このページの記事目次 (カテゴリー: ニンテンドーDS)
- 【Balls of Fury】燃えよ!ピンポン [2022/06/23]
- 【阪神タイガースDS】今年の干支ゲー [2022/01/01]
- 【ミスタードーナツDS】DSでミスド体験入店 [2021/07/27]
- 【犬神家の一族】横溝ワールドの好ゲーム化 [2017/09/13]
- 【江戸川乱歩の怪人二十面相DS】少年探偵団登場 [2016/03/24]
total 10 pages 次のページ →

「卓球はクール」
『Rockstar Games Presents Table Tennis』がそんなメッセージを打ち出したその翌年に一本の卓球映画が公開された。
日本で卓球映画というと窪塚洋介や中村獅童なんてキャストが即座に思い浮かぶが、こちらの主演はダン・フォグラー。
「卓球はクール」の呼びかけにちっとも呼応していないキャスティングであることは間違いない。

「燃えよ!ピンポン」はその名の通り、名作「燃えよドラゴン」のフォーマットをカンフーから卓球に置き換えてパロディ化した作品。
元オリンピック選手がFBIの要請を受けて暗黒組織が開催する死の卓球トーナメントに潜入する筋書きだが、もちろんダン・フォグラー主演だからして、シリアスさなど欠片もないことは言うまでもない。
まあ一言で言うなら無邪気で肩肘の張らないコメディ映画だ。

ちなみに「燃えドラ」ではハンにあたる暗黒組織のボスをバカ丸出しの衣装で演じているのはクリストファー・ウォーケン。
「ディアハンター」から30余年。オスカーを手にしたこともある名優は、いつの間にか出オチの人になってしまいました。

映画を原作としたいわゆるシネマゲームは、近年では数が激減してしまったが(その理由と考察についてはいずれ)、ニンテンドーDS期は同種のお手軽な作品が乱発された最期の狂い咲きとも言える時代であった。
そしてこんな程々の興収に終わったコメディ映画もシネマゲーム化。
機種はニンテンドーDSとWii。もちろん映画自体がろくにヒットしなかった日本での国内版発売はスルー。

しかしこの『Balls of Fury』、そんな安直な出自とは裏腹に意外と悪くない。
タッチペンで自分のラケットをコントロールしてダイレクトに球を打ち返す準体感ゲーム的な造り。
タッチの強弱がそのままショットの強弱となるために、緩急付けたラリーの攻防が生々しく再現されている。
特にスマッシュを放つときはタッチペンを動かすその指先にも思わず力が入る。
そして思わず力を込めた一球が、大抵は勢い余ってあっさりアウトになったりするのは現実の卓球そのまんまだ。

こぢんまりと良くできた卓球ゲームとは言え、DSiウェアあたりで配信すれば500円くらいで済んじゃうようなタイトルに、「燃えよ!ピンポン」の版権を被せて無理矢理フルプライスにしていると言えなくもないけどね。
<日本国内版未発売>
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3095.html
2022/06/23 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
2022年、あけましておめでとうございます。
年賀状代わりにその年の干支にちなんだゲームを俎上に載せるようになって長いことになるんですけど、今年は寅年。
実は寅って亥に次いでゲームのネタにするのは大変だったりするんですよね。
意外と無いもんですよ、虎にちなんだゲームって。

アクションゲームの海外人気シリーズにタスマニアンタイガーってのがありますけど、あれフクロオオカミで虎じゃないし、『究極タイガー』はヘリだし、『フライングタイガーズ』はノーズがサメで虎感皆無だし、EAのゴルフゲームの冠はタイガー・ウッズからローリー・マキロイに取って代わられちゃってるし、もうこれゲームじゃねえけどまあいいか!って辿り着いたのがニンテンドーDSのデータベースソフト『阪神タイガースDS』です。
寅。もう文句なしに寅。誰がなんと言おうと寅。

私は千葉ロッテマリーンズのファンなんですが、2021年シーズンのロッテと阪神タイガースは共に優勝行けるだろ!って位置にいながらも、終盤失速して2位に甘んじた似た者同士だったりします。
いくらシーズン途中で首位にいようが、最終的にそこにいなければ何の意味もないってことを嫌というほど思い知らされたシーズンでした。
まあ「優勝だああああ!」って舞い上がった気分的なものはともかくとして、洒落にならないのはその捕らぬ狸の皮算用に終わった浮かれ気分を形にしちゃったもの。
その意味で今でも語り草となっているのが、2008年の夏に出たムック本「Vやねん!タイガース」ですよね。

