの部分にあったのではないだろうか。
『パワードリフト』、『デイトナUSA』、『バーチャコップ』、『18ホイーラー』、『セガ・マリンフィッシング』。
綺羅星の如きセガアーケードの数々は、確かにセガのコンソール機事業に於いて大きな武器とはなったが、だけどこれらはやはりアーケードの筐体で遊んでこそ、その楽しさが100%発揮されるゲームである。

これらのコンソール機版は、優れた移植の作品が多かったけれど(中には『18ホイーラー』のように、専用筐体で遊ばなければ面白くも何ともないことを露呈してしまったものもあるが)、結局はいずれもアーケード版の疑似でしかないのであった。
「ゲーセンのゲームが家で遊べる」は、確かに魅力的なキャッチフレーズではあるが、それは「ゲーセンで遊べるものを、わざわざ家で遊ぶこともない」という割り切りと表裏一体なのだ。

2移行の続編がドリキャスやXBOXなどのコンソール機オリジナルで展開した、この『クレイジータクシー』にしたってそうである。
アーケード版のアップライト筐体は、無駄の全く無い美しいフォルムが特徴で、他のセガ大型筐体ゲームの仰々しさとは真逆を行く垢抜けたスタイルが、とても新鮮だった。
それでいて、セガ大型筐体ゲーム特有の、小ぶりな遊園地アトラクション的なイメージは失っていないのだから、大したものだ。

ハンドルの横から突き出る小ぶりなシフトレバー。そして床面のステップ部分に配置されたアクセルペダルとブレーキペダル。そしてボディ部分にはウーファースピーカー。
『クレイジータクシー』というゲームの面白さは、この筐体に依存した部分がかなり大きかったんではないかと、今にして思う。
トゥーマッチな交通状況に小刻みに動かしっぱなしになるハンドル。手のひらにすっぽり収まるシフトレバーは、常にローとハイを行ったり来たりし、効きの悪いブレーキ(この効きの悪さがまた絶妙なのだ)を踏み込むときには、思わず体をツイストのように捻ってしまう。そして股間の前部あたりに配置されたスピーカーから響き渡る、Bad ReligionにOffspring。

アーケードに内容に加え、オリジナルコースに長時間モード、そしてミニゲーム集のクレイジーボックスが詰まった、このドリームキャスト版『クレイジータクシー』は、まさに非の打ち所のない移植作品だ。
だけど左手でハンドルの右上を、右手でシフトレバーを握り、右足を軽く出してペダルに添える、あの体勢の感覚を知ってしまった者には、どんなに素晴らしい移植であっても、やはり一抹の物足りなさを感じずにはいられないのであった。

ちょと下品な例えになるが、それは言うならば本番と素股の違いであろうか。そりゃあ素股だって充分気持ちいい。「この際、素股でもいいから!」なんて気分になることだって、そりゃままある。
だけど、どんな絶品の素股であっても、それはやはり残念なことに疑似行為でしかないのだ。本番が出来るのならば、それに越したことはない。
……なんか巧くまとめようとして、ホントにろくでもないまとめになってしまったな。すいません。
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2011/10/07 | Comment (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |