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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【BorderCollie Game】ボーダーコリー・ゲーム

   ↑  2023/01/15 (日)  カテゴリー: PCゲーム
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オレは「インタラクティブな要素がミリでも入っていたらOK」と判定してしまうくらいゲームに対する定義が超ゆるゆるなのだが、そんなオレでも本作を自信を持ってゲームと呼びきれないのは、制作者の「ゲームとか実はどうでもいいから私の賢い犬をとにかく拝んでくれ」という主張が明確に表れているからだろうか。
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しかしその気持ちはスゴいよく分かる。
誰だって自分の犬は一番可愛い。そしてその可愛く思う感情は世界中の誰もが共有できるものだと信じ込んでいる。
この『BorderCollie Game』は作者の可愛い可愛い愛犬をフィーチャーしたFMVゲーム。
一応ボールやフリスビーなどおもちゃを選択したり、散歩の際に特定の場所をクリックしてムービーを先に進めるインタラクティブ要素が存在するが、基本的には作者の犬の散歩に延々付き合うだけの内容である。
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「このボーダーコリーとただ一緒に過ごす時間はとにかく最高だから、みんなにもこの充実した気分を分けてあげよう」
そんなお節介な気持ちだけで構成されたゲームだが、これを買うような人間は「あ、わんこ、可愛い!」って衝動だけでポチッとクリックした人がほとんどだろうからノープロブレムだ。
もっとも途中で排便の始末をさせられたときは、「なんで他人の犬のうんちを……」と、ちょっぴり釈然としない思いも過ったりしたが。
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これだけでは犬愛の吐露に満足しきれなかったのか、昨年には続編『BorderCollie Blaster』が登場。
FMVからまさかの横スクロール2Dシューティングへと変身を遂げたが、もちろん自機となるのは実写取り込みのボーダーコリー。
そしてこれまたもちろん「シューティングとか実はどうでもいいから、重要なのはとにかく私の犬」という想いだけで成立しているゲームであることは言うまでもないだろう。

この記事に含まれるtag : 実写ゲーム 

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2023/01/15 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【日常侵食リアルホラー つぐのひ】左に進むな

   ↑  2022/12/28 (水)  カテゴリー: PCゲーム
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2DプラットフォーマーもSTGもベルトスクロールアクションも右に向かって進んでゆくのが自然な姿だ。
そこを左に向かって進もうとするのは日常から逸脱した形。
『カラテカ』の場合は左に踏み出せば、そのまま岸壁から足を踏み外し海に転げ落ちていたが、しかしもし左側が海ではなくそのまま道が続いていて進めたらどうなるのか。
たとえ歩き続けられたとしても、それは黄泉に通じる、この世ならざるものを招き寄せる道である。
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カーソルキーかマウスの左ボタンを押し続け、キャラクターを左という不自然な方向にひたすら歩ませる。
『つぐのひ』シリーズはこのシンプルなフォーマットを堅持して10年目を迎えるシリーズ。
RPGツクールを使った個人制作ゲームが次第に人気を博し、ついには映画化まで為された和製インディーゲームの出世頭のひとつだ。
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ホラーゲームというよりはインタラクティブなビジュアル怪談といった趣で、プレイヤーが基本的にするべきことは左カーソルを押し続けて主人公を左に動かし続けることとセリフ送りのみ。
そして同じ道程を数日にわたって何度も反復して歩かせるのも、このシリーズの共通したフォーマット。
いつも通る日常的な風景が次第に変容し闇に呑み込まれるテーマは、日常侵食リアルホラーを名乗りたる由縁だ。
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派生作品を含めて既に10数作が発表されているが、Steam版は正編の8作に加えてキズナアイとコラボした外伝タイトルをバンドルした内容。
男子中学生が主人公の第一話などは、いまプレイするとあまりのプリミティブさに軽い笑いすら漏れてくるが、しかしここからシリーズを重ねるごとにビジュアルや演出が次第に強化洗練されてゆく過程は、怪談フォークロアの生き物のような成長を辿るかのようである。
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『トワイライトシンドローム』や『夕闇通り探検隊』といった、やはり日常性と恐怖が表裏一体となったホラーゲームの名作にも顕著だが、横スクロール2Dのアートスタイルは我々が慣れ親しんだ日常的な風景を破綻なく描くことができる。
そして『つぐのひ』は手の込んだストーリーに依存せず、その平素な風景が次第に変わり果ててゆく視覚的な部分に怪談の肝を全振りしている。
第6作『つぐのひ -幽闇の並葬電車-』は、そのスタイルが徹底的に洗練されたバンドル中で白眉の一作だ。
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配信媒体との相性の良さ(シリーズ初期ではニコニコ)にも恵まれて、ゲーム実況者とのコラボ作品など、いかにもドメスティックな成功の道を辿ったこのシリーズは先日ついに10周年を迎え、それを記念した最新作『つぐのひ -忌み夜の喰霊品店-』も公開された。
ゲームが始まったら右に進む。それこそが自然の摂理だ。もしそれに反して左に進み続けたら人は魔に捉われる。
そしてもし左にしか進めないゲームがあったら、その行きつく先は闇への一本道だ。