この年のタイガースのシーズン途中までの強さは去年の比じゃなかった。
8月の時点で2位ジャイアンツに10ゲーム差近くをつけて独走。そりゃあ「優勝間違いなし!」って舞い上がるのも無理はありません。
そんな時期に他所よりいち早く!とばかりに登場した優勝記念本でしたが、しかしタイガースは秋に入って大失速。
最終盤でジャイアンツにかわされて優勝を逃し、この早まりに早まった優勝記念ムックは一転V逸の戦犯扱いされるハメになってしまいました。

そしてこの『阪神タイガースDS』も、「Vやねん!タイガース」と同じく「阪神優勝や!」のムードが高まる2008年の夏にリリースされた曰く付きの一作。
さすがにソフトの開発自体はシーズン前から始まっていたでしょうから、これを「Vやねん!タイガース」のような当て込み商品と一緒にしてしまうのは憚られるのですが、まあ本作リリースまでのタイガースの快進撃は、ソフトの担当者にとっては神風のように思えたことでしょう。

しかしこのソフトが発売になったのがきっかけかのように、そこからジャイアンツがまさかまさかの大覚醒。
足踏みするタイガースを神がかり的な勢いでまくってシーズン最後の最後で首位を奪い、そのまま優勝を決めたのでした。
「Vやねん!タイガース」のように浮かれた内容ではなかっただけに戦犯扱いは免れましたが、生粋のタイガースファンですら「阪神のことはしばらく考えたくない」と落ち込むムードではソフトもイマイチ話題にならず、山のようなニンテンドーDSノンゲームソフト群の中に埋もれてしまったのです。

選手名鑑やデジタルベースボールカード、データベースに六甲おろしのカラオケ、そしてメインとなるのはトリビアクイズモード。
入門、初級、中級、上級、特級の五段階に分かれたこのクイズ。初級問題までなら、野球ファンなら常識的な問題が多く出ますので、タイガースファンでなくとももなんとかなりますが、中級以降は他球団ファンには辛い問題が目白押し。
上級以降になると「年度別の基本打順オーダーをタッチペンで入れ替えて完成させろ」なんて問題まで出てきますが、熱心なタイガースファンだってウインやスペンサーが何番を打っていたかなんて覚えている人は少ないんじゃないでしょうか。

DSにはこの手のデータベース系ソフトがやたら多かったんですが、雑に作られている率もこれまた高く、『阪神タイガースDS』のその分に漏れず肝心のデータに間違いが散見されるアバウトっぷり。
そんないい加減さもタイガースファンに見透かされた部分もあったかもしれません。
新年早々景気のあんまり良くない話になってしまいましたが、それも布石として2022年はロッテと阪神で日本シリーズやるってことで、少なくとも今年は8月9月あたりで浮かれないぞ!
この記事に含まれるtag : マルチメディア 干支ゲー 野球
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3067.html
2022/01/01 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
ミスタードーナツ。なんと力強く頼もしい響きでしょう。
街の片隅に当たり前のように存在し、人々にドーナツと安らぎのひととき、ついでに点心なんかを提供してくれる。
一時期コンビニ業界がドーナツに妙に力を入れて、不遜にもミスドに対してケンカを売っていましたが、やがてそれも空振りに終わってしまいました。
やはりコンビニ棚のレイアウトでは、ミスドの店内に入って目の前に広がる、あのドーナツの物量攻勢の得も言われぬワクワク感には敵うべくもなかったのでしょう。
我が家がいつまでもダスキンと契約してるのは、もうミスタードーナツのパスカードが目当てみたいなもんです。

その偉大なミスタードーナツとタイアップしたニンテンドーDSソフトが、日本コロムビアの女の子向け職種体験ゲーム、あこがれガールズコレクションのシリーズ作『ミスタードーナツDS』。
この手の女児向けお仕事ゲームは、日本海外を問わずDSに於いては大変盛んなジャンルでしたが、その定番とも言えるマンガ家や獣医や看護士といった女児憧れ職業のラインナップに、ミスドのバイトが晴れて仲間入りです。

「あこがれのミスドのバイト」と目をキラキラさせながら働くことになった女の子。
それに対して店長は、「ミスドの仕事は、ドーナツを作るベーカー、それを彩るフィニッシャー、接客業務のセールス、店内の清掃を担当するポーターの四つに分かれてるんだけど、まずはそれを朝から晩まで一通り全部やってもらうよ」とブラックな一言。
普通であれば「それに見合った時給はちゃんと出すんだろうな!?」、「組合の担当、誰?」などとゴネるところですが、今の私はミスドの制服に憧れる無垢な女の子です。はい、何の疑問も抱かずに、朝から晩まで身を粉にして働きまーす!