この記事に含まれるtag : ホラー 

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2022/12/28 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Chair Simulator】チェアシミュレーター

   ↑  2022/11/02 (水)  カテゴリー: PCゲーム
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立つ、寝る、そして座る。人間の姿勢の三原則だ。
かつては地べたやせいぜい石ころに腰を下ろしていた人類がやがて椅子という存在を生み出し、座る行動は本能から文化的な行いへと変化した。
人間はその長い文明の歴史の中で様々な用途やデザインの椅子を創り出し、時にはそれが権威の象徴ともなり時には死刑を執行する道具ともなった。
この『Chair Simulator』はそんな人類と椅子との緻密な関係を再現したシミュレーターである。……って、もちろんそんなわきゃない。
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無駄に多岐にわたるキャラクターセレクト(ほぼ全部制作者の知人や関係者らしい)を経て放り出されるのは、椅子がひとつぽつんと置かれた簡素な部屋。
ここでプレイヤーがやるべきことはなにか?
椅子を前にして人がすることはただひとつ。近寄って腰を下ろそう。
あとは椅子に腰掛けたキャラクターをただ眺めるだけだ。モニターの前でプレイヤー自身も椅子に座っているとなおいいだろう(まあ立ってやる人はそうはいないだろうが)。
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椅子に座っている時間は決して無為ではない。
電車のシートに腰を下ろしていればそのうち目的地にたどり着くであろうし、病院の待合室の椅子で辛抱していればやがては診察の順番が回ってくる。
『Chair Simulator』においてもそうだ。
椅子に座っていれば着々と経験値が加算されてゆく。もっともそれでレベルが上ったところでだからどうしたと言われれば答えに困るのだが。
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いや、獲得できるのはほとんど無意味な経験値ポイントだけではない。
デフォルトの味も素っ気もないパイプ椅子から新たな椅子に買い替えるためのマネーポイント。これもひたすら座り続けることによって蓄積される。
もっともあれやこれやの椅子三昧を決め込むには莫大な時間を消費してただ座り続けるおのれのキャラクターをずっと眺めていなければならない。
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いっそのこと放置して外に遊びに行きたいところだが、しかしずっと座ったままだと血行に悪いからだろうか、このゲームは一定時間座りっぱなしだとキャラクターが死んでしまいゲームオーバーとなってしまう。
こんなゲームに真面目に付き合うことを考えず、とっととチートコードで金を手に入れてしまおう。
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新たに購入できる椅子は丸椅子からピアノ椅子、玉座にエマニエル夫人が座ってたようなやつと、この世のありとあらゆるタイプの椅子を網羅したかのような豊富なバリエーション。
まあどんな椅子をセッティングしたところでただ座り続けるだけなのは変わりないのだが(一応獲得経験値にボーナスが付いたりケツ痛メーターが遅くなったりと細かい差異はある)。
ゲリラ的な活動で知られるNYの現代アートグループMSCHFが送り出した、パロディ系シミュレーターの中でも皮肉とウィットが際立つ一作。

この記事に含まれるtag : シミュレーター 

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2022/11/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【POSTAL】ポスタル

   ↑  2022/01/28 (金)  カテゴリー: PCゲーム
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1986年から1991年にかけて、アメリカの三つの州で無差別大量殺人事件が起こった。
三件に共通するのは犯人がいずれも郵便局員であったこと。
先の事件に影響された可能性はあるにせよ、それ自体は偶然のめぐり合わせだ。事件の動機と郵便職員という職に一切の因果関係はない。
そして事件から数年経った1997年、『POSTAL』と題されたゲームが登場した。
このタイトルも郵便局とは一切の関係がない。少なくとも開発元のRunning with Scissorsは、そのように主張している。
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とにもかくにもゲーム史上もっとも忌まわしき商用作品は世に放たれた。
『GTA』『Manhunt』『Carmageddon』など世間の眉をひそめさせたゲームは他にもたくさんあるが、『POSTAL』の猟奇度はその比ではない。
『POSTAL』にはそれらにゲームにある一種突き抜けたでたらめさやブラックユーモアが完全に欠落している。
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なにかの「使命」に駆られた、あるいは単にむしゃくしゃしただけの男が銃器を手に取り、警官隊やその場に居合わせた不幸な一般人など、動くものを片っ端から撃って撃って撃ち殺して回る。
ゲーム性だけを取り出せばごくありふれた全方位STGだが、アウトサイダーアートのような絵画風ビジュアルに常に不協和音を鳴り響かせるBGM、悪夢に出てくる小人のようなキャラクターたちと、描写されていることが大量殺人である事実を差し引いても、『POSTAL』を構成する諸要素はどれもがマトモじゃないものばかりだ。
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救いのかけらもない、プレイする者をただ不愉快な気分にさせるためだけに作られたかのようなこのゲーム。
当時の日本でマニアックな海外PCゲームにしては珍しいセールスを記録したのは、多くの人々が露悪趣味に走っていた90年代の土壌と無関係ではあるまい。
オレもマイクロマウスから出ていた日本版を、これみよがしに買っていたのは否定したくともできない過去だ。
いざプレイしてみるとげんなりしてしまったのは救いといえば救いだが。
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2003年に発売された続編『POSTAL 2』は見下ろし画面の全方位シューティングからFPSへの形態の変化に留まらず、前作には無かった下卑たユーモアが加わっていた。
それは相応に悪趣味なゲームではあったものの、初代『POSTAL』にあった禍々しさ、プレイしている自分が嫌になってくるほどの背徳感が薄れた、ある意味普通のゲームへと落ち着く。
そしてウーヴェ・ボルによる映画化、話題にもならなかった『POSTAL 3』とお決まりの凋落パターンは、陽のあたらないアンダーグランドで怪しい輝きを放っていた生き物が、太陽の下に出てきて干からびてゆく過程を見るかのようであった。

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2022/01/28 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Bud Spencer & Terence Hill - Slaps And Beans】笑激の乱闘遊戯

   ↑  2022/01/11 (火)  カテゴリー: PCゲーム
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バッド・スペンサーとテレンス・ヒルは1970~80年代にかけて活躍したイタリアのコメディ俳優コンビ。
いつも不機嫌にムスッとしている巨漢のバッドと口八丁の二枚目半テレンスは、共にマカロニウエスタンの脇役出身。
コンビを組み喜劇に転じていっきにブレイクを果たした。
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日本におけるその扱いは「笑激のギャンブルマン」だの「サンドバギー/ドカンと3発」だのといった力が抜けるような邦題から察してもらうしかない。
二線級の映画のさらに添え物みたいなポジションで、キネマ旬報からは軽く扱われ映画芸術あたりからはとことん無視される存在に甘んじていた。
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しかし欧州圏での人気は絶大なものがあるようで、今では一種のアイコン化していて彼らの名前をモジッたDub Spencer & Trance Hillなんてダブバンドもあるほどだ。
その海を越えてはなかなかピンとこない大きな支持の背景は、我が国の「トラック野郎」シリーズの人気と感覚的に共通したものがあるのかもしれない。
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ベルトスクロールブロウラー『Bud Spencer & Terence Hill: Slaps and Beans』も、そんな根強い人気から生まれたゲーム。
元はファンメイドの小品が関係者の許諾を受けて、めでたくバッド&テレンスの公式作品として正規リリースに漕ぎ着けた一作だ。
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バッドとテレンスの映画は基本的にどれも一緒。
西部劇、スパイアクション、警官ものなどシチュエーションは違えど、なんだかんだでつるんだ二人が緩い悪役相手の騒動に巻き込まれ、緊張感のない大乱闘でケリをつけて無理やり終わるのがその黄金パターンである。
だからこそ多人数を相手にとにかく殴って殴ってぶん殴りまくって突き進むブロウラーアクションとは、言うまでもなく相性が抜群だ。
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オープニングは彼らの初期作に多かったマカロニウエスタンのシチュエーション。
しかしそれは映画のロケの風景。そして撮影スタジオから奪われたギャラと美人秘書を追って、二人の闇雲なドツキ倒し行脚が幕を開ける。
バッドは重攻撃のパワー型、テレンスはスピード型と、それぞれのキャラは本人や映画の中での役柄に準じたスタイル。
ブロウラーアクションとしてのベーシックな部分はスピード感やメリハリに欠けるのだけど、まあ彼らの映画における乱闘シーンの呑気さを考慮したら、この旧世代感はそれはそれで飲みこめてしまえるかも。
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それよりも肝心なのはバッド&テレンスの世界の再現性。
まず版権ありきの商業系オフィシャルゲームには、これがおざなりな場合が多いが、熱心なファンの手による本作はその心配は無用だ。
海辺の遊園地、埠頭、南国のジャングルと、彼らの各映画に基づいたステージ。
そして変化球として「サンドバギー/ドカンと3発」に登場した赤いデューンバギーや「いけ!いけ!スパイ大作戦」の角付きキャデラックでのレースモードもある。
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キャデラックと言えば埠頭のステージでこれをド突き回してぶっ壊せる仕様。誰もが『ストⅡ』を連想するかもしれないが、これは「笑う大捜査線」の一シーンの再現。
バッドの強攻撃振り下ろしハンマーパンチには、その度に「ぼよーーーん」と間抜けな効果音が入るが、これも二人の映画ではお馴染みの演出だ。
そして特筆すべきは彼らの映画で使われていた実曲。これらはゲーム中のみならずジュークボックスモードでも自由に聴くことが可能だ。

この記事に含まれるtag :  シネマゲーム 

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