最初に振られたのはベーカーの業務。まずは卵を割るだけの簡単なお仕事です。
「あたしぃ、こんな猿でもできる作業じゃなくてえ、いきなりドーナツ揚げたりしたいんですけどぉ」
そうむくれながらアバウトに卵をボウルの縁に叩き付ける私の手元に散乱する、ぐちゃぐちゃになった黄身の山。
そんな私のいい加減な仕事に、ゲームシステムとミスド鉄の掟は容赦なくやり直しを要求してきます。
このゲーム、ミニゲームのクリア基準とかが意外とシビア。例えバイトと言えど、お金を稼ぐのは大変なことなんだよ。そんな社会の厳しさを啓蒙する意味合いもあるんでしょうけど、適当にドーナツ作りたいこっちからすればいい迷惑です。

ベーカー、フィニッシャー、セールス、ポーター、いずれの業務も、『クッキングママ』風のタッチペンを使ったミニゲーム。
その数はかなりの量に上るんですが、似たようなミニゲームが多いことに加えて、同じゲームを何度もやらされるのが、否が上にも労働気分を盛り上げてくれます。
しかし、そのミニゲームを高スコアでクリアすれば、お店の評判がみるみる上がり店頭にはお客さんの大行列が。
お客さん、ピエール・マルコリーニコレクションは、まだ販売していませんよ!

『吉野家』『カレーハウスCoCo壱番屋 今日も元気だ!カレーがうまい!』など、現実の店舗とタイアップしたアルバイトゲームは、何故か散発的に登場する不思議なジャンルですけど、この手のゲームは「これと同じことを現実でやればお金がもらえるのに、なんでこっちがわざわざ金を払ってやらなくちゃならないんだ……」って理不尽な思いが、常について回っちゃうのが玉に瑕です。

この『ミスタードーナツDS』にしたってそうです。その反復的なミニゲームの連続は、ゲームを遊んでいるというよりは、単純労働をさせられている気分の方が強め。
そうなるとこちらもDSをパタンと閉じて「で、バイト代は!?」などと、ついつい声を荒げたくなってくるのです。ガキのままごとだと思って、そ知らぬ顔できると思ったら大きな間違いだぞ!
いくら愛するミスドといえど、こればかりは話が別だからな!
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3028.html
2021/07/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
『江戸川乱歩の怪人二十面相DS』や『超名作アドベンチャーDS レイモンド・チャンドラー原作 さらば愛しき女よ』、海外では『Agatha Christie: The ABC Murders』など、ニンテンドーDSには名作ミステリのゲーム化作品がやたらと多いが、そのほとんどが原作をダイジェストで電子ノベル化したレベルに留まっているものばかり。
そんな中で唯一気を吐いたのが、フロム・ソフトウェアがリリースした横溝正史原作金田一耕助シリーズ『犬神家の一族』と『八つ墓村』だ。

他の古典ミステリのDSゲームが、とってつけたようなキャラクターデザインに一枚絵の安っぽい紙芝居だったのに対して、フロムの金田一耕助シリーズは、墨絵風の独特なモノクログラフィックにより、市川崑の映画化作品とはまた違った形で横溝ワールドのビジュアル化に挑んでいる。
そのダークトーンビジュアルの作り込みはなかなかのもので、グラフィックのパターンもかなり多彩だったり、凄惨なシーンでは黒と赤の二色が使われたり、一部アニメーションがあったりと見応えは充分。

ゲーム内で金田一が何度も読むことになる事件以外の記事も充実した(当時の時事ネタなども記載されている)新聞や、タッチペンで金田一(歴代の金田一の中では、鹿賀丈志に似ている)の頭をガリガリと掻きむしるヒントモードなど、ビジュアル以外からも雰囲気を生み出そうと、あの手この手のアイデアが詰め込まれているのも好印象。
ただしプレイヤーが詰まるようなところは、そう見当たらないので、神宮寺三郎シリーズのタバコすうコマンドに該当するヒントモードの出番がほとんど無いのは勿体ないところだ。

ただし古典ミステリゲーム化の宿命だろうか。この『犬神家の一族』も他の類似作品と同様、原作に忠実なストーリー進行を余儀なくされるので、ゲームは自然とミステリADVというより、手の込んだ電子ノベルの体裁に落ち着いてしまうのだった。
ちなみにストーリーは、映画版ではなく横溝正史の原作に準拠。
「犬神家の一族」は、今や原作よりも映画の方がより人々に多く知られているので、原作未読の人には映画版との差異の部分が、ちょっぴり目新しいかもしれない。
この記事に含まれるtag : ミステリ アドベンチャーゲーム
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-2685.html
2017/09/13 | Comment (3) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
"このお話は、そういう出没自在、神変ふかしぎの怪賊と、日本一の名探偵明智小五郎との、力と力、知恵と知恵、火花をちらす一騎うちの大闘争の物語です。大探偵明智小五郎には、小林芳雄という少年助手があります。このかわいらしい小探偵の、リスのようにびんしょうな活動も、なかなか見ものでありましょう" <江戸川乱歩 - 怪人二十面相より>
1930代、少年少女向けミステリが芽吹いたのはアメリカだけではない。
かの江戸川乱歩によって少年探偵団のシリーズが生み出されたのは1936年のこと。
ナンシーやハーディーボーイズと違って、こちらは乱歩の死と共にシリーズの継続は断たれてしまったが、それでも数十冊に及ぶシリーズ作品は、何度も再刊されて世代を越えて愛されている。

小学校の図書室。その棚一面に並んだポプラ社の少年探偵団シリーズ。
それはある時期までの子供たちにとって、なんとも妖かしくときめく光景であった。
このポプラ社版少年探偵団シリーズは、江戸川乱歩が純然たるジュブナイルとして執筆した前期と、乱歩の大人向け小説を子供向けにリライトした後期に大別できて、乱歩特有のエロチシズムとグロリズムの残滓が尾てい骨のように残る後期の作品も印象深いが、やはり初期の純粋な少年探偵団の活躍こそが、その本領であろう。
最近では同シリーズの初期作品がポプラ社クラシックの名で文庫化され、子供の頃にこの作品に熱中した人々を、再び喜ばせた。
そして同じ時期にタカラトミーが発売した『江戸川乱歩の怪人二十面相DS』。『放課後少年』や『歌謡ジェネレーション』など、おっさんのノスタルジーにつけ込んだエクスプロイテーション商売が盛んなDSのことだ。
さぞやこの『二十面相DS』も、その路線かと思ったら全然違った!

金田一少年風だか名探偵コナン風だかよく分からないが、微妙にモダナイズされた小林少年や明智小五郎。
小林少年は機転の利く子供というよりは、単なるこざかしそうなガキだし、明智小五郎もトレードマークの天然パーマは影も形もなく、なんかすかして信用の置けそうもないやつだ。。
逆に二十面相の方はシルクハットにアイマスクと、まるで記号のようにこてこてでコミカルな姿を押しつけられている。

じゃあモダナイズされたならされたなりに、新たにキャラクター像を練り直したり、ストーリーを刷新したりするかと言ったら、それもなし。
お話は原作の「怪人二十面相」ほぼそのまんま。そのうえ大袈裟で扇情的な原文は影も形もなく、まるでダイジェストのような現代文に置き換えられている。これでは味も素っ気もありはしない。
ノスタルジック方面に傾かないのならば、せめてショタ方面への訴求に答えるなどして現在の市場にアプローチすればいいものを、そんな努力もなし。
このゲームの小林少年は、そのアバウトなキャラ造形が災いして、ショタ方面へアピールどころか、往復ビンタを喰らわして国士舘大学のレスリング部に放り込んでやりたい衝動に駆られるほど、クソ小生意気さだけが突出したキャラだときてる。
しつこいくらいに入る『逆転裁判』風の決めポーズアイキャッチが、ホントむかつくんだよ、てめえ!

原作を小河内ダムいっぱいの水で薄めたようなダイジェスト進行ストーリーは、わずか2時間弱でエンディング。
それを形だけ補うのは、明智事件録という探偵クイズのモード。
しかしこのモードを監修しているのは、あの"ミステリ界のネタバレキング"と名高い藤原宰太郎氏。
この明智事件録も、どんなネタバレを喰らわされるか分かったもんじゃないので、なまじ踏み込まない方が無難だろう。
原作より面白くしようとか、原作の持ち味を今の子供たちに分かり易く噛み砕こうとか、そんな意志がまるで感じられない、惰性で作ったやる気のないキャラゲーの典型みたいな作品だ。
この記事に含まれるtag : ミステリ アドベンチャーゲーム
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-2472.html
2016/03/24 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |